「堺さんは『新選組!』のころとは全く別の人になって横にいます」 阿南健治(長宗我部盛親)【真田丸インタビュー】

2016年10月31日 / 06:11

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、長宗我部家再興のため、真田幸村(堺雅人)らと共に大坂城五人衆として大坂の陣に参戦した長宗我部盛親を演じている阿南健治。決断を誤り、悔いの多い波乱の人生を送り、最後に大きな戦いに臨んだ盛親の思いを語る。

 

長宗我部盛親役の阿南健治

長宗我部盛親役の阿南健治

-盛親はどういう人物だったと捉えていますか。

 (盛親を主人公にして描いた)司馬遼太郎さんの小説『戦雲の夢』を読みましたが、四男坊なのにいろんなことがあって家督を継ぐといういきさつが魅力的だと感じました。そんなことに葛藤するところも人間的だし、普通のあんちゃんが突然(当主という)責務を背負わされた感じは面白いですよね。

-台本を読んで、三谷(幸喜)さんの描く盛親をどう思いましたか。

 司馬さんはヒーロー的に描いているし、豪傑で背が高くて強いけど、三谷さんの台本には「肝が小さい」っていう表現も出てくるような人。でも、とても人間らしくて、長宗我部家を再興しなければいけないという思いがすごく強いと感じました。だから三谷さんと司馬さんの盛親を合体した感じを目指します。三谷さんからは「これまで盛親のことはほとんど描かれていない。だから今後は『盛親と言えば阿南、阿南と言えば盛親』というぐらいになるようにしていきたい。頑張りましょう」と言っていただいています。

-五人衆はみんな個性的です。

 真田さん以外の四人は特にね。祈ってばっかりいる明石全登(小林顕作)とか、愚痴ばっかり言っている後藤又兵衛(哀川翔)とか、クールに斜に構えて嫌みを言っている毛利勝永(岡本健一)とか、とにかく個性的です。この中では盛親が一番のぼんぼんでもあるし、育ちがいい。なおかつワイルドさも必要です。盛親は22万石の大名だったし、家来もいっぱい大坂城に連れてきているので、(四人には)負けないぞという気持ちが強い。だから威厳を出そうとして低い声でしゃべるなどいろいろ工夫をしています。下手をするとすぐ腰の低い番頭になっちゃう(笑)。根っからそっちの方なのでね。

-最初は、五人はばらばらですね。

 ですよね。でも、軍議の最後に豊臣秀頼(中川大志)に五人が一斉にお辞儀をするシーンで、カメラマンさんが「かっこいい」って言ってくれたんです。思いは違うけど、いろんなところから、ついに集まってきたんだなと感じました。あっ、チームができたっていう感じです。

-冬の陣の撮影で戦いの場に立った時、何を感じましたか。

 天気がすごく良くて、たくさんの赤い六文銭旗がなびいている真田丸を見た時は、あー、戦うんだなと。武将たるものとは何だろうと考えて、わくわくして楽しかったです。

-盛親は関ヶ原では西軍について没落しますが、大坂の陣でなぜ豊臣方についたんでしょう。

 徳川家康(内野聖陽)に邪険にされたんですよね。家康にごめんねと言いたかったけど、相手にされなかった。相手にしないなら、戦うよと。

-三谷さんとの付き合いが30年近く続いているのはなぜでしょうね。

 分からないです。梶原善に紹介してもらって、最初の三谷さんからの出演依頼は断ったのに、2本目にも誘ってくれたんです。それ以来、使ってくれていて。舞台を見たら感想をくれます。三谷さんはいい批評家でもあるので、あの人に認めさせたい、満足してもらえる演技がしたいなと思って、一本一本頑張ってアピールし続けていたからですかね。

-「新選組!」のころと違いはありますか。

 ええ。今回は土台のしっかりした大河らしい中に、三谷さんの細かい笑いをちりばめていますよね。

-堺さんとは「新選組!」でも共演していますが、変化はありましたか。

 いろんなドラマで主役を張ってきて身に付いた自信というか、揺るぎないものが育っています。いろいろ重いものを背負いながらも頑張っている。あのころとは全く別の人になって横にいます。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

市村優汰、憧れは父・市村正親のような俳優 「プリンス・オブ・マーメイド」で舞台初主演に「死ぬ気で頑張る」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月19日

 俳優・市村正親の長男で、ミュージカル「オリバー!」で本格俳優デビューを果たした市村優汰が、8月8日から上演される海の音楽劇「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」で舞台初主演を果たす。市村が演じるのは、人魚の王子タリク役。石 … 続きを読む

「光る君へ」第十九回「放たれた矢」華やかな宮廷劇の傍らで巧みに描かれたまひろの父の出世劇【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月18日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月12日に放送された第十九回「放たれた矢」では、権力の頂点に立った藤原道長(柄本佑)の活躍を軸に、藤原伊周(三浦翔平)・隆家(竜星涼)兄弟との確執や、図らずも実現した主人公まひろ(吉高由里子) … 続きを読む

「時代劇には無限の可能性があると思います」『碁盤斬り』白石和彌監督【インタビュー】

映画2024年5月17日

 身に覚えのない罪をきせられ、故郷の彦根藩を追われ浪人となった柳田格之進(草なぎ剛)は、娘のお絹(清原果耶)と江戸の貧乏長屋で暮らしていた。そんなある日、旧知の藩士からかつての事件の真相を知らされた格之進は復讐(ふくしゅう)を決意する。古典 … 続きを読む

【週末映画コラム】新作のラインアップに時代劇が並ぶ喜び『碁盤斬り』/『鬼平犯科帳 血闘』

映画2024年5月17日

『碁盤斬り』(5月17日公開)  柳田格之進(草なぎ剛)は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も失い、故郷の彦根藩を追われ浪人となった。今は娘のお絹(清原果耶)と一緒に江戸の貧乏長屋で暮らしている。  何ごとにも実直で、曲がったことが許せな … 続きを読む

柏木悠&石川凌雅&福澤侑「昭和のヤンキーはおしゃれで渋みがある」 ドラマ「ゴーストヤンキー」【インタビュー】

ドラマ2024年5月16日

 現在放送中のドラマ「ゴーストヤンキー」。本作は、陸上選手の夢を絶たれ、人生に絶望した少年・風町トゲルが、ひと癖もふた癖もある“幽霊の昭和ヤンキー”集団「わんぱく団」と出会い、人生が大きく変わっていくオリジナルストーリー。霊界で起こる不思議 … 続きを読む

Willfriends

page top