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今回彼が演じてくれた役柄は、台湾の人々を代表するようなものでした。正直に言うと、僕の母親も、最初に他人のことを考えてから行動するような人だったんです。そんな典型的な役をやってもらいました。後で気付いたのは、こういう話をすると、グァンティンさんも、彼以外の出演者も、音楽担当の人も、女優さんたちも、みんなが「自分のお父さんみたいだ」とか、「僕のお母さんみたいだ」と言うんです。だから、多分台湾には、この役のような人が何万人といるんじゃないかと思いました。グァンティンさんは、役をちゃんと消化できる人です。僕の妻などは「もともとああいう感じの人なのね」と言うから、「違うよ」と。地でやっているように見えるけど、実は演技としてあのように作っているんです。今回ラッキーだったのは、いい出演者たちと巡り会えたことです。これは本当に助かりました。みんなが、地のままではなくちゃんと役として演じてくださったので。
言葉が通じなくて、オフでの会話が少なかったので、私も映画の役のままの人だと思っていました。ただ、私は彼が怖い役を演じた作品も見ているんですけど、この映画ではいいお父さんにしか見えなかったです。とても優しくて。現場でかっこいいスタッフの人がいるなと思ったら、グァンティンさんでした(笑)。
メークにすごく助けられました。メークやファッションには時代性もありますし、日本のともまた違うので、それを身につけることによって、あっという間にその世界に連れて行ってもらえるという感じがしました。中国語に関しては、丸覚えで暗記した状態で現場に行って、監督からも「うまく話そうと思わなくてもいいから」と言われました。特に発音が難しいのですが、そういうことは一度忘れて、とにかく自分の感情からぶれないように集中力を研ぎ澄ませて、言葉はうまくしゃべろうと思わなくてもいいということを頼りに演じました。だから、演技をしている時は「この発音が難しい」とは思っていなくて、もしかしたら間違っていることを言っているかもしれないぐらいの感じでした。意識するとすぐにバレるんです監督に。自分でもすぐ分かりますしね。
今回、撮影で台湾に数日行かせていただいて、こうしてお話をする中で、自分なりに思うのは、台湾ではその時代や土地や、国自体が経験してきたことが、今生きている人たちとも深くつながっている気がするんです。台湾映画を見ていると、物事や人を見るまなざしがとても深くて、寛容で。私が台湾映画を好きな理由はそこだったんだと分かりました。そんな台湾の良さを感じてほしいですね。あとは、「台湾の人から見ても、門脇は意外と現地の人に見えるらしい」と書いておいてください(笑)。監督からも違和感がないというお墨付きを頂きました。
(取材・文・写真/田中雄二)

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