上白石萌歌「好きという気持ちが一番大切な原動力」 尽きることのない「表現」への意欲【インタビュー】

2024年2月20日 / 08:00

PARCO PRODUCE 2024「リア王」

-ところで、本作は家族が一つのキーワードになっています。上白石さんもお姉さんがいますが、そうした「家族」という視点からこの作品を読んだとき、どんなことを感じましたか。

 この物語の3姉妹は、時には敵対することもあるので、そういうシーンを見ると同じ姉妹と思えないところはあります。ただ、姉妹間の関係性としては共感できるところもあって。同じ母親から生まれてもこんなにも性格が違うんだとか、こんなにも選択が違うんだということは私自身も経験して、すごく分かります。それぞれの選択によって姉妹の生き方が変わっていくことが描かれているので、そこは共感できるところでした。とはいえ、今回はお父さんとの話がメーンです。コーディリアは愛情を述べられなかったけれど、本心ではお父さんのことを1番理解していて、愛情を持っているからこその行動もたくさん描かれています。家族の在り方は、100組の家族がいたら100通りあると思いますが、私なりの家族像を照らし合わせたり、家族の愛ってなんなんだろうと考えながら読んでいます。 

-上白石さんにとって家族はどんな存在ですか。

 明日、世界が終わるとしたら一緒にいたい存在です。

では、先ほど、コーディリアは意志を曲げない強さを持っていると分析されていましたが、上白石さんにとっての絶対に曲げられない信念は?

 「好き」という気持ちは曲げられないかもしれません。私が凹むのも表現の中だし、でも救ってもらえるのも表現やエンターテインメント。幼い頃から歌ったり、お芝居をしたり、何かを表現することが好きだという気持ちは一つも変わっていないのだと思います。私にとって、好きという気持ちが一番大切な原動力だと思うので、それは曲げずにいたいと思います。

そうすると、これから先も「表現をし続けたい」というのが一番の目標ですか。

 それしかできないというのもありますが。ただ、私はあまり形にはこだわりがないんですよ。例えば、この間も自分が撮った写真を展示する機会があったのですが、それも表現の1つですし、歌うことも楽しい。今、好きなものや自分がやり続けたいことを探してそれを形にできている状況ではあるので、俳優に縛られずに、クリエーティブなことをずっとやっていたいという気持ちはあります。

表現したい欲求が尽きることはないんですね。

 今まではないですね。むしろ、大人になるにつれてどんどん増している気がします。すてきなお友達と出会って、そのお友達が夢中になっていることがあれば一緒にやりたい。人との間に生まれる化学反応がすごく好きなので、好きな人と一緒に表現することもどんどんやっていきたいと思います。

最後に、公演を楽しみにしている読者にメッセージを。

 演じている私たちがエネルギーを放出し、同じくらいお客さまからエネルギーをいただく。エネルギーの渡し合いの場所である舞台が私は大好きです。この作品は、普段、あまり演劇を見に行かない方や敷居が高いのかなと感じている方にも、ぜひ見に来ていただきたい作品です。きっと演出家のショーン・ホームズさんの“魔法”でとても見やすい、現代にも通じるテーマが感じられる作品になると思います。ぜひこの機会に劇場に足を運んでいただけるとうれしいです。

(取材・文:嶋田真己/写真:小宮山あきの)

 PARCO PRODUCE 2024「リア王」は、3月8日~31日に都内・東京芸術劇場 プレイハウスほか、新潟、愛知、大阪、福岡、長野で上演。

PARCO PRODUCE 2024「リア王」

 

 

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