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声優として演じるとき、そのキャラクターがどんなふうにしゃべるのか、私は骨格からイメージを膨らませています。この骨格なら、こういう声帯で、こんな音の響き方で、こうしゃべるだろうと想像し、そこから導き出された声を当てるようにしています。ただ今回は、自分の肉体がそのキャラクターに当たるので、自分の動きに連動して出てくる音が正解と考え、声を作る、いい声で狂歌を詠む、といったことは意識せず、お芝居の中で自然に出てくる声をそのまま生かすようにしました。
実は、撮影で最初に読んだ歌が百人一首のパロディーだったんです。私は小学生の頃、百人一首クラブに所属していたので、元ネタがわかってより楽しむことができました。そういう意味で狂歌は、知識や教養があるほど、深く楽しめるものだと感じました。しかも、「今回のお題は“うなぎに寄する恋”」と言われたら、みんな即興で読んでいく。同じお題でも人によって詠む歌が全く異なり、特に男性は下ネタになることもあったりして(笑)。詠み方も決まったものはなく、宴会の中でどんちゃん騒ぎながら詠むときもあれば、和歌のように格式張って詠むときもあり、本当に自由なんです。まるで現代のラップバトルです。
そういう格式張らない面白さが、ポップカルチャーとして庶民に親しまれるようになった理由なんでしょうね。ただその分、瞬発力や構成力、センスは知識量に左右されるので、智恵内子が、ものすごく教養のある方だったことにも気付かされました。
今までにないものにお客さんが魅力を感じて話題になるのは、当時も今も変わらないんだなと。だからこそ、蔦重はアンテナを広く張り、面白いものをいち早く見つけ出していた。しかも、お金をかければヒットするというわけでもなく、どう売り出せばいいのか、アイデア勝負の面もあり、そこにはセンスが要求される。そういう点も現代と同じですよね。
私もライブの演出を自分で考えていますが、常に新しく面白いことに挑みたいと、普段からさまざまなものに触れるようにしています。蔦重の足元にも及びませんが、その点では少なからず近いものはある気がしています。また、声優としてオーディションを受ける時も、水樹奈々ならではの表現ができた時に合格することが多いので、そういった発想の転換やアプローチの仕方なども、共鳴するところが多いと感じます。
当時、どんなものが人々に愛され、芸術や文化がどのように発展していったのか、以前からとても興味がありました。それが人間ドラマを交えつつ描かれているところが、非常に魅力的です。中でも、女性としては瀬川(小芝風花)たち花魁の切ない恋やつらい日々を精いっぱい生き抜こうとする生きざまが胸に響き、思い切り感情移入しながら見ていました。
狂歌との出会いをきっかけに、蔦重はこれからさらにヒット作を世に送り出していくことになります。その火付け役として、智恵内子が登場する回は物語を大きく動かすカギになるので、ぜひご期待ください。しかも、緊迫感があり、胸が痛くなる展開も少なくない物語の中で、終始ふざけたことばかりしている狂歌の会は、笑えてホッと息がつけるシーンになると思います。楽しんでいただけたらうれしいです。
(取材・文/井上健一)
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