【インタビュー】『映画 ギヴン』江口拓也「アニメシリーズのその先の『ギヴン』という世界を楽しんで」

2020年8月21日 / 06:48

 フジテレビで人気の深夜アニメ枠「ノイタミナ」初となるBL(ボーイズラブ)コミックのアニメ化として話題となった、ロックバンド「ギヴン」のメンバーたちによるオルタナティブ・ラブを描いた大人気の青春バンドストーリー「ギヴン」。アニメシリーズのその後が描かれる『映画 ギヴン』がいよいよ8月22日から公開となる。本作で、「ギヴン」のメンバーの一人である梶秋彦を演じる声優の江口拓也に、映画版に懸ける思いや見どころなどを聞いた。

江口拓也

-アニメシリーズから映画版へと発展したことについての気持ちを教えてください。

 アニメシリーズを収録しているときに映画版を作るという話を聞きました。僕が演じる秋彦と春樹、そして雨月の大人組3人は、人物像の掘り下げによる本当の姿を見せる前にアニメシリーズが終わったので、その先を演じられるうれしさをすごく感じました。

-『ギヴン』の面白さをどこに感じましたか?

 オーディションを受けるときに、原作漫画を読ませていただいたんですが、BLということを途中で忘れるぐらい夢中になってしまいました。というのも、恋愛もあるんだけど、それぞれの心理描写や、バンドを結成したそれぞれの思いをぶつけていく青春の部分がとても強く描かれているからです。自分たちが学生時代に何かに打ち込んで、仲間たちとどういうふうに作っていくか、意見を交わし合うか、というのは、誰しもが経験していると思うので、そういうところに共感して面白いと感じました。

-江口さんは本作以外にもBL作品に数多く関わっていますが、本作のBL作品ならではの魅力を教えてください。

 同性の恋愛は、世の中の見方もそうですけど、やはり今の時代でもまだハードルがあると思うんです。その、向き合うべきものがあるという中で、それでも答えを導き出して関わっていくことを選択するという流れと、難しさを感じながらも乗り越えていく姿が、こういう時代だからこそ、見ている方にも勇気を与えるのが魅力だと思います。

-バンド「ギヴン」のメンバーたちは学生ということで、感情的だったり衝動的に同性愛に進んでいく場面もありますが、その姿を見てどう思われますか。

 すごくいいですよね。バンドにしろ、恋愛にしろ、勉強にしろ、自分が正しいかどうか、行動したいかどうかを考えるのが学生時代だと思うので、ちゃんと向き合っていることが、素晴らしいなと思います。大人になって社会に出ると、自由さもあるけど、その分制約も増えて、大人だから言えることや、言えないことなど、いろいろあると思うんです。そういった意味では、学生ならではのエネルギッシュな部分が出ていて、いいんじゃないかと思います。

-演じている役柄の魅力を教えてください。

 カッコイイなと思いますけど、同時に敵を作るだろうな、という生き方だから、ある意味でロックですよね(笑)。その中でも、ちゃんと自分の本心がしっかりあるし、その上で葛藤しているわけです。そういうふうに生きてみたいなとは思うけど、同時に苦しんでいるのが分かるから、何かを得るためには何かを失うんだなということを、物語を通して見られるのが面白みではあります。

-映画版の見どころを教えてください。

 春樹、秋彦、雨月の三角関係について、誰が結ばれて、誰が離れるのかという一区切りは、物語ですから当然つけるべきだと思うんです。だけど、見ていて思ったのは、付き合うのがゴールじゃないし、ハッピーエンドでもないということです。付き合うまでの過程、別れるまでの過程というのが大事で、そこに本心があるからこそ選択をするわけですけれども、本当の自分をさらけ出して行動できたということがハッピーエンドになるんじゃないかと思うんです。彼らがどういうふうに本心をぶつけるのかは三者三様で、本当の彼らを見ることができる瞬間が映画版にはあるので、そこは楽しみにしていただきたいところです。

-映画版で秋彦について注目してほしいところはありますか?

 秋彦にはずるい部分があるから、そこを見てほしいです。そういう状況でそうなったらこう思うよね、という共感できる部分、それがなくてもいいんですけど、ずるさというのは愛嬌(あいきょう)でもあるし、大人組と言われているけど、子どもっぽく見える部分があると思います。それが彼の人間的な魅力につながっていると思うから、そこは見ていただきたいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「べらぼう」ついに完結!蔦重、治済の最期はいかに生まれたか?「横浜流星さんは、肉体的にも作り込んで」演出家が明かす最終回の舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月14日

 NHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」を持ってついに完結し … 続きを読む

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

Willfriends

page top