水樹奈々「神様が与えてくださった新たなチャレンジの機会」女性狂歌師役で大河ドラマ初出演【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

2025年6月1日 / 10:00

(C)NHK

-水樹さんは声優としてもご活躍ですが、智恵内子の声については、どのような点を意識していますか。

 声優として演じるとき、そのキャラクターがどんなふうにしゃべるのか、私は骨格からイメージを膨らませています。この骨格なら、こういう声帯で、こんな音の響き方で、こうしゃべるだろうと想像し、そこから導き出された声を当てるようにしています。ただ今回は、自分の肉体がそのキャラクターに当たるので、自分の動きに連動して出てくる音が正解と考え、声を作る、いい声で狂歌を詠む、といったことは意識せず、お芝居の中で自然に出てくる声をそのまま生かすようにしました。

-狂歌師役を演じて、狂歌の魅力をどのように感じましたか。

 実は、撮影で最初に読んだ歌が百人一首のパロディーだったんです。私は小学生の頃、百人一首クラブに所属していたので、元ネタがわかってより楽しむことができました。そういう意味で狂歌は、知識や教養があるほど、深く楽しめるものだと感じました。しかも、「今回のお題は“うなぎに寄する恋”」と言われたら、みんな即興で読んでいく。同じお題でも人によって詠む歌が全く異なり、特に男性は下ネタになることもあったりして(笑)。詠み方も決まったものはなく、宴会の中でどんちゃん騒ぎながら詠むときもあれば、和歌のように格式張って詠むときもあり、本当に自由なんです。まるで現代のラップバトルです。

-第20回でもその自由な雰囲気は伝わってきました。

 そういう格式張らない面白さが、ポップカルチャーとして庶民に親しまれるようになった理由なんでしょうね。ただその分、瞬発力や構成力、センスは知識量に左右されるので、智恵内子が、ものすごく教養のある方だったことにも気付かされました。

-狂歌と現代のポップカルチャーの共通点を感じた部分はありますか。

 今までにないものにお客さんが魅力を感じて話題になるのは、当時も今も変わらないんだなと。だからこそ、蔦重はアンテナを広く張り、面白いものをいち早く見つけ出していた。しかも、お金をかければヒットするというわけでもなく、どう売り出せばいいのか、アイデア勝負の面もあり、そこにはセンスが要求される。そういう点も現代と同じですよね。

-ご自身の声優・アーティストとしての活動との共通点を感じた部分はありますか。

 私もライブの演出を自分で考えていますが、常に新しく面白いことに挑みたいと、普段からさまざまなものに触れるようにしています。蔦重の足元にも及びませんが、その点では少なからず近いものはある気がしています。また、声優としてオーディションを受ける時も、水樹奈々ならではの表現ができた時に合格することが多いので、そういった発想の転換やアプローチの仕方なども、共鳴するところが多いと感じます。

-江戸のポップカルチャーを描く作品の魅力をどのように感じていますか。

 当時、どんなものが人々に愛され、芸術や文化がどのように発展していったのか、以前からとても興味がありました。それが人間ドラマを交えつつ描かれているところが、非常に魅力的です。中でも、女性としては瀬川(小芝風花)たち花魁の切ない恋やつらい日々を精いっぱい生き抜こうとする生きざまが胸に響き、思い切り感情移入しながら見ていました。

-今後の智恵内子の見どころを教えてください。

 狂歌との出会いをきっかけに、蔦重はこれからさらにヒット作を世に送り出していくことになります。その火付け役として、智恵内子が登場する回は物語を大きく動かすカギになるので、ぜひご期待ください。しかも、緊迫感があり、胸が痛くなる展開も少なくない物語の中で、終始ふざけたことばかりしている狂歌の会は、笑えてホッと息がつけるシーンになると思います。楽しんでいただけたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)

(C)NHK

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『ディスクロージャー・デイ』(10月1日公開)  サイバーセキュリティーの専門家ダニエル(ジョシュ・オコナー)は、謎の組織ワーデックスから機密情報を盗み出す。一方、ローカル局で気象予報士を務めるマーガレット(エミリー・ブラント)は、突如とし … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

-本作の注目してもらいたいところは? 松尾 たくさんのキャラクターが登場しますが、全員に感情移入できる作品なのではないかなと思います。光一くんは、「陽」だけのものは作らないと思うので、「陰」があったり、考えさせられる物語になると思います。お … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

-南の初恋の相手・船井湊人を演じる高橋文哉さんとは初共演ですが、印象を教えてください。  初日はドラマの鍵になる出会いのシーンを撮影しました。大事なシーンだったので、どうするかを話し合いながら臨みましたし、すてきなシーンになっていると思いま … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

-横浜さんと小栗さんが演じたことで、キャラクターの印象は変わりましたか。 塚原 小駒は田舎の刑事で出世したいという設定があって、うだつが上がらない感じに近いのかなと思っていたのですが、横浜さんは身体能力に長けていて山をぐんぐん登るので、その … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-そして、子どもの頃、一緒に事件を起こして以来、疎遠になっていた拓海との再会は、アーチェリーに打ち込む龍之介の人生を次第に狂わせていきます。 磯村 末澤くんとは初共演で、龍之介と拓海が再会する場面は僕たちにとっても初めて一緒にお芝居するシー … 続きを読む

page top