エンターテインメント・ウェブマガジン
第1回に、少年時代の道長が、「俺は怒るのが好きじゃない」と言う場面がありますが、それが道長の政治の基本です。常にバランスをとり、天皇に対しても、その権力が突出しすぎないように自分も力を持ち、過ちをいさめられるようにしていた。ですからこの作品では、横暴な政治家ではなく、みんなの気持ちをすくいとり、巧みにバランスを取りながら政治を行った優れた政治家として道長を描き、平安時代に対する皆さんの認識を改めたいと思っています。
元々名優だと思っていましたが、道長役もものすごくハマっていると思います。柄本さんは、台本に書かれた以上にキャラクターを掘り下げ、きちんと計算して演じていらっしゃる。改めて、すごい役者だなと。道長は当初、上昇志向がなく、のんびり過ごしていますが、父や兄など、周囲の人間が次々といなくなり、あっという間に権力の頂点に立つことになります。善人も悪人も自然に演じられる柄本さんが、そういう道長の変化をどのように演じてくださるのか、楽しみにしています。

藤原道長役の柄本佑(写真提供=NHK)
当時、貴族と呼ばれる人たちは、千人くらいしかいなかったそうです。当時の日本の人口がどのくらいだったのか、はっきりとはわかりませんが、いずれにしても貴族はほんの一握りでしょう。紫式部も、下級とはいえ、貴族には違いありませんし。その千人だけの世界を描いていては、物語が偏り過ぎてしまいます。そこで、庶民の視点も取り入れようと、まずは「散楽」の一座を設定しました。そこからバランスを考慮し、藤原氏への反逆の心を持つ人物なども登場させることにしました。
「源氏物語」そのものを描くわけではありません。「源氏物語」は、男女の色恋に終始しているように見えながらも、その裏には人生哲学と権勢批判と文学論が込められた一大長篇作品です。そんな奥深い作品を書いたがゆえに、紫式部は欧米で“レディ・ムラサキ”と呼ばれるほど世界的にも高い評価を受け、「ユネスコが選ぶ世界の偉人10人」に、日本人で唯一名を連ねることになりました。私たちが描きたいのは、紫式部が、なぜ、どういう生い立ちの中でそういうものを書ける人間に成長していったのか、というドラマです。その点では、まひろと道長の出会いが、「源氏物語」における光源氏と若紫の出会いをほうふつとさせるように、紫式部の人生に起きた出来事が、後に「源氏物語」に影響したかも…とにおわせるようなちりばめ方はしています。
視聴者の皆さんにとって、おおよその流れがわかっていて「本能寺の変」や「関ヶ原の戦い」といった象徴的な山場がある戦国大河などと違い、「誰にも知られていない物語を作り上げるのは大変では?」と言われることもあります。でも、私たちはそれを逆手にとって勝負していくつもりです。先がわからないからこその面白さを追求し、胸キュンのラブストーリーから骨肉相争う生々しい権力闘争、そして哲学的なテーマまで、多彩な魅力を持つ物語を作り上げ、従来の大河ドラマファンだけでなく、韓流時代劇ラブストーリーのファン、そしてお子さんまで、誰もが続きを観たくなる作品にしようとみんなで頑張っています。ぜひご期待ください。
(井上健一)

(左から)大石静氏、吉高由里子、柄本佑(写真提供=NHK)
舞台・ミュージカル2026年1月17日
-ミュージカルでは歌とダンスがありますが、今、どんな心持ちで準備をされていますか。 すごくラッキーなことに、僕は(2025年の)2月までダンスを踊っていたので、5年前にミュージカルに出演したときより、相当、レベルが上がっていると思います。 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年1月16日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 語りは、土地と人を結び直します。 … 続きを読む
ドラマ2026年1月15日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)と共に天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語だ。1月11日に放送された第2回「願いの鐘」では、一度は故郷の村 … 続きを読む
映画2026年1月15日
-今回は、初老の謎の女性と年下の男の子の話でしたが…。 松田 これは、ラブストーリーとか、いろいろな解釈で見る方がいると思いますが、実はだまし合いの話なんです。主人公の文子は、もともとは詐欺師だったのかもしれない。お金を元手に何かを搾取した … 続きを読む
ドラマ2026年1月14日
-ルッキズムは人格形成にも影響があると思います。菅生さんが幼少期から育つ中で、周囲の人から影響を受けたことはありますか。 両親が見た目ではなく「君の1番いいところはここだよ」と内面の個性を伸ばす形で育ててくれたので、幼い頃から家族の中で … 続きを読む