「この経験を通していろいろと学ぶことができたと思います」ソフィア・ブテラ、エド・スクライン『REBEL MOON - パート1:炎の子』【インタビュー】

2023年12月21日 / 07:00

Netflix映画『REBEL MOON - パート1:炎の子』12月22日(金)独占配信

-最近は、コラのように強くて戦う女性が主人公の映画やドラマが増えてきたと思いますが、ソフィアさん自身にコラとの共通点はありましたか。

 コラと共通しているところは、お互いがルーツとは異なる文化圏で暮らしていることだと思います。私は10歳の頃、内戦が起こったために祖国のアルジェリアを離れました。そしてフランスに移住して、また21歳になった時にアメリカに移住しました。ですので、地球上で生きていられることのありがたさは感じますが、時として、自分の祖国に対する根強い意識や、つながりを感じられなくなることもあります。なので、自分の祖国に対する意識を強く持っている人をうらやましく思うこともあります。コラも、幼い頃に自分の星から連れ出され、他の星で生活していますし、その後、移民してきてベルトというところで暮らしています。そういうところに私とコラとの類似性があるのかなと思います。

-エドさんはこれまでヒーローと悪役の両方を演じていますが、こうして間近で見ると笑顔がすてきな優しい人だと思います。今回のような悪役を演じるのは好きですか。また、ヒーローと悪役の両方を演じるのはどんな気持ちですか。

 優れた脚本で表現されているキャラクターは大切だと思います。でも考えてみると、よく書かれたいい人よりも、よく書かれた悪役の方が楽しいかもしれません。自分としては、毎日バランスの取れた、自分も周りの人々もいい気持ちになれる環境が作れる、きちんとした良心を持った者として、世の中や周りの人たちに貢献できるようなポジティブな気持ちを持って生活をしているつもりです。ですが、時には自分を解放することも必要なのかなと思います。だから演技という安全なやり方で、役を演じることによって、全く罪悪感を持たずに、悪い行いや態度を得ているということもあると思います。「アクション」と言われて、自分はひどいことをするんですが、「カット」と言われれば、普通に戻って、衣装さんやメークさん、スタントの人たちと交わったりすることができますし、帰宅して自分の子どもたちに、なりたい父親として接することもできます。

 年を取るとともに、いろんなことを自分が探求していく中で、自分の内面の調整ということが生じてきます。今までの演技の中で、シャドーワーク(影の作業)として行っていることがありましたが、今回は153日間という長い撮影の間に、時には全てが影の部分に引きずられてしまったことがありました。ただ今の僕にはアティカス・ノーブルの面は全くないと言えますし、今は光りのあるところにいると思います。その意味では、とても印象深い経験でした。この経験を通していろいろと学ぶことができたと思います。そして、役者としてだけではなく、よりよい人になるためにも素晴らしい経験だったと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

Netflix映画『REBEL MOON - パート1:炎の子』12月22日(金)独占配信

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

Willfriends

page top