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シェークスピアの「ジュリアス・シーザー」が、全ての役を女性キャストが演じ、演劇界の重鎮・森新太郎の演出で、10月10日から上演される。本作は、ローマ史に基づいて描かれた有名な「ローマ劇」の一つで、紀元前44年、シーザー暗殺とその後をめぐる物語。シーザーの腹心の部下アントニーを演じる松井玲奈に、シェークスピア劇に挑戦する意気込みや舞台に出演する思いを聞いた。
いつかはシェークスピアの作品にも挑戦してみたいという気持ちがあったので、お話を頂いたときはとてもうれしかったです。ただ、せりふの量がすごく多くて大変なのは分かっていたので、プレッシャーもありました。
はい、舞台を好きになったきっかけが蜷川幸雄さんのシェークスピアのシリーズだったので、すごく思い入れが強いんです。自分たちが生きている時代とは違う時代の話ですし、難しい言い回しも多いですが、その中でも確かに伝わってくる人間模様が面白いと感じました。
シェークスピアの魅力は、ある登場人物が話すせりふが、全ての登場人物に影響を及ぼすものになるというところです。どのせりふも、「今、これを誰に向かって言っているのか。誰に何か影響を与えたいのか」を考えながら読むのがすごく楽しい戯曲になっています。せりふ一つで対峙(たいじ)している相手の状況や心情がガラッと変わってしまうというところが脚本を読んでいてすごく面白いなと感じました。
頭が良くて快活で、とてもしたたかな人だなという印象が強いですが、根底にはシーザーのことを愛して思っているすごく大きな気持ちがあると思います。ある意味、忠誠心の強い人物だなと感じています。
共感はなかなか難しいかな(笑)。私はまだ、人を呪うぐらい憎しみに満ちたことはないので。ですが、アントニーは、舞台上に出てきた瞬間からすごく大きな感情を持っていないといけないと思うので、場を動かすほどのエネルギーをどうためていくのか、どう作っていくのかというところが、難しくも楽しい役なのかなと感じています。
そうですね。それから、大衆に向かって話をすることでその人たちの気持ちを動かしていく場面が多いので、自分が発するせりふ一つ一つに説得力を持たないといけないですし、(演じるための)パワーが必要だと思っています。
吉田さんは長いせりふの中であっても、言いたいことを明確にしっかりと伝えるお芝居をされていて、すごく勉強になります。現在(取材当時)、本読みがスタートしたところですが、ブルータスの真っすぐで誠実な人柄がすでに見えるなと感じています。
森さんは、とにかく繰り返しやることで、演技を突き詰めていく演出家さんだと思います。(稽古では)同じ場面を30分、1時間と繰り返すこともあります。私自身、たくさんお芝居の勉強をしてきたわけではなかったのですが、その中で今回印象的だったのが、「息を吸った瞬間に感情が生まれるから、それを殺さずにちゃんと前に出せ」という教えでした。それを聞いたときに、すごく納得してふに落ちるものがあったので、今回アントニーを演じる上でもその感覚を大切にしていきたいと思います。
舞台には立ち続けたいという気持ちがあります。舞台の現場のすごく好きなところは、何度も何度も繰り返し稽古をして、一つの作品をカンパニー皆でブラッシュアップしていけるということ。いろいろなことに挑戦できたり、その時々で違う感覚を覚えたり、そのときにならないと見えないものがあって、(稽古の時間が)私はとても好きな時間です。
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