伊藤健太郎&GACKTの人生を変えた出会いを語る 「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」で初共演【インタビュー】

2026年6月3日 / 08:00

 韓国発のダーク・サスペンス小説を実写化したドラマ「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」が、6月7日からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。本作は、ミステリー小説家志望の冴えない男・伊崎耀が謎の組織“カンパニー”に引きずり込まれ、誰にも気づかれない“完璧な暗殺シナリオ”を執筆する「暗殺」専門のコンサルタントへと転身するものの、次第に圧倒的な巨悪に巻き込まれ、逃げ場を失っていく姿を描く。主人公の伊崎耀を伊藤健太郎、伊崎を悪の道に引きずり込む謎の男・黒川秋峰をGACKTが演じる。伊藤とGACKTに本作での役作りや撮影の裏話、さらには人生を変えた出会いなどを聞いた。

伊藤健太郎【ヘアメーク:西岡達也(ラインヴァント)/スタイリスト:佐々木悠介】(左)とGACKT【ヘアメーク:奥川哲也(dynamic)/スタイリスト:Rockey】

-韓国の小説を原作としたドラマですが、日本にはない新鮮さは感じましたか。

GACKT 日本の作品に比べて、かなり非現実的な世界ですが、リアルにこういうこともあるかもしれないと想像の域を広げられる作品が韓国には多いですよね。この作品もそうで、台本は一言で言ってしまえばぶっ飛んでいる。でも、そこが面白い。どうしても日本ではヒューマンドラマをリアルな世界で表現したいというクリエーターが多いから、なかなかこういう発想にはならない。韓国はヒューマンドラマをリアルではない世界で表現することも多いように感じます。

-どんなところが「ぶっ飛んでいる」と思ったのですか。

GACKT 日本でも、殺し屋、もしくは暗殺を生業とするカンパニーがあるという発想から物語が作られることはあると思います。ですが、それをアサシネーションして、ライターに殺し方を書かせて現実化させるという組み上げ方がぶっ飛んでいるなと思います。

-伊藤さんはいかがですか。

伊藤 作品を作る上での根っこの部分は同じなのでしょうが、テーマや伝えたいこと、物事の見方は、僕も心引かれるものがありました。今、自分たちが便利に生きている裏では、実はこうしたことが起こっているのかもしれないと思わせてくれる物語です。見終わった後に、振り返って考えてしまうせりふも多いので、そこが違うところなのかもしれないと思いました。

-伊藤さんが心に刺さったのはどんなシーンですか。

伊藤 黒川が伊崎に世の中の仕組みや不条理について説明をするシーンは、最初に台本で読んだときも、現場でお芝居をしたときも、「確かに、そこまで考えたこともなかったし、考える材料すらなかったな」と思いました。よくよく考えてみると、それはそうだなと、気付かされた部分も多かったです。

-それぞれの役柄について聞かせてください。伊藤さんは、“カンパニー”の仕事をする中で外見も内面も変わっていく伊崎という男を演じられましたが、そのためにどんな準備をされましたか。

伊藤 黒川と出会い、“カンパニー”で働くことになって、古本屋で働いて自宅でパソコンに向かって小説を書いているときとは、ガラッと変えたいという思いがあったので、まずは、ビシッとスーツを着て、髪の毛をあげて、見た目を変えました。そうした変化が、どんどん心がなくなっていくという内面の変化を見せることにもなるのではないかと。それから、「今、伊崎の心がどこにあるのか」という位置付けは、常に意識していたところです。伊崎は、この仕事で生きていくと覚悟を決めた後もまたブレて、でもまた覚悟を決めて…と心が揺れ動きながら最後のシーンにつながっていくので、伊崎の心の位置付けは常に変化していました。なので、そこは丁寧に作り上げたつもりです。

-GACKTさんはそんな伊崎を引きずり込む黒川を演じましたが、伊崎の変貌を身近で見てどのような印象を受けましたか。

GACKT 伊崎は常に心が動き続け、葛藤があるのに対して、黒川はそれらを全て通り越した、その先にいる存在だと思います。伊崎が行き着いた先の姿だと思うので、「生」というよりは「無」に近い存在です。伊崎がもし、最後までこの仕事をやり続けたら、もう一人の黒川になるのだろうと思います。ある意味では対極の位置にいるので、伊崎とのやりとりは面白いものになるのではないかと思っていました。監督からも「何年、時が流れていても、黒川は一切変わらない。彼だけ時間が止まっているような感じを出してほしい」というお話があったので、一貫して変わらないことをめざしていました。どんなに時間が流れても、黒川だけ時間が止まっているように見える。そういった黒川の姿を見て伊崎は「自分はそうならない」という意識と現在の自分とのはざまで揺れ動くのだと思います。

-GACKTさんご自身は、黒川を演じる面白さをどんなところに感じていましたか。

GACKT 人の物差しで善悪を測っていないし、時代や立場、そのときの都合によって善悪の形が変わるという現実を受け入れている。そうして達観して、人間の心がなくなった空っぽな感じが黒川の面白いところじゃないかな。感情がないから、怒ることもない。笑う、楽しい、申し訳ないと思うこともないし、その感情が欠落しているというところが演じていて面白かったところです。

