エンターテインメント・ウェブマガジン
記念すべき100作目の朝ドラ脚本という大役を成し遂げた大森寿美男。当初は放送が始まる前には書き終えるだろうと楽観視していたものの、ふたを開けてみれば1年半以上も本作に費やしていたのだとか。朝ドラ史上初となるドラマとアニメーションが融合した本作に込めた思い、特徴的なナレーションの裏話、脚本を脱稿した気持ちなどを聞いた。
執筆開始は去年の1月で、脱稿したのは7月22日の週でした。達成感を味わえると思っていましたが、視聴者に満足してもらえるのか最後まで分からないので、今も不安でビクビクしています。アニメパートがどういう仕上げになるかも想像もできないし、何よりも広瀬すずさんが最後まで全力で駆け抜ける姿を見るまでは責任を果たせた気がしません。
100作目だから当然注目度は高く、プレッシャーは全然違いました。キャスト・スタッフ全員を成功に導きたい意欲はありましたが、自分の世界だけで勝負していいのか? どこを目指せばいいのか? という不安や悩みも最初からずっとありました。年のせいもあって、脚本を書くスピードも全然違い、前作の倍はかかりました。当初は放送前に書き終わると思っていたけど無理でした(笑)。
なつの成長記であり、ホームドラマでもあるので、北海道の柴田家、新宿の風車、結婚しての坂場家、この三つを舞台に、物語を考えているときはいつも以上に楽しかったです。
アニメパートです。自分では絵は描けないし、自分だけの発想でも作れない。また、アニメーターの方々にたくさん作画をしてもらうことも、ドラマ内に登場させることができるアニメーションの分量にも製作的な限界があり、せっかくだからどんどんアニメを取り入れたいんだけど、それはできないので、少ない枠の中でアニメーションをいかに効果的に取り入れるかに悩みました。
戦災孤児であり、本当の家族ではない柴田家で育ったなつは、欲求のままに動くことや、他人に依存したり、踏み込んだりすることが苦手な性格で、常にどこかで不安や喪失感を抱えています。でも、そのマイナスな気持ちをパワーにして、明るく前向きに生きることがなつらしさなので、その時々で、「今、なつの中にある不安や喪失感は何だろう…」と考えていました。
難しい役を自然体で、かつ強い表現で演じられていると思います。なつは、人とのかかわりを大事にしていますが、根本的に孤独な人間です。そこが広瀬さんと共通している気がして、広瀬さんとなつの資質や性格は、僕の中で分けがたいです。だから、広瀬さんが表現することが、なつとしての正解だと思います。現場では一人でも何とか立ち続けようとしていて、そんな意志に共演者たちの心が動き、支えてあげたいという気持ちになるんじゃないかな。
僕が持っている勝手なイメージで書いていましたが、その人の資料をわざわざ読んで当て書きをすることはなかったです。役者のことを細かく知ってしまうと、その要素を取り入れたくなるけど、ネタみたいになって嫌なんですよ。「この人はこういう人かなぁ」と自由に想像している方が楽しいので、役者さんとは距離を置くようにして、あいさつ程度しかしませんでした。
「雪次郎の“素晴らしい役者”についての考え方が自分と同じ」などと言われていたようですが、それは当時の新劇の名優が言っていたことで、僕が彼をリサーチして書いたわけではありません。でも、山田くんが役者についてそんなふうに思っているのであれば、昭和の時代に活躍した俳優たちと同じ考えを持っているということなので、いいことなんじゃないかな。
ドラマ2024年5月5日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月5日放送の第十八回で、主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)にとっては母の仇に当たる藤原道長(柄本佑)の兄・藤原道兼が壮絶な最期を迎えた。衝撃の第一回から物語の原動力のひとつとなり、視聴者に強烈 … 続きを読む
ドラマ2024年5月4日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月28日に放送された第十七回「うつろい」では、藤原道長(柄本佑)の兄である関白・藤原道隆(井浦新)の最期が描かれた。病で死期を悟った道隆が、嫡男・伊周(三浦翔平)の将来を案じて一条天皇(塩野瑛 … 続きを読む
ドラマ2024年5月3日
妻夫木聡と渡辺謙が主演するテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」が5月6日に放送される。北川悦吏子氏が脚本を担当した本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が「人は何のために生き、何を残すのか」という … 続きを読む
舞台・ミュージカル2024年5月3日
城田優がプロデュースするエンターテインメントショー「TOKYO~the city of music and love~」が5月14日から開幕する。本公演は、東京の魅力をショーという形で世界に発信するために立ち上がったプロジェクト。城田が実 … 続きを読む
映画2024年5月3日
『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開) 18年前の台湾。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)は、アルバイト先のカラオケ店で4歳年上の日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、天真らんまんでだがどこかミステリアスな彼女に恋 … 続きを読む