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小平太には、常に平八郎を意識した部分があったと思っています。だから、山田くんとはいろんなやり取りをしましたし、現場でお芝居が変わることもたびたびありました。ただ、僕が現場にいて楽しいと感じるのは、誰かと熱量が一致して、本気でものを作ることができる瞬間なんです。山田くんとはそういう経験ができたので、すごく楽しかったです。例えば第7回、一向宗の寺に潜入した2人が、ナンパしに行こうとするシーンも、ひとつひとつの“間”にこだわりましたし。まだ詳しいことは言えませんが、歳を取った2人の最後のやりとりも、山田くんと一緒に試行錯誤したので、すごく印象に残っています。
今は、やってよかったと思っています。元々、時代劇については、人情や人と人とのつながりを丁寧に描ける点に魅力を感じていたんです。でも、自分が演じることを考えてみると、所作が完璧でない状態でセリフを言うと、意識が散漫になってしまいそうで、苦手意識が拭えなくて。ただ、今回やってみたら、何となくですけど、自分の中で理解できたり、考え過ぎの部分に気付いたりしたので、やっているうちに徐々に「楽しい」と思えるようになってきました。
数々の先輩や脚本家の古沢良太さん、スタッフの皆さんなど、いろんな方との出会いは、大きな収穫だったかもしれないですね。でも、そういうものは今この瞬間よりも、何年か経った後、それがつながって形になったときに見えたりするものなので、今の段階では「わからない」というのが正直な気持ちです。そういう結果が出せるように、これから頑張っていきたいです。
家康と石田三成(中村七之助)の関係に決着がつく回ですが、どちらが正しく、どちらが間違っていると言い切れない部分があるので、そういう切なさも含め、きっと胸にくるものがあるのではないでしょうか。僕もオンエアを楽しみにしています。
(取材・文/井上健一)
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