-お二人は今回、初共演になりますが、撮影を通して気づいたお互いの魅力を教えてください。

GACKT ボクは、これまでに健太郎が出演している作品もたくさん見ていますが、予想をはるかに超えた演技をしていて、演技の幅がかなり広い役者なんだなと感じました。細かい表情から大きな表情まで使い分けているし、それでいて非常にナチュラル。ボクが持ってないものを全て持っているなと。

伊藤 これ、大きく書いてください(笑)。

-自分にはないものを持っているというのは、例えばどんなものですか。

GACKT 自然に、何者にでもなれる感。役者は、全く別人になるわけではなくて、自分の中にあるものを出して、それを役に当てはめていく行為をしているのだと思います。自分にないものは想像もできないし、想像の範囲内だと薄っぺらくなる。だから、自分の中にあるものを出してはめていく。そう考えたときに、(伊藤は)引き出しが多い印象です。ボクは引き出しの少なさで有名だから(笑)。狂った役や、おかしい役、変な役、キレている役、人間じゃない役しかできない(笑)。

伊藤 僕には出せないものをGACKTさんはたくさん持っていらっしゃいますから、こう言っていただいて本当に光栄です。今回の黒川のような役どころは、きっと自分には演じることができないです。やっぱりGACKTさんの持つ雰囲気やカリスマ性があってこその黒川だと思います。ご一緒させていただいて、男としてかっこいいと改めて感じました。博学で、分からないことがあったら、何でも教えてくださるんですよ。現場で、個人的にすごく頼らせていただきました。GACKTさんが黒川を演じてくださったから、僕もお芝居が動いたところがあったと思います。

-現場ではどんなお話をされていたのですか。

伊藤 中国語のスラングを教えてもらいました(笑)。それから、僕がGACKTさんの生活にすごく興味があったので、例えば24時間どんなふうに過ごしているのかとか、そうしたことを聞かせていただいていました。

-伊崎は黒川と出会い、人生が大きく変わっていきます。それにちなんで、お二人の「人生を大きく変えた出会い」を教えてください。

伊藤 僕は10代の頃からこのお仕事をさせていただいていますが、高校のときに、体育祭の応援団で団長をやっていたんですよ。かなり本気でやる応援団だったんですが、ちょうどその練習とドラマの撮影が重なってしまって。練習に団長がいないなんてあり得ないのに、僕はドラマの撮影に行かなくてはいけない。どうしようとなったとき、当時、自分のことを気にかけてくれていた先生から「この先、生きていたら1度に2個、3個、同時にやらなくてはいけないことがあるんだから、頑張れ」と背中を押してもらって。その言葉とみんなの支えがあって、乗り切ることができました。それからも、仕事をしていく中で、あのときの先生の言葉を思い出します。当時は、本当に僕はどうしようもない学生だったと思いますが、すごく面倒をみてくれたんですよ。あの先生と出会えたことは僕にとっての大きな転機にもなりました。

GACKT ボクももういい歳なので、人生の起点になっている人は何人かいます。19歳までは、排他的で攻撃的でクソみたいな人間だったんですよ。でも、たまたまある人と出会い、その人から生き方を哲学として学んで。当時、自分が持っていたものは音楽しかなかったから、音楽で自分の生きている意味を残そうと思って、本気で東京に出てきて音楽を始めたんです。そこからは、ボクの人生はめちゃくちゃポジティブなんですよ。

 ただ、そんなボクが「これは無理かも」と思ったときが、1回だけあって。それは、ハリウッド映画に出演したときに、撮影でルーマニアに2カ月間滞在していたときです。ボクは準主役で出演していましたが、ハリウッドには独特の序列があって、その序列が低いボクは、奴隷のような扱いだったんです。朝5時にはホテルを出発して、1時間かけてスタジオに行って、撮影が終わるのは夜中の1時。アクション映画だったので、その後にマッサージを受けて寝るのは3時でした。次の日、また朝5時に起きて出発なので、ほとんど寝られない。日曜日は休みだったんですが、その日は、朝からアクションの振り写しがある。とにかくきつかった。ボクは、苦しみながら日々を過ごしていましたが、当時、その共演者たちが、毎週末、撮影が終わるとクラブに行こうと誘ってきていたんです。精神的にもまいっているときに、そんな余裕なんてあるわけもない。そんな中、撮影にデミ・ムーアが合流しました。撮影を通してだんだんと仲良くなったのですが、そうしたら、デミ・ムーアがクラブに行こうと誘ってきたんです。断れないじゃないですか。それで初めてクラブに行ったんですよ。ボクはヘトヘトでしたが、撮影スタッフも演者もみんないて、デミ・ムーアが迎えてくれて。すぐに帰りたかったけれど、酒も出てきて、一緒に踊ろうとフロアに引っ張られて、スタッフたちと話していたら、朝7時でした。どうやってホテルに帰ったかも覚えていないくらいフラフラでしたが、そのまま倒れるように寝たら、目覚めたときにすごくスッキリしていたんです。クラブで笑って叫んだことで、2時間しか寝ていなくても復活できた。そのときに、心を回復させないと人間はだめになるんだと思うようになったんです。それからはスケジュールがどんなに忙しくても遊びに行くようになりました。どんなに忙しくても遊ぶことを徹底することで、心のバランスが取れるということに気づかせてくれたのがデミ・ムーアです。

 「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」は、6月7日からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信。

「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」


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