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稽古場に入ってから変わってくるとは思いますが、(結城伽寿也が演じる)早崎との距離感が大事になるだろうと考えています。この作品は、劇中に野球をプレーするシーンがたくさん出てくるのですが、野球をプレーする上ではセカンドとショートは相棒のようなところがあるんですよ。なので、お互いに信頼し合っている関係性を作っていきたいですし、芝居の距離感や雰囲気でお互いのキャラを立たせていければと思います。
めちゃくちゃあります。僕は俳優という皆さんに見てもらうお仕事をしてるので、どうしても強がってしまうところもありますし、「明るい」という自分のイメージに合ったキャラクターを演じなければいけない場面もあります。もちろん、それも本来の自分ではあるんですが、内に秘めたところでは「本当はこうしたい」「本当はこうなりたい」という思いもあるので、そういう意味では浜岡の心情はすごく分かりやすいです。僕はビビりですし、人見知りですし、お芝居することへの恐怖心もあります。自分の芝居はだめだなと客観的に思って自信をなくすこともあります。意外と弱いところがあるんですよ。浜岡も同じように、戦時中だからこそ感じる不満や恐怖、我慢を抱えながらも、それを見せないで生きています。きっと現代の若者にはない思いもたくさんしていると思うので、それをリアルに深掘りできればいいなと思います。浜岡は人間魚雷としての出陣を控えているという人物ですが、みんなの前で強がって「お前らは飛行機の故障とかで不時着すればいいけど、俺は乗った瞬間に絶対に死ぬんだ」と言うんですよ。本当は怖いのに、覚悟を持っているからこそ、それを言う。彼の心の深みをどれだけ出せるのか、今から考えているシーンです。
今、もし「特攻しろ」と言われたらなかなか難しいとは思います。現代にはSNSがあって、批判の声も上がるだろうし、炎上だってある。なので、戦時中とは前提が大きく違うとは思います。スタートが違うので現代でも同じだとは思いませんが、演じる上では当時の状況をよく理解して、それを前提としたお芝居をしないと、ただのかわいそうな人たちになってしまうと思うんですよ。彼らは彼らの信念をしっかりと持っていた。でも、「本当は怖い」「本当に死ぬのか」というリアルな心も持っている。それを表現できたらと思います。実は、僕は戦時中を描いた作品に出演するのは初めてなんですよ。なので、この作品はより演じる難しさを感じていますし、役者というお仕事は本当に特殊なものだなと思わされています。戦争が目の前にある中で「野球をしたい」と思う。それを演じるのはどんな感覚だったんだろうと、今はそれを強く感じています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
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