【インタビュー】映画『ソワレ』村上虹郎「役者次第でどうにでもなる台本。責任重大だと思っていました」 芋生悠「この映画を見た皆さんが、もっと自分を愛せるようになったらうれしい」

2020年8月26日 / 06:07

 俳優の豊原功補と小泉今日子が、日本映画界に新風を吹き込もうと自らプロデューサーを務めた意欲作『ソワレ』が8月28日から、テアトル新宿、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸ほか全国公開となる。本作は、日常に鬱屈(うっくつ)した思いを抱える青年・翔太と、介護施設で働く薄幸の女性タカラが、ある事件をきっかけに出会い、警察に追われながら逃避行を繰り広げる鮮烈なロードムービー。公開を前に、翔太役の村上虹郎と、オーディションでタカラ役に抜てきされた期待の新星・芋生悠が作品に込めた思いを語ってくれた。

芋生悠(左)と村上虹郎

-劇中では翔太とタカラは終始行動を共にしますが、お二人は現場ではあえてコミュニケーションを取らなかったと聞きます。翔太とタカラの距離感はどんなふうに作り上げていったのでしょうか。

村上 意識して距離感を話し合ったことはないんです。脚本通り生きればいいのかな…と思っていたので。でも、2人の関係って不思議な距離感ですよね。運命的な出会いというわけでもなく、お互いの抱えた葛藤がたまたま共鳴したという、ほんの衝動的なものから始まっている。

-タカラが遭遇する事件の現場を翔太が目撃し、そこから連れ出したことが2人の逃避行のきっかけとなります。そのとき、翔太の中にはあった思いとは?

村上 「タカラを救い出したい」とか「どうにかしてあげたい」という気持ちはうそじゃなかったと思うんです。だからといって、それが本意でもない。結局は自分のためなんですよね。満たされない思いを抱える翔太にとっては「1人で逃げるのはちょっと怖いけど、2人だったら逃げられるんじゃない?」という感じで。翔太は自覚していなかったかもしれませんが。

-芋生さんは、タカラと翔太の距離感をどんなふうに捉えていましたか。

芋生 タカラは、小さい頃からずっと自分の足で歩いてきて、誰かのせいにすることをしてこなかった人です。そんな彼女が、初めて突き動かされるような感覚に陥ったのが、翔太との出会いだった。だから、その瞬間から体が勝手に動いている…みたいな感覚でした。それまでは、怒りや悲しみすら湧かないほど空っぽだったけど、翔太が手を握って、連れ出してくれたときから、腹を立てたり、笑ったり、どんどん感情を取り戻していく。ただ、それがずっと続くわけじゃないということも感じていて…。そういう意味では、一緒にいる楽しい時間が、ものすごく尊く感じられたんだろうな…と。

-それぞれ、役に対してはどんなふうにアプローチをしていったのでしょうか。

村上 翔太は僕と同じ役者だったので、難しかったです。一口に役者と言っても、いろんな人がいますから。自分と近過ぎず、遠過ぎず…という感じで。台本自体も、役者次第でどうにでもなるように書かれていたので、責任重大だな…と思っていました。

-映画を見ていると、「これが翔太」という感じで、違和感はありませんね。

村上 そういう意味では、僕は形から入るタイプなので、普段からビジュアルを大事にしています。外見にはその人の内面が最も端的に現れるので、形から作っていくのは大事。ただ今回は、その形を決める衣装合わせが大変で、かなり時間がかかりました。あれこれ悩んだ末、僕が「短パンでいいんじゃない?」と提案したら、周りが「え?」となって。そこでもう一押し「いや、短パンだと思うんですよね…」と言って、ようやく短パンに柄シャツという、ちょっとうさんくさい感じに決まりました(笑)。僕の中では珍しいケースでした。

-芋生さんはいかがですか。

芋生 村上さんと同じく外見に関して言えば、私は髪をベリーショートにしていた時期があるんです。そうしたら、外山(文治)監督がそれをイメージしていたらしく「切ってくれない?」と何度も言われて…(笑)。でも、私の中では、タカラはショートじゃないな…と。日々、介護施設で働き、疲れ切っているタカラには、身だしなみを気にする余裕はないはず。だったら、いちいち手入れをする必要がなく、とにかく束ねられればいい、ぐらいが合っているんじゃないかと。むしろ、伸びて、毛先がちょっとパサついているぐらいの方が、タカラが歩んできたものが感じられるのでは…と思っていました。

-その意見に監督は納得してくれましたか。

芋生 どうでしょう…? でも、『ソワレ』の直後に別の仕事で髪を切ったら、「なぜ切ってくれなかったの!?」みたいなことは言われました。単純にショートが好きだっただけかもしれません(笑)。

村上 ただのフェチですよね(笑)。

芋生 ショートフェチですね(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

仲野太賀 念願だった大河ドラマ主演「頭の片隅にあった大きな夢が目の前に」1月4日スタート!【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年1月1日

 1月4日からスタートする2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。(NHK総合 夜8:00~ほか ※初回15分拡大版)。主人公は豊臣秀長。戦国時代ど真ん中、強い絆で天下統一の偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描く夢と希望の下剋上サクセスストーリ … 続きを読む

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

自然体の魅力で今年もお正月の主役  もはや新年早々の風物詩になりつつある。ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画のことだ。24年は『エクスペンダブルズ ニューブラッド』、2025年は『ビーキーパー』、そして今年26年は1月2日から『ワー … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

 2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。  引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

Willfriends

page top