「撮影が終わったら寂しくなってお化けになった昌幸で出るかも」草刈正雄(真田昌幸)2 【真田丸 インタビュー】 

2016年9月6日 / 07:02

 NHKの大河ドラマ「真田丸」の主人公、真田信繁(堺雅人)の父、真田昌幸を演じている草刈正雄。豊臣秀吉(小日向文世)死去後の混乱の中、家族が東西に分かれ、関ヶ原の戦いに突入する。草刈が希代の戦略武将の無念を語る。

 

真田昌幸役の草刈正雄

真田昌幸役の草刈正雄

-収録が間もなく終わりますが、やり切った感がありますか。

 もうそろそろ限界かな、病気になりそう(笑)。でも、やる気を引き出してもらいました。

-周りの反響は?

 始めたばかりのブログに皆さんからいろんな意見が寄せられまして、本当にうれしいです、励みになりました。

-1年以上も同じ役を演じると、どうなるものですか。

 ブログに「昌幸と草刈さん、どちらがどちらかよく分からなくなりました」という書き込みがあったの。うれしいよね、なんか。とにかく楽しいです。あまり緻密なことを考えずにざっくりとやっていることが当たっているのではないですか。すてきなキャラクターを三谷(幸喜)さんは書いてくれました。台本のまま、楽しく暴れているだけなんです(笑)。

-昌幸の魅力は?

 あまり気持ちを抑えることをせず、自分勝手に思いっ切り人生を生きているというか、そんなところが魅力ではないですか。自分の道を貫き、周りを巻き込んでいく豪快さといいますか。喜怒哀楽がすごく激しいし、自分一人で決断する戦国武将が多い中で、昌幸は子どもにしがみつくこともある。そういうのが人間っぽくていい。出浦昌相(寺島進)とは、やんちゃ坊主が2人で「あそこの学校に殴り込みに行こうぜ」と相談しているみたいな間柄。天下がどうこうではなく、「わしらは戦場(いくさば)でないと生きられない」ということなのかと思います。それに昌幸は御屋形様(武田信玄)を最後まで引きずっています。出演シーンの最後の脚本でそう感じました。周りの武将からは「一番義もくそもない」と言われた男ですが、一番“義”があった人なのではないでしょうか。

-親子3人(昌幸、信幸、信繁)がたもとを分かつことを決める「犬伏の別れ」は三人での最後の撮影ですが、いかがでしたか。

 撮影に入る前は結構気持ちが高揚していて、待ち時間も控室に帰らずに三人で集まってずっと静かに待っていました。変なムードでしたね。

-役者として、堺さん、大泉洋さんと一緒にやってきて、いかがでしたか。

 魅力的な俳優さんです、あの二人は。洋ちゃんは(普段のキャラとは違い)あんなに生真面目でようやっとる。堺さんは緻密に演技プランを考えてくる人。二人の違いが面白いです。三人のチームワークも良かった。芝居的に変な遠慮がなく、気遣いし過ぎずにぶつけ合えた。すごく楽しかったです。

-真田家の家族のシーンで印象深いのは?

 ハグしたり、兄弟二人が顔をたたき合ったり、時代劇では珍しく、スキンシップが多い家族でしたね。

-徳川家康(内野聖陽)はどんどん怖さを増していきます。

 内野くんの芝居が憎々しくて、とっても重厚で、やっていて楽しかったです。

-草刈さんが幸村(信繁)を演じた「真田太平記」で昌幸を演じた丹波哲郎さんがスタジオにいると感じたとか。

 スタジオに入り込んでおられるのを感じます(笑)。昌幸のせりふ回しにも、ぼけーっとした表情にもどんどん丹波さんの(影響)が出てくるんです。助けてくれているんでしょうね。

-視聴者の昌幸ロスは大きくなりそうですね。

 どうですかね(笑)。僕は撮影が終わったら寂しくなるかな。スタジオに遊びに来るかもしれないですね。「通行人でいいから出して」って。お化けになった昌幸で出るかも(笑)。


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