「ディズニーファンである私たちが、ディズニーファンである観客向けたラブレター」クリス・バック監督、ファウン・ヴィーラスンソーン監督『ウィッシュ』【インタビュー】

2023年12月14日 / 07:00

 国民のどんな願いもかなうという魔法の王国ロサス。少女アーシャは、王国に隠された恐ろしい事実を知り、マグニフィコ王に挑むが…。ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念の最新アニメーション映画『ウィッシュ』が12月15日から全国公開される。本作の監督を務めたクリス・バックとファウン・ヴィーラスンソーンに話を聞いた。

(左から)ファウン・ヴィーラスンソーン監督とクリス・バック監督 (C)エンタメOVO

-ディズニー100周年記念映画ということですが、プレッシャーはありましたか、それとも楽しんで作りましたか。

クリス 最初は、やはりプレッシャーを感じました(笑)。ただ、コンセプトが決まってからは、楽しさの方が勝っていった感じです。なぜかというと、ディズニー映画では、多くの場合、キャラクターが星に何かを願うだけです。けれども、今回は主人公が願うと、それが実際に地上に落ちてくるんです。その設定が決まってからは、いろんなことができるねという話になって、楽しさが増しました。

-今回は、例えば、本が開いて物語として始まるとか、森の中に家があるなど、過去のディズニー映画に関するイースターエッグ(隠された秘密のメッセージやユーモア)が、たくさんちりばめられているんですよね。

クリス 実は100以上あります(笑)。

ファウン もちろんたくさんありますが、私たちにとってまず大切だったのは、オリジナルのキャラクターや曲、そして物語を作ることでした。もちろん、過去のものと似たところはありますが、逆にそうしたものをひっくり返していくことにしました。例えば、森の中の小屋は通常は怖いものだったりしますが、私たちの森は楽しい生き物たちがたくさんいて、色彩が豊かで、希望にあふれて、という形にしました。製作が進行していくと、たくさんのアーティストが私たちのところに来て助言をしてくれたので、その中からすてきだなと思ったものを取り入れました。ディズニーファンである私たちが、ディズニーファンである観客向けたラブレターとして、物語の邪魔をしない形で入れていった結果です。

-この映画のテーマは、タイトル通り、「ウィッシュ=願い」だと思いますが、願いを具現化するというストーリーのアイデアはどこから得たのでしょうか。

クリス 今回、100周年記念ということでやったことの一つが、これまでの作品のスチールを一つのボードに並べてみることでした。それを見た時に気付いたのは、多くの作品でキャラクターが何かを願っているということでした。そこから、「願い」にテーマを絞って発展させていきました。

-スターという、地上に落ちてきた願い星の存在が、この映画のタイトルを象徴していると思いますが、それが『ピノキオ』(40)の主題歌の「星に願いを」とも通じますね。今回はどうして「星に願いを」を劇中で使おうと思ったのでしょうか。

クリス 「星に願いを」を使ったのは、ウォルト・ディズニーへのオマージュというふうにとっていただいてもいいと思います。「星に願いを」を歌うサビーノ(主人公アーシャの祖父)の願いは、たくさんの世代にインスピレーションを与えたいというものでした。ウォルトは実際にそれを成し遂げたという思いが反映されています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

 ベストセラー作家・森林麻美が、自身のブログに「私の死体を探してください。」と自殺をほのめかす投稿をして消息を絶つ。麻美の夫・三島正隆(伊藤淳史)や正隆と不倫関係にある麻美の担当編集者・池上沙織(恒松祐里)がその行方を探す中、次々にブログが … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

 東京の片隅で暮らし、美容脱毛サロンで働く21歳のカナ。同棲中の恋人ホンダ(寛一郎)との生活に退屈したカナは、映像クリエーターのハヤシと新生活を始める。だが、まもなく2人のペースはかみ合わなくなっていき、ストレスを募らせたカナは…。  9月 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『エイリアン:ロムルス』(9月6日公開)  人生の行き場を失った6人の若者たち(ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー)は、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムル … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

 「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説家アガサ・クリスティーが1944年に発表した長編小説を原作とした舞台、ノサカラボ「ゼロ時間へ」が10月3日から東京・三越劇場ほかで上演される。ミステリーを専門に舞台を制作しているノサカラボの代表であり … 続きを読む

Willfriends

page top