松山ケンイチ 桂場等一郎は「僕にとって大切なキャラクター」 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

2024年9月20日 / 12:00

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の物語は、いよいよ最終週を残すのみとなった。第1回から登場し、裁判官として法律の道を志す寅子の歩みを厳しくも温かく見守ってきたのが、第5代最高裁長官に就任した桂場等一郎だ。最終盤を迎えた今、桂場を演じる松山ケンイチが、役に込めた思いを語ってくれた。

(C)NHK

-松山さんご自身と似ている点など含め、桂場という人物をどのように解釈しているか、教えてください。

 桂場のモチーフになった方は、剣道の経験があったそうなので、“武士の精神”を取り入れたいと思っていました。だからこそ、物事に対する厳格さには研ぎ澄まされたものがあり、“司法の独立”にもこだわり、ほんの少しでもブレるわけにはいかないと、自分を律しているのだろうと。僕自身にはそこまでの厳格さはなく、周りの常識やルールを受け入れつつ、その中で自分がどう幸せに生きるかを考えるタイプなので、まったく違います。ただ、桂場が団子好きなように、僕も甘いものは好きなので、そこは似ていますね。

-どんなときも変わらない仏頂面が印象的な桂場ですが、どのように役を作り上げていったのでしょうか。

 桂場はある意味、仏頂面が基本で、自分の心情を語るわけでもありません。ただ、それをそのまま表現するだけでは、単なる“記号”になってしまいます。だから、仏頂面をどこまで崩し、どこまで芝居で“遊ぶ”ことができるのか、常に探っています。表情の代わりに、桂場の好物である団子や手など、他の部分で表現できることもたくさんあるので、いろんな表現に挑戦しています。

-具体的にはどのようなことでしょうか。

 例えば団子も、桂場が食べようとすると、寅子に話しかけられることが多いのですが、そのとき、無視して食べてもいいのに、手を止めるわけです。それだけでも桂場の人間性は、見ている方になんとなく伝わりますよね。あるいは、「置く」ということも考えられますが、桂場はそれもしない。そうすると、団子を食べるのか、寅子の話を聞くのか、迷っている表現になるんです。そんなふうに、いろんな芝居を探ることができるので、とても勉強になりますし、それを許してくださる現場の皆さんにも感謝しています。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十五回「中宮の涙」一条天皇と中宮・彰子の溝を埋めた「源氏物語」の力【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月21日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月15日に放送された第三十五回「中宮の涙」では、長い間、懸案となっていた一条天皇(塩野瑛久)と中宮・彰子(見上愛)の溝がようやく埋まった。彰子の父・藤原道長(柄本佑)も、ほっと一安心といったと … 続きを読む

【週末映画コラム】『トランスフォーマー/ONE』/『あの人が消えた』

映画2024年9月20日

『トランスフォーマー/ONE』(9月20日公開)  ロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星の地下都市。変形能力を持たない労働ロボットのオプティマスプライム(オライオンパックス/声:クリス・ヘムズワース)とメガトロン(D-16 … 続きを読む

「もっといろいろと言いたいけれど、ネタバレになるので言えません(笑)」北香那『あの人が消えた』【インタビュー】

映画2024年9月19日

 配達員の丸子(高橋文哉)は、「次々と人が消える」とうわさされるいわくつきのマンションに毎日のように出入りするうちに、怪しげな住人の秘密を知ってしまう。伏線を張りめぐらせた予測不能な展開で描く、水野格監督による“先読み不可能”ミステリー・エ … 続きを読む

神木隆之介「主人公の鉄平を『ONE PIECE』のルフィのようなイメージで演じています」 日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」【インタビュー】

ドラマ2024年9月18日

 神木隆之介が主演する10月期日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS系/毎週日曜よる9時)。本作は、脚本・野木亜紀子×監督・塚原あゆ子×プロデューサー・新井順子の強力チームで贈る壮大なヒューマンラブエンターテインメント。1955年から石炭 … 続きを読む

吉田恵里香氏 憲法第十四条は「人間らしく生きるためのスタートライン」 「虎に翼」脚本家が作品に込めた思い(後編)【インタビュー】

ドラマ2024年9月15日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の物語は、まもなくクライマックスを迎える。数十年前の戦前から戦後の昭和を舞台にした物語は、私たちが生きる現代にも重なり、大き … 続きを読む

Willfriends

page top