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テレ東にて、7月12日(金)深夜24時12分から始まる「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(略称:錦パラ)は、東京・墨田区錦糸町を舞台に掃除屋たちがさまざまな人々との出会いを重ねていく人間ドラマだ。本作は、俳優の柄本時生が初プロデュースを務め、コロナ渦中に結成した「劇団年一」としても活動する長年の親友、賀来賢人、落合モトキ、岡田将生との共演も話題を集めている。放送開始を前に、柄本、賀来、落合の3人が、本作にかける意気込みを語ってくれた。
柄本 やりがいはすごくあります。今まで出演する側として仕事をしてきましたが、制作の内側を見たのは初めてだったので。例えば衣小合わせ(衣装と小道具に関する打ち合わせ)なら、俳優であれば自分の衣小合わせが終われば帰りますが、プロデューサーになると全員を見ることになります。おかげで、クリエーティブ面の舞台裏を、初めてきちんと知ることができました。そういうところに、すごく感動とやりがいを感じています。
賀来 僕もプロデュースの経験があるけど、俳優だけで参加する作品とはまた違った感覚になるよね。最初に「柄本時生プロデュース」と名前が出たら、その作品はもう、柄本時生の感性。だから、自分のやりたいことを詰め込んだ責任を負う分、そこを貫き通さなければいけないし、それが世間に伝わったときの感動は格別。だから、本当に自分の子どものようで。
柄本 そうだね。本当に大切。
賀来 でしょ。
落合 撮影に入るのが3人一緒だったんだけど、メイクをしているとき、賀来くんが時生ちゃんに、「おめでとう」と声を掛けているのを見て、僕も「良かったな、時生ちゃん」と思った。時生ちゃんから事前に「こういう企画を出してみようと思うんだけど」と聞いていたこともあって。
柄本 俳優としてもリスペクトするみんなと「こういうことができたらいいよね」と、語っていた夢を実現できたことが、とにかくうれしくて。
落合 20代の頃はプライベートで毎週のように会う関係で、そのときから「いつか一緒に芝居したいね」なんて話していたからね。
柄本 現場に入ってみんなで脚本について話をしたとき、「僕らも大人になったな。これがやりたかったんだよ」という感覚になれたのもうれしくて。しかも、それを撮ってくれるのが、僕らを昔から知っている廣木(隆一/『余命1ヶ月の花嫁』09など)監督。
賀来 僕だけ、廣木監督は初めてなんだけど(笑)。でも、初日に廣木監督が、「自由にやってみて」と言うので、自由にやってみたら、本当に楽しかったんだよね。10代から知っている仲間と普段通りの関係性で会話をしたものが、お芝居に昇華し、映像として世に出る。その幸せといったら。
柄本 ぜいたくな時間だよね。
賀来 こういう関係性が画面に出ているドラマはあまりないと思うから、面白いんじゃないかな。
落合 せっかくみんなと共演するのに、残念なものは出したくないと思って、初日は(自分の中の)引き出しにいろいろと忍ばせて入ったんだけど、カメラの前に立ったとき、手前にあるものをすぐに使えたような感覚があった。やっぱり、出会って20年くらい経つから、変に考えることなく、積み上げてきたものが自然に出てきた気がする。そういう意味では、自分から遠い役ではないと感じたな。
柄本 僕は自分に近いようで遠い感覚かな。置かれている環境が自分とは違うから。ただ、会話をするときは、なるべく普段通りを心がけている。
賀来 僕は、時生から見た僕はこうなんだろうな、と思ってやっている。思い切りバスケ小僧みたいな格好をさせられているけど(笑)。台本を読んでも、時生から見たモックン(落合)、時生から見た僕、なんだろうなと感じた。
柄本 ものすごく感慨深いです。撮影が始まってから、だんだんフラットになってきたんですけど。ピークは情報解禁の日。蕁麻疹が出そうなくらい緊張した。ネットニュースになったのを見たときは、「本当だったんだ」と、とにかく感動で、うれしかった。
落合 僕は今も毎日感慨深いよ。毎朝、メイクしていると時生ちゃんが「おはよう」と入ってきたり、賀来くんが入ってきたりして、今日も始まるんだなと思って。それでもカメラの前に立つと、みんなきちんとお芝居する役者になっている。
賀来 本当に楽しいんだよね、毎日。
落合 そうなんだよ。
賀来 普段はこんな時間ないからね。みんなもう大人で、僕も子どもが2人いるし、それぞれ仕事も忙しいから、こんなに毎日みんなとお芝居できて、話もできる時間はほかにない。
落合 カメラが回っていないときも、汗かきながら話していて(笑)。
柄本 「そんなに話すことある?」と思うくらいで(笑)。
落合 でも、僕ら4人が楽しいだけの作品にはしたくないよね。きちんとスタッフさんも巻き込み、愛される「劇団年一」でありたいと思うし、その空気をご覧いただく皆さんにも愛してもらえるようにしたい。その方が、みんなハッピーになれるはずだから。
柄本・賀来 そうだね。
(取材・文/井上健一)
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