【インタビュー】「連続ドラマW いりびと-異邦人-」高畑充希「分かったと思って演じてはいけないんじゃないか」難しく不思議な役に挑戦

2021年11月26日 / 08:05

 原田マハの美術小説「異邦人(いりびと)」をドラマ化した、「連続ドラマW いりびと-異邦人-」が11月28日から、WOWOWプライムで放送・配信される。本作は、主人公の菜穂が、彼女が擁護する無名画家の出生の秘密や、ある天才画家の死の真相を追う中で、画壇における激しい愛憎を暴いていくアートミステリードラマ。菜穂を演じる高畑充希に、本作の魅力や「アート」への思いを聞いた。

高畑充希(ヘアメーク:犬木愛(AGEE)/スタイリスト:番場直美)

-脚本や原作を読んで感じた本作の魅力は?

 最初に原作を読ませていただきましたが、すごくドロドロしていて複雑な物語だと感じました。アートをテーマにした作品を、私はあまり見たことがなかったので、それも意外性を感じて面白いと思いました。アートって、見る人の感性に委ねられている部分があると思うんです。ですが、それがドラマという形になって語られるときに、見る方にどう受け取っていただけるんだろうと思って、そこにすごく興味が湧きました。私自身、これまでチャレンジしてこなかった作風のドラマだと思うので、どうなるか楽しみだなと思って参加しました。

-高畑さんが演じた菜穂は、希代の美術収集家の孫娘で、美術館の副館長も務める女性です。原作や脚本を読んで、菜穂をどんな女性だと感じましたか。

 共感できるヒロイン像ではないと思います。美術品を見る審美眼では天才的な才能を持っていますが、エネルギーの出し方がいびつなところがあると感じました。普段は決してエネルギッシュなわけではないけれども、絵に対する執着は異常。なので、正直なところ、私は彼女が何を考えているのか全然分からなかったです(笑)。監督にも「分からないんです」ってずっと言っていたんです。でも、分かったと思って演じてはいけないんじゃないかなとも思っていて…。すごく難しかったですが、不思議で面白い役ではありました。

-高畑さんご自身と菜穂に共通点はありましたか。

 菜穂はきっと、絵以外には何にも興味がないんじゃないかなと思います。そういう意味では、私も何かに没頭したときに、時間の感覚がなくなってしまったり、役に入り込んでしまって普段の生活をキープするのが難しくなってしまったりということがあるので、周りとのルートが全くなくなってしまうというのは、理解できました。共感というよりは、「そのエネルギー知ってる!」という感覚ではありますが。

-今回は、京都でロケをしたそうですね。演じる上で、土地の持つ力を感じましたか。

 京都であることに意味がある原作でしたし、本当にどの場所もめちゃくちゃきれいなロケーションでしたので、そういう意味でもかなり助けられました。何げない会話のシーンでも、背景にはすごく美しい景色が広がっているので、「京都を目で楽しむ」という見方をしていただいてもいいんじゃないかなと思います。

-夫の一輝を風間俊介さんが演じていますが、風間さんの印象は?

 風間さんとはこれまでにも何度か共演させていただいているので、安心感を持って臨めました。今回、私は役柄もあって、現場で皆さんを盛り上げたりがうまくできなかったのですが、風間さんがムードメーカーになって、皆さんとの架け橋をしてくださり、すごくありがたかったです。夫婦役ではありますが、一緒のシーンは少なかったので、たまにお会いしたと思えば、ピリピリとしたシーンを撮って(笑)、撮影の合間ではたわいもないお話をして…、と落ち着いて撮影できました。

-菜穂が才能を見いだす無名の画家・白根樹(たつる)役でSUMIREさんも出演しています。SUMIREさんとの共演はいかがでしたか。

 樹は説得力が必要な役だと思いますが、SUMIREちゃんは目の色が独特で、きれいな目をしていることもあって、ぴったりだなと思いました。でも、実際に会ってみると、イメージとは違って、すごく普通の子で、体育会系のノリも感じたので安心しました。撮影がお休みの日にもたくさんコミュニケーションを取りましたし、仲良くさせていただきました。

-菜穂は、樹と出会ったことで人生が大きく変わりますが、高畑さんご自身の人生を変えた出会いを教えてください。

 私は舞台が大好きな子どもだったのですが、デビュー前に、ヘレン・ケラーを題材とした「奇跡の人」という舞台を観劇して、席を立てなくなるほど感動してしまって。それで、ヘレン・ケラーを演じてみたいと思ってこの世界に入りました。「奇跡の人」は私にとっての大きなきっかけだったと思います。

-では、絵画や絵を描くということには興味がありますか。

 私、イラストを描くのが下手なんですよ(笑)。本を買って練習したこともあったんですが、センスがなくて全然駄目でした(笑)。でも、色を塗ったり、色を付けるという作業は大好きです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

原嘉孝×いとうあさこ、timelesz加入後初の舞台主演に「timeleszを背負っています」 舞台「ドラマプランニング」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月11日

 脚本家・演出家の山田能龍、いとうあさこによる劇団山田ジャパンの2025年9月公演「ドラマプランニング」にtimeleszの原嘉孝が出演する。  本作は、テレビ業界におけるドラマ制作現場を舞台とし、ほれ込んだ漫画の映像化で初のチーフ作品を担 … 続きを読む

Willfriends

page top