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「いろんなことが起きるドラマ。まばたきもできない30分をお届けします」河合優実  ドラマ「RoOT / ルート」【インタビュー】

 「ビッグコミックスペリオールダルパナ」で連載中の漫画「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」で描かれている、若手探偵コンビの奮闘劇を基にした、オリジナルストーリーのドラマ「RoOT / ルート」が、4月2日からテレビ東京・ドラマチューズ枠で放送される。本作で主人公の「愛きょうゼロの先輩探偵」玲奈を演じる河合優実に話を聞いた。

河合優実(ヘアメーク:AYA MURAKAMI/スタイリスト:TATSUYA YOSHIDA)(C)エンタメOVO

-今回、地上波ドラマ初主演とのことですが、まず意気込みから聞かせてもらえますか。

 そうですね。お話を頂いた時から感じていますが、やっぱり初主演は大きなことですし、いろんな方に見ていただきたいなと本当に思います。

-最近は、「不適切にもほどがある!」(TBS系)の純子役がとても評判になっていますが、今回も割と癖があるというか、「19歳で愛きょうゼロの先輩探偵」という役ですが、玲奈のキャラクターについてはどのように感じましたか。

 「不適切にもほどがある!」の純子は、自分とはだいぶ世代も見た目も違いますし、遠い要素がたくさんあるんですけど、玲奈は、年齢も作品全体としてのお芝居のトーンも、すごく現実世界に近かったので、比較的自然に、無理なく撮影に入っていけた感じがしました。

-玲奈はとてもクールな感じがしましたが、演じる上でそれは意識したのでしょうか。

 キャラクターの設定としては最初からあるものだったのですが、後輩の佐藤(坂東龍汰)との対比もありますし、一貫してクールな子にしようという意図はありました。本来の自分はあそこまで冷たくはないです(笑)。

-最初に脚本を読んだ時の印象と、実際に演じてみて感じたことをお願いします。

 脚本を読むと、ミステリーものだし、情報も多く出てくるので、自分たちが演じる上で理解しなければならないことはたくさんあったんですけど、演じながら、人としての自然な反応ということを意識しました。お芝居することに関しては、(土屋貴史)監督が「普段通りにやってもらえれば問題ないです。アニメからできた実写作品ということやミステリーということについても、あまり気負わずに、自然な感じでいてくれればいいです」と言ってくださったので、そういう気持ちで台本を読んで、説明的なせりふやシーンもナチュラルにできるように意識していました。

-演じてみて、難しかったところや楽しかったことがあれば。

 ミステリーという肩書きが最初からあると、作品としても、自分の役で物語を語っていかなければならないところが大きいんですけど、その中でちゃんと人間ドラマになるように、役柄や背景をお芝居で出していかなければならないというのが、ちょっと難しいところでした。それは勉強になりました。撮影の現場はとにかく楽しかったです。ドラマ自体は結構シリアスなトーンではあるんですけど、監督をはじめ、スタッフさんがすごく生き生きとしていて、豊かな画面を作ろうとしている感じがすごく伝わってきましたし、和気あいあいとやっていました。

-もともとは「オッドタクシー」というアニメから派生したものなのですね。

 撮影前にアニメは見ました。でもアニメからは視点が変わっていたので、玲奈の役は、原作にとらわれずに、このドラマをよくするために新たに構築していってもいいかなと思いました。

(C)P.I.C.S.・此元和津也 / RoOT製作委員会

-ちょっと映画的な映像だなと思ったのですが、完成作を見てどんな印象でしたか。

 完成作を見てイメージがちょっと変わりました。いろんな角度からいろんなレンズで撮ってくださいましたし、自分たちはお芝居というベクトルでしかできることがなかったけれど、すごく編集に時間をかけて、とても魅力的な映像に仕上げていただいたので、現場にいる時とはまた違う感覚で、お客さんとして楽しめるぐらいのすてきな映像でした。

-玲奈は、年上で後輩の佐藤にきついことを言ったりもします。凸凹コンビというか、コミカルなところもありますが、彼との関係性は演じていてどう感じましたか。

 そういう分かりやすいキャラクターが最初から提示されていたので、坂東さんとはそれを自然に構築していける関係性でした。事前に2人で打ち合わせをしたわけではないんですけど、撮影が進んでお芝居をしているうちに、玲奈と佐藤としての関係性が深まったり遠ざかったりしながら変わっていくのを逐一確認し合ったりして、すごく話しやすかったです。リラックスして、お互いが演じる上でのアイデアを投げ合えたような感じがしました。

-回を重ねるごとに、2人の関係性もだんだんと変わっていくのでしょうか。

 そうですね。最初は玲奈が佐藤に対してきつく当たっているんですけど、そこからちゃんとバディになっていきますし、信頼関係のようなものが芽生えてくるので、それを撮影している時に実感できました。このシーンでこういうふうに距離が縮まるんだということを感じ取ることができました。

-土屋監督の印象は?

 監督は、すごく柔らかい方で、映像に対するこだわりが強いと思うんですけど、演者を無理に型にはめようとすることが全くなくて、むしろ私たちから自然に出てきたものをとても楽しんでくださっていました。修正する時も、とてもにこやかに、修正すべきところを緩やかに直してくれるみたいな感じでした。監督のそういう人柄が、現場全体をいい空気にしていたのかなと思います。

-最後に、視聴者に向けて、見どころも含めてアピールをお願いします。

 完成した映像を見て、「このドラマを見たい」と思えるようなものに仕上げてくださったと実感しているので、とにかくいろんな方に見ていただきたいです。撮影中は、すごく目まぐるしくいろんなことが起きるドラマで、まばたきもできない30分をお届けしたいと思っていましたが、本当にそうなったなと思います。ぜひ自由に楽しんでいただきたいと思います。

-今後、こんな役を演じてみたいという希望はありますか。

 あまり特定の役は決めていないんですけど、今23歳で、この玲奈役も19歳です。まだ高校生の役とかが多くて、自分の年齢までの人生しか役としての経験がないので、これから先、年齢を重ねていって、働くとか、家族を持つとか、そういう10代の役では経験できなかったようなことを経験してみたいなと思います。あまりとらわれずに、面白い作品に出たいという感じですね。

(取材・文・写真/田中雄二)

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