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演劇は、人の可能性を見に行くものだと思います。物語を見に行くというよりは、日常でわれわれが感じていることが舞台上でも同じようにつづられる、その瞬間を見に行く。それは決して劇的な物語である必要はないんです。僕はそうした演劇が好きで、そうした瞬間をお届けできたらと思っています。
これは僕の悪いところなのですが…あまり自分のパブリックイメージが理解できていないんですよ(笑)。周りの人が僕をどう思っているのかあまり分からないし、分かろうと思ってもいないので、自分をあまり客観視ができていないんです。ただ、きっとパブリックイメージが正しいんじゃないかなと思います。もちろん、僕もさまざまな場面でそこに合った立ち振る舞いをしているので、全てが心から思っている言葉というわけではないですが、その言葉の奥にある感情は伝わるものだと思いますし、きっと皆さんが僕から受けている印象は正しいんじゃないでしょうか。
ないですね。全く考えたことないかも。(パブリックイメージを持たれることで)嫌なことを言われたこともないので。僕は、自分が話したことに対しては、全て責任を取るつもりでいるんですよ。例えば「あれは良くなかった」と感じる方がいても、「それも自分だ」と受け止めているつもりです。
視聴者の方がということであれば、ないですね。もちろん、番組作りの歯車の一つとして求められていることがあるのであれば、それはいくらでもしますよ。とはいえ、例えば、表面的に悪口を言ってみせても、本当はこの人はいい人なんだなと感じることってあるじゃないですか。それはやはり、作られたものではなく、本質を皆さんが感じるからだと思います。なので、きっと皆さんが僕を見て感じるイメージは正しいんだと思います。
体だけが女性になっているのだとしたら、まずは女性になる練習をしますね。38年染み付いてきた、今の僕としての振る舞いをいかに変えるか。
受け入れるも何もすでに体が変わっていたら、もうやるしかない(笑)。周りの人に「体が変わっちゃったんです」って話して、練習すると思います。僕の性格的に、「今まで通りいきます」はできない気がする。まずは、女性として生きていく腹づもりを決めるかな。そうしたら「グラビアからやりましょう」とか言われるのかな? 女性のタレントさんを売り出す方針として、最初はグラビアからみたいな流れがあるじゃないですか。あれは別に女性であることを売り物にするというわけではなく、まず認知を広めるためにつかみやすい仕事をするという意味なんだと思います。だから、まずはそこからになるのかな。自分の売りはなんだろうと考えるところからスタートです(笑)。この作品をやっているとそうやって冷静に考えてしまいますね(笑)。
シンプルなセットの中で繰り広げられるこの作品は、役者の美しさと、表現のお手伝いをしてくださるスタッフさんの力が舞台上に結集しているので、豊潤な2時間半を過ごしていただけるのではないかと思います。今回、U‐18、U‐35という若い方に向けたチケットも発売されています。こうしたチャンスはなかなかないと思うので、ぜひこのすばらしい舞台を見にきていただきたいと思います。
(取材・文:嶋田真己/写真:小宮山あきの)
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