TBS 日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」 脚本家・野木亜紀子氏×塚原あゆ子監督が明かす、制作のきっかけ&キャスティング秘話。

2024年10月17日 / 18:00

(C)TBSスパークル/TBS

-神木隆之介さんのキャスティング理由について教えてください。

野木 神木さんはちょうど30代前半で、若者の青春を描くドラマにはちょうど良い年齢でした。本作では70年の時間軸を描くこともあり、40歳の方に20代を演じてもらうのはさすがに難しいと思っていて。神木さんにお願いしようと決めたのは連続テレビ小説「らんまん」(NHK)の放送前でしたが、日曜劇場を背負えるだろう期待もありました。

塚原 そうそう。30代前半で、視聴者の皆さんにもなじみがあり、日曜劇場を背負っていただける人、という難しいキャスティングでしたが、その中で神木さんが私たちのイメージにピッタリだったんです。

-神木さんの一人二役という設定はどのように生まれたのでしょうか?

野木 塚原さんから「現代のストーリーを入れてほしい」という話があったときに、過去を振り返る構成なら一人二役のほうがいいのではないかなと思ったんです。過去と現代、それぞれに別の主役ができてしまうのも違うなと…。神木さんなら一人二役できそうという他力本願な気持ちもありました(笑)。過去パートでは、神木さんのイメージに近い、明るく真っすぐな鉄平を演じていただくので、現代パートでは神木さんが今まで演じていなさそうな役にしたく、ホストという設定にしました。

-実際に神木さんの演じ分けをご覧になっていかがですか?

塚原 撮影現場では、いつもすごく柔軟に対応されています。二役を演じるというのは、どちらのキャラクターも自分の中から引き出さなければならないので、器用に分けなければいけない難しさがあります。神木さんはそういった面も非常にお上手。もしかしたら苦しんでいることもあるかもしれませんが、そういったそぶりは一切見せずに楽しそうに演じてくださっていて、そんな座長についていくのがとても楽しいです。

-神木さんに加えて、豪華な出演者たちにも注目が集まっています。キャスティングのこだわりや、それぞれの魅力は?

野木 それぞれ違うタイプの俳優さんに集まってもらえましたね。神木くんと清水尋也くんは全く違うタイプの俳優さんですし、杉咲花さん、池田エライザさん、土屋太鳳さんもパッと見ただけで、明らかに異なるキャラクターを演じているとわかると思います。若い俳優さんを知らない年配の方はもちろん、外国の方が見ても混乱せずに楽しんでもらえると思います。

塚原 基本的には、それぞれが一緒にお仕事をしたい俳優さんの名前を挙げてキャスティングが進みましたね。現代パートにもひと癖ある俳優陣がそろっていて、個性的なお芝居のぶつかり合いを見ることができます。過去と現代パートの空気感が全く違っているので、その違いも見どころ。同じ日に過去と現代のシーンを撮影することもあって、「水がない…!」というセリフがあったかと思えば、その後の撮影では高級車から降りてくるシーンがあったりして。まるで2本の別作品を撮っているような感覚になります(笑)。

野木 キャスティングでいえば、新井さんが炭鉱夫役を集めるのにかなり苦労していますよね。炭鉱夫に見えると同時に、しっかりお芝居ができる人を探すのが大変らしくて。屈強な体格の俳優さんは、誰も彼も他の時代モノの撮影でスケジュールを大きく抑えられていて困るという裏話もあったりして(笑)。

塚原 そうそう。それに若い世代の俳優さんは細くて色白な方が多くて、炭鉱夫のイメージとはちょっと違うこともキャスティングの難しさにつながっています。さらに、撮影で毎日会うのは神木さんくらいで、他の皆さんは1週間に一度会うかどうかというくらい、多くの方に出演してもらっています。それだけの人数をまとめるのは本当に大変ですが、そこで新井さんの手腕が光る。まさに潤滑油のような存在でフットワークが軽く、みんなの姉御的な立ち位置でまとめてくれるからこそ成り立っている撮影現場です。

(C)TBSスパークル/TBS

日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」10月20日スタート(※初回25分拡大)
毎週日曜よる9:00~9:54

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

▽長い時を刻む、大衆文化とは異なる魅力 -Kカルチャーが世界で注目される今、今回のような舞台表現はKカルチャーの中にどう位置づけられると思いますか?  K-POPや映画などの大衆文化も素晴らしいですが、伝統芸術はそれよりもはるか以前から続い … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

-実際に演じてみて感じたことや、演じる上で心掛けたことや気を付けたことはありましたか。  自分が桐島を演じる上で一番重要だと思ったのは、(偽名の)「ウチダヒロシ」として、1人の部屋で朝を迎えて、窓を開けてコーヒーを飲んでというシーンでした。 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

-それが変わってきたということでしょうか。  物事は、ある程度加速がつき、歯車がスムーズに回り始めれば、少ないエネルギーで進んでいくようになりますが、スタートするときは膨大なエネルギーが必要です。この作品もそういう過程を経て、ようやく彼が笑 … 続きを読む

Willfriends

page top