【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

2025年11月17日 / 15:30

 ウェブトゥーンが担う“現代の小説”としての役割 

トークショー来場者にサインをする「ユミの細胞たち」の原作者イ・ドンゴンさん

 2000年代前半、漫画雑誌の相次ぐ廃刊とともに連載の場を失い、韓国の漫画産業は急速に衰退した。しかし、インターネットの普及が新たな道を開いた。アマチュア作家たちがオンライン上で作品を公開し始め、それが大手ポータルサイトで連載されるようになると、瞬く間に広がっていった。こうして誕生したのが、韓国発のインターネット漫画ウェブトゥーンだ。今やドラマや映画、ゲームなど、多様なコンテンツへと展開され、韓国文化の大きな柱の一つになっている。 

 –ウェブトゥーンと出版漫画の違いは? 

 ウェブトゥーンは、1回の分量が出版漫画の1章分よりも短く、トレンドを素早く反映する部分があるかなと。スマホでスクロールしながら読む形式のことだけじゃなくて、ウェブトゥーンの作者は“時代を映す”意識が強いんだと思います。出版漫画はそれとは逆ですよね。後半になればなるほど、どんどんその世界観にのめり込まされる。キャラクターも立体的に描かれているし。僕が好きな作品を比べた時にはそう感じます。 

 –Kコンテンツにおけるウェブトゥーンとは。 

 今この業界にいて感じているのは、ウェブトゥーンがかつての小説みたいな役割をしているということです。ドラマやゲーム、映画などを制作する時、以前なら本が原作になって、二次、三次と作品が発展しました。今は、NetflixでもDisney+でもウェブトゥーンが原作になることが非常に多くなっています。 

 –今後描いてみたいジャンルは? 

 これまではロマンスカテゴリーでしたが、もう描き切ったかなと思います。僕が年を取ったからかもしれません。今後は、恋愛ものとは離れたアクションなど、新しい挑戦をしてみたいですね。これまでが運が良すぎて、企画について悩んだことがなかったのですが、今回はじっくり悩んでみたいと思います。 

 –日本の読者にメッセージを。 

 頭の中にある悩みって簡単に口には出せないし、頭で思うことと口に出せることは違う。特に日韓は、文化的にそういう側面が強いのではないかと思っています。頭の中ではこんな欲望があったりするけれど、それを口に出したら失礼に当たったり社会的に問題になったりするので、隠したり言わなかったりする。そういうことを物語にしたんです。ユミがどこまで口に出し、どこまで表現するのか、そこに共感しながら見ていただくと楽しめるのではないかと思います。 

作品中の「ユミの優先順位掲示板」に貼られた、「ユミの細胞たち」と書かれたイ・ドンゴンさんの付箋


プロフィール 

81年生まれ。ウェブトゥーン作家。デザイン文具会社「甘い会社」の経営を経て、2011年「甘い人生」で漫画家デビュー。2015年「ユミの細胞たち」連載開始。NAVERウェブトゥーンを代表する名作恋愛漫画として人気を集め、2016年「今年の韓国漫画」選定、2018年大韓民国コンテンツ大賞漫画部門大統領賞受賞。「ユミの細胞たち」2021年ドラマ化、2024年アニメ化。著作に漫画「ジョジョコミックス」、絵本「なっちゃん波の冒険」他。 

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

上田竜也&川島如恵留、初共演の二人がバディを組んで事件を解決「お互いに切磋琢磨し合えるような稽古場に」 「ノッキンオン・ロックドドア THE STAGE」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年8月22日

 上田竜也と川島如恵留が出演する、EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP「ノッキンオン・ロックドドア THE STAGE」が10月6日から上演される。本作は、数々の文学賞の受賞歴を誇る作家・青崎有吾による人気小説シ … 続きを読む

横浜流星「毎回皆さんをハラハラさせながら、しっかりと心に届く作品をお届けできるよう日々撮影に挑んでいます」「LOST10」

ドラマ2026年8月14日

-今回の小駒という役をどう捉えてアプローチをしていますか。  小駒は、分かりやすいというか、正義感や行動力があって、豪胆で短絡的で、出世欲もあって、何度も異動届を出しているけど、それが認められず、地方の高齢化が進んでいる警察署の中では一番の … 続きを読む

中川大志、三谷幸喜の最新作は「現代にも通ずる、過去の出来事として片付けられないもの」を描く PARCO PRODUCE 2026「アメリカン・ドリーム」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年8月8日

 三谷幸喜が長年温めていたテーマを豪華キャストで描く、渾身(こんしん)の書き下ろし新作舞台「アメリカン・ドリーム」が8月15日からPARCO劇場で上演される。本作は、1940年代後半のアメリカを舞台に、反共産主義に基づく“赤狩り”によって告 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#韓国人はなぜ「呼称整理」をするのか、「脱出おひとり島」が映す韓国社会

2026年8月7日

▽年齢公開のあとに始まる韓国社会  そして、最終日前夜。  参加者たちはキャンプファイヤーを囲み、打ち解けたおしゃべりの中で、それまで隠してきた年齢と職業を、一人ずつ明かしていく。「実は◯歳です」の一言ごとに、歓声と悲鳴が上がる。年上だと思 … 続きを読む

福原遥「自分の大切な人を大事にして生きていこうと思いました」【インタビュー】『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』

映画2026年8月6日

-細田佳央太さんと倍賞千恵子さん。共演したお二人の印象を。  細田さんとは初共演でしたが、お芝居を一緒にさせていただいてとても楽しかったですし、初めてとは思えないぐらいの安心感がありました。細田さんが演じた涼も難しい役で、百合とはそれぞれの … 続きを読む

page top