NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、師の吉田松陰(伊勢谷友介)から久坂玄瑞(東出昌大)と共に最も期待された高杉晋作を演じている高良健吾。松陰の死後、上海で欧米列強にむしばまれる中国の現状を目にし、帰国後、過激な尊王攘夷運動を展開する。映画を中心に難役に挑む高良が、幕末の男たちのゆるぎない思いと松陰との日々を語る。
-役作りはどのようにしましたか。
とにかく資料を読みました。皆さんがよく知っているのは事を成し遂げた後の高杉かと思いますが、僕が演じるのは塾に入る前からの高杉。最初から高杉晋作は高杉晋作ではなかったんです。
-高良さんならではの高杉をどのように演じようと思っていますか。
すごく繊細で優しい人でもあるのですが、思い切りぶっ飛ぶ力もある人。ただかっこいいだけではなく、ダサいところもある。みんなが動いているときに動けない高杉もいた。コンプレックスやいろいろと胸の中に秘めたものを、表現できたらと思います。
-松陰は高杉をどう見ていたのでしょうか。
「少し頭が固いがそれがいい」と松陰先生は言っています。松陰先生と出会ったころの高杉は自分からあふれ出てくるものをどうしていいか分からなかったんでしょうね。
-高杉の運命についてどう思いますか。
病死なので、戦って死ねなかったことは悔しかったでしょうね。でもそれよりももっと悔しいのは変わった世界を見られなかったことでしょう。
-同世代の共演者がたくさんいますね。
新鮮だし、同年代が多くいるだけで(気持ちが)上がりますね。井上(真央)さんは同年代でありながら中心にいるし、ずいぶん以前に出会っていた(仲の良い)東出(昌大)もいます。彼が高杉とライバル関係にある久坂役というのも、きっと何かの縁ですね。
-主演の井上真央さんはいかがですか。
尊敬するほかないです。真央さんはみんなが言いづらいことを表に立ってまず言ってくれる。先頭を切ってみんなを連れていくというのではなくて、いつの間にかみんなの真ん中にいて、みんながその渦に巻き込まれていくという感じです。
-高良さんの役者人生の中で、今回の高杉晋作役をどう考えていますか。
20代前半は勢いだけでできる役が多かったけれど、27歳になって感じるのは、心身からあふれてくるものだけではなく、それをちゃんと言葉や感情にして(明確に)意識し、ちゃんと体の中に流していくことが必要なんだと思います。声を張り上げて暴れていれば傍若無人な演技にはなりますが、それだけでは表現したくない。静かな時でも心の中から煮えたぎる何かが出ていればいいわけですから。
-長州弁はどうでした。
イントネーションで困ったことはないです。それに長州弁はすごく優しい。特に(松陰の母役の)檀ふみさんの「せわーない(大丈夫)」には浄化されますね(笑)。