NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、主人公の文(ふみ=井上真央)の兄、吉田松陰(伊勢谷友介)と交流を続け、最初に文の姉、寿(ひさ=優香)、後に文と結婚した小田村伊之助(大沢たかお)の養母、小田村志乃を演じるかたせ梨乃。跡取りとして期待していた伊之助が、松陰の影響で幕末の戦いに身を投じようとするのを複雑な思いで見詰める。時代劇など数々の作品で女の業(ごう)や繊細な心の動きを表現してきたかたせが、母の愛を語る。
-今回の大河のお話があった時のお気持ちは?
出番は短いんですが、1年を通して物語の軸になる小田村伊之助の養母ですし、見えないところで責任のある役なのでお引き受けしました。母親として伊之助の人生に影響を及ぼしていると思いますし、それを大沢さんにどこかで出していただければうれしいなと思います。
-出演は2話までですね。
ええ、ですから凝縮したシーンが多くて、行間を埋めていく作業をしていかないといけない役でした。
-大沢さんの演技をどう感じましたか。
すごく思慮深くて慌てない、ダンディーな方です。二人だけのキャッチボールの芝居が多かったのですが、毎回違うボールを投げると姿を変えていろいろな答えが返ってきました。大沢さんは相手の表情やさまざまなものをちゃんと自分で吸収なさってから、返してこられる方ですね。
-有名な人物ではなく、松陰の妹の文が主人公ということについてどう思いますか。
女性の成長を描くものだと思います。そしてプロデューサーさんもおっしゃっていますが、ホームドラマなんですよね。松陰たちが成し遂げたことはすごいけど、その周りにいっぱい普通に暮らしている人たちがいたということ。決してヒーローを描く物語ではないんです。
-着物が似合うイメージありますが、時代劇はお好きですか。
好きです。時代劇って時間の流れが違うじゃないですか。だから時を大切にして演じるのが楽しいです。それに着物を着ると身も心も自然とおしとやかになるのは、和の心でしょうか?
-大河ドラマは時代劇の最後のとりでといわれていますが、大河に期待することはありますか。
知識とか技術は伝え続けていかないと忘れ去られてしまいます。特に美術関係はそうですね。それと大切なのは、待つことの喜びや不安から愛は生まれるということです。今は考えずに結論を急ぐけど、結論にいくまでの過程が大事なんです。それがあの時代の素晴らしさだと思っているので、時代劇の世界を大切にしていきたいですね。