「自分の中での役作りとして、自分という軸を置かずに、そぎ落とす作業で近づけていきました」 『次元大介』玉山鉄二【インタビュー】

2023年10月12日 / 07:00

 モンキー・パンチ原作『ルパン三世』の人気キャラクターを主役に描く実写映画『次元大介』が、10月13日からPrime Videoで配信される。ルパン三世の無二の相棒で早撃ちの天才ガンマン、次元大介。そんな次元大介が主役の本作では、過去の悲しい出来事から言葉を発することができなくなった少女オトと出会い、彼女を守ることになり、オトを狙う謎の組織や、片足と声を失ったミステリアスな元殺し屋のアデルと対峙(たいじ)することになる。実写映画『ルパン三世』(14)以来、今回再び同役に挑んだ玉山鉄二に話を聞いた。

『次元大介』Original comic books created by Monkey Punch ┃(c)2023 Amazon Content Services LLC or its Affiliates and TMS Entertainment Co.,Ltd.All Rights Reserved

-次元大介のような、アニメなどですでにビジュアルイメージのあるキャラクターを演じるのは難しいのではないですか。

 やっぱり外見の部分とかでファンがお持ちになっているイメージがそれぞれあると思うので、そこに関していえば、映画版の時に、多分僕だけじゃなくて、(ルパン三世役をやった)小栗(旬)くんとかも、みんなすごく苦しんだ部分はあったと思います。でも、今回はそれを1度踏まえているので、そこに関しての苦しみみたいなものはなくて、いかに次元がストーリーの軸である時にどう成立させるか、どうお客さんをかき乱せるかみたいなことに比重を置きながら演じていました。

-最初に脚本を読んだ時の印象はどのような感じでしたか。

 オトと次元とのヒューマンな触れ合いの中で、新たにどういう次元が出てくるのかなと思いました。でも、それは現場で確認しながら実際にやってみないと分からない部分だったので、僕自身もどういう次元が出てくるのかというのを楽しみにしながら、現場に行っていた感じです。

-では実際に演じてみていかがでしたか。

 アクションも含めて、ヒューマンな部分もあって、みんなが楽しめるような作品にはなっていると思います。そこにプラスアルファとして、アデルの存在や、泥魚街のざらついた関係、あとは、やっぱりアニメシリーズでの「ルパン三世」の、トラディショナルな、昭和の香りみたいな部分がうまく出ていたので、セットなども含めてすごいなと思いました。

-世界一の銃職人・矢口千春を演じた大ベテランの草笛光子さんが大活躍でしたが、草笛さんとの共演についてどう思いましたか。

 何度か共演させていただきましたが、やっぱり草笛さんには独特の空気感があって、独特の緩さとそれをぐっと閉める落差の表現がとてもお上手なので、 間近にいて、勉強させていただきました。ああいう俳優さんはもう少ないというか、貴重な方なので、ご一緒できたことが僕の中ではすごく心地いい時間でした。

-オトを演じた子役の真木ことかさんとの共演はいかがでした。

 彼女は、すごく器用で、言われたことが何でもできるような感じの子。それにプラスアルファして、彼女自身がすごく悩んだり、その悩みと対峙し努力するタイプ。オトという役とすごく向き合っていて、泣くシーンなどでも、1回泣きのモードに振ってしまうと、次にスイッチが入るかすごく不安だと言って、そのシーンを撮り終えるまでは、ずっと泣いて過ごしていたので、すごい集中力だなと思いながら見ていました。

-泥魚街のボスで伝説の美しき元殺し屋・アデル役の真木よう子さんは?

 真木さんとは、最後の対決シーンだけだったんですけど、真木さんの車いすでのアクションの引きはすさまじく強かったし、アクションの引きがある分、オトと次元のヒューマンな関係があって、最後にアデルに会いに行くというベースができていたので、そうした部分では、本当に力強い俳優さんというか、瞬発力がとんでもない俳優さんなんだなと改めて感じました。

-たばこ、銃、手帳といった小道具が非常に印象的でした。小道具の生かし方をどう考えましたか。

 銃に限っていえば、扱い方の所作はガン担当の人と、どういう動かし方ができるのか、何ができて何をしてはいけないのかということを、いろいろと確認しながら、手さばきが次元っぽくスムーズにいくように、本番の合間にすごく練習しながらやっていた感じです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

Willfriends

page top