【インタビュー】浪漫舞台「『走れメロス』~文豪たちの青春~」山口真帆が語る恋愛観「尽くすよりも尽くされる方がいい」

2020年8月26日 / 10:10

 内博貴主演の浪漫舞台「『走れメロス』~文豪たちの青春~」が、9月5日から開幕する。本作は、太宰治の親友で、作家の檀一雄が書き上げた回想録『小説 太宰治』をベースにした舞台作品。太宰と井伏鱒二ら文豪との出会いのほか、太宰が愛した女性たちとのロマンと波乱に満ちた日々を描く。太宰とともに入水して自ら命を絶ち“太宰の最後の女性”と呼ばれた山崎富栄を演じる山口真帆に、公演への思いを聞いた。

山崎富栄役の山口真帆

-初舞台になりますね。出演を決めた経緯を教えてください。

 台本を読んだときに、この山崎富栄という役は、自分にはない感情を持っている役だと思いました。「自分とは違う、この富栄という女性の人生も生きてみたい」と思ったのがきっかけです。富栄は単純に魅力的ですし、うらやましくも感じました。自分だったらこんなふうに一人の人に尽くして、死ねるだろうか。一人の男性をここまで愛せる女性はなかなかいないと思うので、恋に焦がれる富栄は美しくもあると感じました。

-初舞台に挑む今の心境はいかがですか。

 いつかは挑戦してみたいと思っていたので、楽しみというのが一番大きいです。自分ではない人物になれるというのは楽しいです。もちろん緊張はします。でも、その役が自分の中に入れば緊張も取り除けると思うので、しっかり富栄に入り込めたらと思います。

-もともと演技をしたいという思いがあったのですか。

 (芸能界に)入ったときは、考えてなかったです。

-現在(取材時は稽古前)、舞台に向けて、特別な準備はしていますか。

 富栄がどういう思いで太宰との死を選んだのかといったことなど、彼女の人生をいろいろな立場から考察しました。太宰の小説も、もちろん読みましたが、富栄と“同じような感情”を持つ女性たちについても調べました。自分に理解できないことを理解するのは大変ですが、自分にない感情を知れるのは面白いことでもあります。

-愛のために死ぬというのは、今の時代ではなかなか考えられないことですが…。

 そうですね。ただ、愛に溺れている方は、現代でもたくさんいると思うんです。なので、役作りでは、そういった方たちの感情もSNSで調べて参考にしました。「苦しいけど相手のことを嫌いになれない」「彼には浮気相手がいるけど、自分が一番の女性になりたい」などといったもどかしさ、切なさ…。もちろん、その方たちはすごく苦しい思いをしているわけですが、やはり誰かを愛することはすてきなことだと思うし、女性は恋をしているときにすごく輝いているな、と感じます。

-富栄とご自身との共通点はありましたか。

 自分が思ったことをやり通す姿勢、いくら周りが太宰のことを批判しても、「私は彼を愛する」と、自分の中に一本の正義があるところは好きです。私も大切な人がいたら、自分はいつでも味方でいてあげたいと思うので、そういう部分では共通しているかもしれません。

-富栄は自分から太宰に会いに行きました。山口さんも好きな人ができたら自分から行動に移しますか。

 私はしないです(笑)。私は相手から「好き」と言われないと、自分も好きになるきっかけを持てなくて。友達の場合も、自分から「一緒に遊びたい」「友達になりたい」とは言えず、受け身でいることが多いんです。「真帆ちゃん遊ぼう」と誘ってもらうことがきっかけになって、友達になることが多いように思います。

-自分から熱烈に誰かを好きになったりすることはない?

 ないです(笑)。相手に言われて、ですかね。

-人間関係ではドライな一面もあるんですね。

 みんな普通に好きなんですよ。ただ愛情まではいかないのかな、と。でも一度すごく仲良くなると、その人への愛はあるので、ちゃんと大切にしたいし、幸せになってもらいたいな、と思います。

-好きになったら、いちずということですか。

 そうですね。異性に限らず友達でも、好きになったら相手に喜んでもらいたいと思うタイプなので、サプライズとかも結構します(笑)。

-ところで、今日はキャラクタービジュアルで撮影もさせていただきました。舞台衣裳を着てみて、いかがでしたか。

 初めてウィッグをかぶったので違和感はありますが(笑)、皆さんに「似合っている」と言っていただけたので、この富栄のルックスも愛しながら演技ができたらと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

ディズニーの人気者「くまのプーさん」がミュージカルに! 「没入感や生の迫力を楽しめる」舞台公演を福尾誠が語る【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年4月21日

 ディズニーの大人気者、くまのプーさんと仲間たち、クリストファー・ロビンが四季をめぐって楽しい冒険をする、新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」が4月27日から全国10都市で上演される。等身大のパペットを役者たちが操り、すてきなセッ … 続きを読む

「光る君へ」第十五回「おごれる者たち」見どころを成立させるドラマの積み重ね【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月20日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月14日に放送された第十五回「おごれる者たち」では、藤原道長(柄本佑)の長兄・道隆(井浦新)を筆頭に、隆盛を誇る藤原一族の姿やその支配下の世で生きる主人公まひろ(吉高由里子)の日常が描かれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top