森崎ウィン「自分と同じミャンマー出身の役がありがたかった」荻上直子監督「この役は森崎さんしかいないと」奇想天外な物語の舞台裏『まる』【インタビュー】

2024年10月17日 / 12:00

 堂本剛27年ぶりの単独主演映画『まる』が10月18日から全国公開となる。たまたま書いた「〇」がなぜか評判を呼び、正体不明のアーティスト“さわだ”として突如、有名人となった主人公・沢田が体験する奇想天外な出来事を描いた物語だ。

 本作で、堂本扮(ふん)する沢田と共に働くミャンマー出身のコンビニ店員“モー”を好演しているのが、役と同じミャンマー出身の森崎ウィン。大ヒット作『かもめ食堂』(05)をはじめ、常に独特の世界観が注目を集める荻上直子監督と共に、役や作品に込めた思いを語り合ってくれた。

森崎ウィン(左)【ヘアメイク:KEIKO(Sublimation)、
スタイリスト:森田晃嘉 】、萩上直子

-劇中には、売れない漫画家の隣人・横山(綾野剛)をはじめ、有名になった主人公・沢田を自分のために利用しようとする人物が多数登場しますが、森崎さん演じるモーだけは異なります。荻上監督がモーに託した思いを教えてください。

荻上 沢田を挟んで、横山とモーくんは対照的な存在だと考えていました。横山は煩悩まみれでネガティブな思いをいくつも抱えているのに対して、ピュアで心優しいのがモーくん。沢田がその両方から影響を受けるという構図にしたかったんです。コンビニで働く外国の方って、たくさん嫌な目に遭っているはずなのに、それでも誠心誠意、仕事をしている姿が、そういうキャラクターにぴったりだと思って。実際は、そうとは限らないのかもしれませんが…。実は先日、タイに行ったんですけど、怒鳴る人がいないんですよね。

森崎 いませんね。みんな笑顔で。僕も最近、撮影でタイにいたんですけど、タイ人スタッフばかりの現場では、怒鳴り声が一切聞こえないんです。

荻上 森崎さんの国も、そういうところあります?

森崎 似ていますね、隣の国だけあって。気候や流れる時間の速さも。

荻上 仏教国、と一括りにするのはよくないのかもしれませんが、そういう影響は大きいのかなと。

森崎 それはあると思います。

荻上 そういうこともあり、モーくんを「純真な生の象徴」と考えていました。キャスティングの段階では、当て書きしたわけではないのに、最初から「森崎さんしかいない」という話になって。

森崎 本当ですか。

荻上 そうなんです。ただ、森崎さんは日本語が完璧なので、発音にアクセントのある役をどう思われるかだけが気がかりでした。

森崎 抵抗はなかったです。むしろ、ミャンマー出身という自分とアイデンティティーが共通する役を演じられることを、ありがたいと思っていたくらいで。だから、僕にしかできない表現がこの映画の1ピースとしてはまるのであれば、ぜひやらせてくださいと。

-荻上監督が脚本に書かれたミャンマー出身のモーという役に、違和感はなかったと?

森崎 全くありませんでした。僕は幼い頃に両親と一緒に来日したので、出稼ぎで、自分の学費も稼ぎながら学校に通っている方たちとは事情が異なりますが、コンビニでアルバイトした経験はあるので、モーくんのように嫌なことを笑顔でやり過ごす気持ちはよくわかります。小学生のときは、いじめにも遭いましたし。僕の周りにも、モーくんのようなアクセントで話す人がいて、劇中のように差別を受けた話も聞きますから。そんなふうに、リンクする部分が多かったので、違和感なく演じさせていただきました。

荻上 現場で見ていて、森崎さんはモーくんと同じような純真さを持った方だと感じました。とても素直で、役者としての勘も素晴らしく、モーくんにぴったりだなと。

森崎 ありがとうございます。

 

『まる』(C)2024 Asmik Ace, Inc.

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

堤真一「自分なりの演じ方」で描き出す 濵田崇裕、ローマは「僕が出会ったことがない人間」 「グレンギャリー・グレンロス」で初共演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月10日

 堤真一と濵田崇裕が初共演にしてダブル主演を務める、Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.17「グレンギャリー・グレンロス」が、11月6日から上演される。本作は、1983年 … 続きを読む

戸田菜穂「スッとあの時代に入っていけるような空気がありました」名作漫画の実写映画化で、昭和の母を好演『遥かな町へ』【インタビュー】

映画2026年10月9日

 10月9日から全国公開となる『遥かな町へ』は、「孤独のグルメ」「神々の山嶺」で知られる漫画家・谷口ジローの名作を実写映画化した作品だ。  建築デザイナーとして活躍する48歳の中原博史(大谷亮平)が、故郷・鳥取県の倉吉で母親の墓参りを済ませ … 続きを読む

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「バックルームズ」(9月4日公開)★★★ 出口のない迷宮が生む恐怖  “あるはずのない隙間”から、黄色い壁に囲まれ蛍光灯に照らされた迷宮のような空間へ迷い込んだ男(キウェテル・イジョフォー)が、出口を求めてさまよう。インターネット発の都市伝 … 続きを読む

伊原六花「七五三掛さんが一緒で心強い」七五三掛龍也「伊原さんはオールマイティーな方」痛快リベンジ・エンターテインメントで共演「小麦とバターと復讐と」【インタビュー】

ドラマ2026年10月7日

 10月7日(水)よる11時からカンテレ・フジテレビ系全国ネット「水ドラ★イレブン」枠で、新ドラマ「小麦とバターと復讐と」がスタートする。  夫と助手に裏切られ、命を落としたパン職人の野崎ミチルが、2年前にタイムリープし、過去をやり直しなが … 続きを読む

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

page top