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桐山 同じ事務所の人たちでも同級生が少ないんですよ。なので、ようやく同い年の役者さんとご一緒できるとすごくうれしかった記憶があります。初演が終わってからはそれほど頻繁に連絡を取っていたわけではないですが、久々に会っても当時と同じ感覚で、ラフに接してくれるし、接することができるので、それもうれしいです。ただ、がさつなんですよ、この男。僕の人生ではいなかった別枠を作った男です。
柄本 別枠を作ったんだ(笑)。
桐山 別枠だよ! 僕もサンダル族で靴下を履きませんが、時生も素足が好き。でも、僕はサンダルで来ても、稽古場では専用の靴を履くけれど、時生はサンダルで来てそのまま素足で稽古をし出すんですよ。ぺちゃぺちゃと入ってきて「私、ジュリエット」って急に始まるんで、心臓がザワザワしました(笑)。桐山照史の人生では出会ったことのない人。肝が据わりすぎている姿を見て、自分は今までぬるま湯に漬かっていたんだなと思ったほどでした(笑)。
柄本 この5年の間に気付いたんだけど…それは、親父が劇団をやっていて、子どもの頃、学校が終わると本多劇場に帰っていたからなんです(笑)。劇場をはだしで走り回って、劇団員のお兄ちゃんに鬼ごっこしてもらっていたんです。それが今でも抜けていないんだと思う。
桐山 いまだに覚えているのは、(初演で)最初に鄭さんが時生に言ったコメントが「お願いだから靴履いて」だった(笑)。鄭さんは自由にさせてくださる演出家さんですが、そこは言ってました(笑)。
柄本 今回は靴、持っていきます(笑)。
柄本 僕が想像していたより優しかったです。とにかく優しい人でした。
桐山 怖そうだなって思ってたの?
柄本 豪快なイメージがあったんですが、これほど人の気持ちをくみながら話してくれる人だとは思っていなかったんです。初演の写真撮影で「向かい合って話してください」と言われたときに、(桐山が)「どっちの目から見る?」って。僕が「右」と言ったら、「見ていいよ」と。そんなシチュエーションで楽な気持ちにさせてくれる人はなかなかいないと思うんです。こんなに優しい方だったんだと印象が変わりました。
桐山 それは、僕たちがメンバーと撮影をするときに編み出した技なんです(笑)。メンバー同士でも恥ずかしいんですよ。だから、「顔を見合わせた写真を撮らせて」と言われたときには、「ちょっとずつ顔を変えるから、どこが変わったか当てて」というゲームをしたり、何か話をしたりする。
柄本 そうなんだ。僕はそれがすごく助かったし、それで女子になれた。女子ってこんな気持ちかもって。
桐山 あはは(笑)。
柄本 何でも話せたよね。くだらないことばっかり話してた。
桐山 当時はコロナ前だったから、稽古終わったらみんなで飲みに行って。
柄本 行ったね。確かに男子校みたいだった。
桐山 それから、僕は基本的に差し入れはずっとお酒でした。そういうのもあってか、終わったらみんなで飲んで、ご飯を食べて帰る。それが一番、記憶に残っています。
桐山 なかったです。この作品は先輩もたくさんいらっしゃるので、どうやったら先輩との距離を縮められるのかを考えていましたし、先輩方も気を遣って話してくれたのを覚えています。「みんなで飲もうぜ」と。
柄本 みんなでお好み焼きにも行ったよね。もう帰ろうかとなったときに八嶋さんが来て「もう1杯だけ付き合って」となって。「行きます!」って、そういうのも男子校っぽくて楽しかったね。
桐山 楽屋や稽古場よりも、それが終わってからのことばかり覚えてます(笑)。
桐山 自分の好きな世界観、ストーリーの作品なので、初演時も楽しみながら演じられました。お芝居はこんなにも楽しいんだということを教えてもらった作品です。今回新たなキャストの方々も集まってくださり、2025年バージョンを皆さまに届けられることはすごくありがたいと思います。前回、見ることができなかったお客さまも、前回も見てくださり今回も来てくださるというお客さまも、皆さんに楽しんでいただけるよう全力でお稽古して、パワーアップした「ロミジュリ」を届けられるように頑張ります。
柄本 再び「泣くロミオと怒るジュリエット」に挑戦させていただきます。とんこつのような、濃いめ濃いめに、一生懸命、力強く頑張らせていただくので、ぜひ楽しんで見ていただけたらと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
Bunkamura Production 2025「泣くロミオと怒るジュリエット2025」は、7月6日~28日に都内・THEATER MILANO-Za、8月2日~11日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。
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