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【軍師官兵衛インタビュー】内田有紀、「お濃は信長にとっての憩いの場」 正室・お濃役で初の大河ドラマ出演

 NHKで放送中の大河ドラマ「軍師官兵衛」初出演で織田信長(江口洋介)の正室・お濃を演じる内田有紀。 “マムシ”と呼ばれた斎藤道三を父に持ち、典型的な政略結婚で嫁いだが、父親譲りの才知から信長に愛され生涯離れることはなかった。

大河ドラマ初挑戦となる内田が信長と対等に渡り合ったお濃への思いを語った。

「ひたむきに演じていきたい」と語る内田有紀

-初めての大河ドラマ出演についての率直な感想をお聞かせください。

 私自身、大河ドラマのファンでした。子どものころから日曜の夜は祖父と祖母と大河ドラマを一緒に観て育ってきました。渡辺謙さんの「独眼竜政宗」や中井貴一さんの「武田信玄」が特に好きで、子供ながらに家臣の忠誠心に涙が出たり、熱くなるものがありました。ですから今回、役者として参加することができてとてもうれしく思っています。

 

-大河ドラマの持つ独特な緊張感のようなものは感じましたか。

  クランクインして初めのころは、緊張感というよりも自分がどのようにその場にいたらいいのかということに少し戸惑いました。テレビドラマの時代劇というものにあまりご縁がなかったので、現代劇での芝居とは違う感覚がありました。「これが大河ドラマ」という印象が強かったですね。

 

-時代劇ということで苦労している点は?

  やはり立ち回りなどですね。でもリハーサルのときに岡田准一さんが「この方が楽ですよ」「こういうふうにするとよく見えますよ」と弓の扱い方などを教えてくれましたので比較的早くできるようになりました。あとは現代劇と異なる呼吸の仕方、“半径何メートルかの空気感”。佇まいや呼吸でどんなお濃になるか、そうした地に足の着いた、落ち着いたお芝居が必要になってくると思っています。楽しみは毎回のセットです。信長の正室ということで位が高いので豪華なセットばかりなので、役得でいい経験をしています。

 

-大河ドラマ出演に当たって周囲からの反響はありましたか。

  友達からは「すごくきらびやかね」「いる場所がいつもすごいね」というセットの装飾の感想をよく聞きます。ドラマの内容についての感想ではないのかと・・(笑)。逆に私が感想を聞いてみたいです。視聴者の方は回を重ねていくうちにいろいろな見方をしていくようになると思いますが、自分なりにお濃のキャラクターをつかめたら、あとはひたむきに演じていきたいと思っています。

信長と生涯離れることがなかったお濃

 

-お濃を演じる上で、どういった役作りをされていますか。

  演じる人間は、まずは台本に書かれていることを忠実に演じることが使命だと思っています。台本を読んで、そこからヒントを得て自分なりのお濃を演じるところからスタートして、監督から「こういうふうに膨らませたい」と言われたらそれを具現化していく。最初は言われるままに演じていましたが、撮影が進むとまた少し変わってきて、今は自分なりの解釈が生まれ、演じる上で違う楽しみ方をさせていただいています。

 最初は、これまで自分の中にインプットされていた “時代劇とはこういう感じ”というものをなぞって演じている部分がありました。でも、撮影が進むにつれてだんだん変わってきましたね。豪華絢爛(けんらん)な生活をしている信長を見て、きっとお濃自身も何か変わってくるものがあったのではないかと思うようになりました。今はとにかく、自分自身がお濃そのものでいようと思っています。

 

-自分なりのお濃に成り切れるようになったということでしょうか。

  そうですね。お濃と自分自身の距離が近くなってきた気がします。衣装の打ち掛けも素晴らしく重みがあるので、拘束されている感じがしていましたが、今は自然となじんで軽やかに動けます。所作なども、少しですが私自身がお濃の生活に慣れてきた感じがします。ただ同時に、もっともっと勉強しないと駄目だと痛感します。

 

-江口さんが信長役と聞いたときはどのように感じましたか。

  うれしかったです。江口さんは私が中学生のころからドラマに出ていらっしゃる俳優さんでしたので、最初に共演したときはドキドキしました。今回は現代劇ではなく時代劇での共演なので楽しみでした。

 

-信長と2人のシーンが圧倒的に多いですが、江口さんとのお芝居はいかがですか。

  江口さんが演じる信長は常に先を見ています。信長とお濃は寄り添って生きていくタイプの夫婦ではないと感じていますが、だからこそお濃から寄り添っていくというか。2人のシーンでは普段殺伐としている信長が唯一、少し笑ったり、肩の力を抜けるといった描写が多いんです。お濃は信長にとっての憩いの場であろうと思っていますし、共に真剣に悩み苦しみ信長の支えや救いになれればと思っています。

 

-信長とお濃の夫婦像については江口さんと話されましたか。

  江口さんが「俺には濃しかいないよ」「濃しか分かってくれない」と、急におっしゃって(笑)。リハーサルのときにもそういうことをおっしゃるので、そんなに孤独なのかと思う反面、少しはお濃が救いになっているのかなと思います。怖がらずに信長のそばに寄り添っていけるのはお濃だけですから。真剣に話し合ったりはしませんが、江口さんはさりげなくお濃に対するイメージを伝えてくださるので、このお濃で正解なのかなと感じながら演じています。

 

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