尾上松也、「重くなった責任も楽しむ気持ちを忘れない」ことがモチベーション維持に 新作歌舞伎「流白浪燦星」では石川五右衛門役【インタビュー】

2023年12月16日 / 08:00

ー歌舞伎の古典作品と今作のような新作歌舞伎では、演じるにあたっての違いはありますか。

 根本的なところは同じだと思いますが、特に原作がある作品はファンの方のイメージと自分自身がやりたいことというのをどう作り上げるかがベースになってくるという違いはあります。

ーでは、本作が1つのお宝を巡る争いを描く物語にちなんで、松也さんにとっての「お宝・宝物」を教えてください。

 なんでしょうね(笑)。何につけても好奇心があることが大事だと思っていますので、好奇心ですね。仕事だけでなく、プライベートでも何にでも興味を持つこと。好奇心があることがモチベーションにもつながると思います。

ー最近、大きく好奇心が動いたものは?

 自主公演を企画したり、演出したり、自分で色々と考えるということですね。もちろん、いただいたお仕事も大事なのですが、それとはまた別に自分で考えたことに賛同してもらうというのはすごく面白い。今年、そうした公演をやらせていただいたことで、より一層、やってみたいことが増えました。

ー新しいことも多かった2023年だと思いますが、改めて、松也さんにとって2023年はどんな1年でしたか。

 今年は新作ばかりでした。そういう意味では、新しい世界を見せていただいた1年だったのかなという気がします。昨年は、舞台にあまり出られませんでしたので、今年は舞台の年にしたいと思っていたんですよ。ですので予定通りではありますが、やはり自分は舞台が好きで、歌舞伎をやっていてよかったと思いましたし、舞台は楽しいと改めて感じました。

ー2024年はどんな年にしたいですか。

 例年と変わりなく過ごすというのがまず大事かなと。そのためにも変わらないモチベーションで臨めたらと思います。

ーモチベーションを保つ秘訣(ひけつ)はあるのですか。

 年齢を重ねたことで、若い頃と仕事への向き合い方も変わってきて、より一層、責任が重くなっていますが、重くなった責任も楽しむ気持ちを忘れないことです。若い頃はそこで結果を出すことに必死でしたが、それとはまた違った角度で楽しむ。それをどの仕事においても見つけていかれたら、高いモチベーションでいられるのではないかなと思います。ありがたいことに僕は今、たくさんのお仕事をいただけているので、本当に感謝しかないです。

ーなるほど。では、そうした日々の中で、松也さんにとっての息抜きは?

 仲間と過ごすこと。それから、自宅で映画をみたり、趣味であるスニーカー集めに没頭している時です。

ー最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージを。

 多くの日本国民に愛されてきた作品を歌舞伎化できるというのは、とても光栄なことだと感じています。今回、僕は、そうした作品の中でも有名な石川五エ門を務めさせていただきます。とても名誉なことですので、ファンの皆さまの期待以上のものをお見せできるようにみんなでいいものを作り上げたいと思っています。

(取材・文・写真:嶋田真己)

新作歌舞伎「流白浪燦星」は、12月25日まで都内・新橋演舞場で上演。

新作歌舞伎「流白浪燦星」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(12月19日公開)  友人の結婚式で知り合ったデビッドとサラは、レンタカーのカーナビに導かれ奇妙なドアにたどり着く。そのドアの先は、それぞれの「人生で一番やり直したい日」につながっていた。“ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな) 役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ) 役の天野はながドラマの見どころを語ってくれ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

-実際に福士さんと共演してみていかがでしたか。  とてもすてきな方で、待ち時間にちょっとお話できたんですけど、すごく温厚な方でした。お芝居に関してはすごく真面目でストイックで、「このせりふはこうやって言ってみるのもありかも」というような優し … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

-ご自宅でも絵の練習をされたそうですね。  台本が来るたびに絵を担当するチームとの打ち合わせがあり、練習用の絵が並んだ計算ドリルのようなプリントを数十枚いただくので、それを自宅に持ち帰り、宿題のように繰り返し描いて練習していました。 -歌麿 … 続きを読む

Willfriends

page top