柚香光&樋口日奈、劇団☆新感線の新作で母娘役「全身全霊で日々を重ねていきたい」【インタビュー】

2025年5月3日 / 10:00

-それぞれが演じる役柄についてどのように捉えていますか。

柚香 紅子は、「人間ではないし、鬼でもない。でも、人間であって鬼でもある人物」です。心もさまざまな面を持っている多面的な存在で、葛藤や過ちを抱え、自分の行動をコントロールできないときが出てきます。ですが、彼女は壁にぶち当たっても自分自身に問いかけて、必死にもがきながら生きている。鬼の役ではありますが、人間の私たちにも通ずる葛藤や悩みを持っていて、お客さまはとても共感できるのではないかなと思います。鬼というただの架空の存在ではなく、架空でありながら多くの人が持つ感情を共有していただけるような役作りができたらいいなと思っています。

-今回は、母親であり、妻であるという役柄です。宝塚歌劇団で男役をされていた方は退団された後、女性役を演じることに難しさを感じるとも言いますが、この作品は鬼という役柄なのでそういう意味での難しさはないですか。

柚香 今回のお役にも女性らしい部分があります。鬼も演じますので、その演じ分けがキーになってくると思います。もちろん、娘時代、母親、妻としての姿を演じる場面もあるので、その難しさもありますが、平安時代の所作であったり、鬼としての動きをどう作っていくのかは、いのうえさんをはじめとした皆さんと一緒に作っていきたいと思います。女性になる、妻、母という新しい自分の芝居の打ち出し方を作っていくのは、新しい1歩だなとも思いますし、それにプラスして、さまざまな面でも作り込んでいきたいと思います。

-樋口さんは柚香さんが演じる紅子の娘という役どころです。

樋口 私が演じる藤はこの物語の中で唯一の存在として描かれています。鬼である母と、人である父を持つ娘。その葛藤や、そうした立場の子がどのような一生を全うするのかをしっかり考えながら、見てくださっている方々にメッセージをお届けできるように演じたいです。未知なところが多いので、きっと稽古が始まってからたくさんの刺激を受けて作られていくんだろうなと楽しみです。

-柚香さんが母親役で、鈴木拡樹さんが父親役という豪華な家族構成ですね。

樋口 どうしましょう。ぜいたくでございます。

-お二人の親子関係は、どう作っていきたいと考えていますか。

樋口 藤は「鬼だから。人だから」といったことは考えず、ただただ愛を受け取っているのだと思いますので、あまり考えすぎない方が良いのだろうなと思います。

-最後に改めて公演への意気込みと読者へのメッセージをお願いします。

樋口 今回、初出演で、カンパニーで最年少でもあります。さまざまなことを吸収し、どんなことにもトライしたいと思います。この期間に私自身も成長できるよう覚悟を持って臨みます。見に来てくださった皆さんが劇団☆新感線の魅力を再確認できる公演になるよう、そして初めての方には新感線を体験していただき、魅力をお伝えできるよう一生懸命頑張ります。

柚香 お伽噺のような世界観と平安の時代の中で、自分にしかできない紅子という鬼の役を作っていくことに「やるぞ」という気持ちが湧いています。キャストの皆さまと初めてご一緒して、お芝居をする中で温かく快活で朗らかな空気感ができあがっており、そうした皆さんとご一緒できることに大きな喜びがあります。これからどのように稽古が進み、自分がどんな壁に当たって悩むのか分かりませんが、良い作品を作るために全身全霊で日々を重ねていきたいと思います。

(取材・文・写真:嶋田真己)

 2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective「紅鬼物語」は、5月13日~6月1日に大阪・SkyシアターMBS、6月24日~7月17日に都内・シアターHで上演。

2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective「紅鬼物語」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

中島裕翔&岡本健一が親子役に 演出の上村聡史と3人で語る舞台「みんな鳥になって」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月5日

-上村さんとして、岡本さんに期待することは? 上村 健一さんとはもう10本目ぐらいのお付き合いなので、特にないのですが(笑)。 岡本 あはは(笑)。 上村 ダヴィッドは少しヒール役のような印象からスタートしていくのですが、彼もやはり犠牲者で … 続きを読む

木村文乃&田中樹が挑む歴史スペクタクル×本格サバイバルスリラー 「この題材に日本で挑戦するんだと前のめりな気持ち」「連続ドラマW I, KILL」【インタビュー】

ドラマ2025年5月3日

-役柄については、どのようなところをポイントに演じましたか。 田中 すごくささいなことでいうと、まばたきをしない。それから、監督とは、例えば何かに反応するときの速度はどうするのかといったとにかく細かいことを話し合いました。士郎は、半分「群凶 … 続きを読む

【週末映画コラム】50年の時を経て製作された『新幹線大爆破』新旧2作を紹介

2025年5月2日

『新幹線大爆破』(75)(5月9日から2週間限定で全国リバイバル上映)  国鉄本社に、東京発博多行きの東海道・山陽新幹線に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が入る。爆弾は時速80キロ以下に減速すると爆発するようセットされているという。大金を要求し … 続きを読む

中園ミホ「皆さんに“やなせたかしワールド”を知っていただきたい」連続テレビ小説「あんぱん」脚本家が作品に込めた思い【インタビュー】

ドラマ2025年5月1日

-のぶのモデルになったやなせさんの奥様の暢さんについてはいかがでしょうか。  打ち合わせを重ねた末、朝ドラらしく主人公は女性で、ということで、のぶが主人公ということになりました。暢さんのことはこれまで存じ上げませんでしたが、今回の取材を通じ … 続きを読む

水上恒司、髙石あかり「大人の方たちにもぜひ見てほしいと思いました」『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』【インタビュー】

映画2025年5月1日

-それはご両親のイメージ? 水上 僕は九州出身なので、それはすごく感じます。男を立てるみたいな昔のイメージ。それがいいとか悪いとかではなくて、それは僕がそうした生い立ちだからこそ、そういうイメージが湧いてきたのかなと思います。 -自分が演じ … 続きを読む

Willfriends

page top