「考察を楽しんでいただければと思います」 内田英治監督&土屋太鳳『マッチング』【インタビュー】

2024年1月18日 / 16:00

ー土屋さん、金子ノブアキさんと佐久間大介さんとの共演はいかがでしたか。

 金子ノブアキさんは、役と向き合う姿勢が素晴らしい方だと思います。演じているというよりも、役として生きている方なのかなと。役として本当に怖いんですよ。本当に危機を感じるというか、何をしでかすか分からない狂気を感じます。普段はとても柔らかくて、少年のような気持ちをずっと持たれている方で、お芝居とはギャップがあります。ただ、ドラマーでもある金子さんが「ドラムというのは、力を入れるだけではたたけない。たたく時だけ力を入れてあとは全部力を抜いていく」とおっしゃっていて。役への入り方でも、それを意識されているのかなという感じはありました。

 佐久間さんは、私が18歳の時に、「滝沢歌舞伎」で初めて拝見させていただきました。それから私がMCをしていた音楽番組に出てくださいました。ライブをやられているので、オンオフの切り替えをしっかりなさっている方だなと思います。本番前は、金子さんとふざけ合っていて、これでよく役に入れるなと思いましたが、しっかりと切り替えて演じるのを見て感動しました。今回の吐夢という役は、抑揚がなくて、何で? ということもするとても難しい役。でも、そこにリアリティーを持たせなければならないという部分では、佐久間さんはすごく考えていて、監督にもたくさん質問をしていました。私はそれをじっと見ていました。

ー最後に、これから映画を見る観客に向けて、見どころなどをお願いします。

内田 今はやりの考察。どうなるか分からないというのは、結構見ていて楽しめるんじゃないかなと思います。一応、三転以上はさせようと思って作ったので。考察、要は推理ですよね。そこを楽しんでいただきたいなと思います。

土屋 マッチングアプリを題材にしていますが、人の本質を見るとか、人間関係を丁寧に作っていこうというようなことも伝わったらいいなと思います。その上で、物語に一緒に飲み込まれながら、巻き込まれながら、今、監督もおっしゃいましたけど、私は二転、三転、四転、五転ぐらいあったかなって思います。ぜひ、誰が犯人だとかを考察してください。

内田 役者さんたちはみんな、微妙な、裏の演技をしているんです。見た後で、実はこうだったって思うような微妙な芝居をしているので、それを見つけるのも面白いと思います。

ーでは、何回も見た方がいいですね。1回目だけでは分からないこともある。

内田 そうですね。何回も見てもらって、ヒットしたら、船を借りて『マッチング2』を作ります。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2024「マッチング」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

早見沙織「プレデターの新しい魅力をこの映画から感じていただけると思います」『プレデター:バッドランド』【インタビュー】

映画2025年11月19日

-アニメーションの声優としての活動が中心ですが、こうした映画の吹き替えとの違いはありますか。  私の個人的な感覚になりますが、マイクの前で自分の心を動かしながら表現をすることは変わらないので、ベースの部分はあまり違いがないと思います。ただ吹 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

▽キム・ゴウンはユミ役にぴったり  –ドラマ化にはどのくらい関わっていますか。   事前にクリエーターと何回かミーティングをしました。物語の順序を入れ替えてみようとか、どこまで表現していいかなどを事前に話し合いました。ウェブトゥ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

-撮影で特に印象に残った場面を教えて下さい。  近所の少年たちにいじめられた幸太が大雨の中、おじさんの家の前で黙って座り込んでいるシーンが、すごく印象に残っています。カメラに綺麗に映るように、大量の雨を降らせていたので、その水圧がものすごく … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

-その結果、完成したこの映画では、強盗団が使う刀やナイフのほか、列車備え付けのシャッターや消火器、乗客の荷物など、一見武器になりそうにない身近なものを使った多彩なアクションが見所です。そういうアイデアはどこから生まれたのでしょうか。  私は … 続きを読む

Willfriends

page top