伊藤沙莉、俳優業は天職「ゴールが見えないから諦め切れないし楽しい」 映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』【インタビュー】

2023年6月26日 / 08:00

 伊藤沙莉が主演する映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』が6月30日から公開される。本作は、“アジア最大の繁華街”と称される新宿・歌舞伎町を舞台に、誰にも言えない秘密を持つ探偵・マリコが、FBIから行方不明になった地球外生命体の捜索を依頼されるという奇想天外な探偵エンターテインメント。日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『ミッドナイトスワン』などで知られる内田英治監督と、佐藤二朗主演の『さがす』などが話題を呼んでいる片山慎三監督が、6つのエピソードを分業し、1本の映画として作り上げた。伊藤に撮影の裏話や見どころ、さらには俳優業への思いなどを聞いた。

伊藤沙莉(ヘアメーク:岡澤愛子/スタイリスト:吉田あかね) (C)エンタメOVO

-映画作品で、2人の監督が分業するという異色作ですが、そうした企画を聞いたときの気持ちを教えてください。

 もしかしたらそういう作品はほかにもあるのかもしれませんが、私はとても新しい試みだと思いました。さらにこのお二人のタッグというのがすてきだなと。内田監督とは「全裸監督」でご一緒しているのですが、再びご一緒できるのがすごくうれしいですし、片山監督ともずっとご一緒したかったので楽しみでした。お二人が作り上げる作品の空気感は、うそがなく、バイオレンスな要素もあるけれども、どこか包み込んでくれる優しさがある気がして、私は大好きなんです。演じていて楽しかったです。

-それぞれの監督のディレクションの違いはどう感じていましたか。

 それぞれのエピソードに(マリコの働くバーや探偵業の)お客さんが登場しますが、そのお客さん同士で作り上げるシーンは、監督それぞれの特徴が垣間見えていると思いますが、マリコに対してのディレクションは共通していたように思います。お二方とも段取りでやったお芝居を尊重してくださり、あまり細かい指導はなく、自由にお芝居をさせてくださいました。遊び心があるお二方なので、「伊藤がこうくるなら、こうしよう」とうまく誘ってくださり、遊ぶところは遊び、シリアスなところはシリアスにというそのあんばいがとてもすてきだなと思いました。

-マリコという人物をどのように捉えて演じていましたか。

 人がすごく好きで、冷静なところもあるけれど、意外とがむしゃらに生きている。矛盾しているような行動の中にも一つの軸があるところが彼女の魅力だと思います。衝撃的な過去を抱えていますが、そうした過去があるから特別なキャラクターだということではなく、一般的な人よりは大きな荷物を抱えた子と思って演じました。

-伊藤さんと共通点はありましたか。

 「自分が覚悟するより先に大人にならなくてはいけなかった」ということが共通点なのかなと思いました。彼女は幼少期の頃に、大きなものを背負わされますが、私自身も9歳からこのお仕事をさせていただいたので、子どもでいたくても子どもでいられない瞬間もあったなと、今振り返ると思います。まだ子どもなのにしっかりしなくてはいけないことで、ある種、図太くもなれたのかなと。

-本作では、6つのエピソードで物語がつづられます。どのエピソードもインパクトが強いですが、伊藤さんはどのエピソードが印象に残っていますか。

 北村有起哉さんが落ちぶれたやくざの戸塚を演じている「鏡の向こう」です。一番、胸がギュッとなったお話でした。終わり方もそうですし、一番過去にとらわれているのが戸塚だと思います。すごくつらいストーリーですが、リアルにある話なんだろうなとも思いました。娘役の藤松祥子ちゃんも大好きな女優さんなんですよ。彼女のせりふの言い方もとてもリアルで、「見たことはないけど、絶対にこういう人いるよね!」という絶妙な演技をされていて、お父さんとすれ違う姿は切なかったです。

-では、撮影で思い出深いシーンは?

 物語のクライマックスで、宇宙人を追ってきたやくざたちが対立するシーンです。「これは何を撮っているの?」と思いながら、とにかく楽しく撮影しました。それぞれのエピソードはすごくリアリティーがある人間模様を描いているので、宇宙人のパートはどのシーンも楽しかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「バックルームズ」(9月4日公開)★★★ 出口のない迷宮が生む恐怖  “あるはずのない隙間”から、黄色い壁に囲まれ蛍光灯に照らされた迷宮のような空間へ迷い込んだ男(キウェテル・イジョフォー)が、出口を求めてさまよう。インターネット発の都市伝 … 続きを読む

伊原六花「七五三掛さんが一緒で心強い」七五三掛龍也「伊原さんはオールマイティーな方」痛快リベンジ・エンターテインメントで共演「小麦とバターと復讐と」【インタビュー】

ドラマ2026年10月7日

 10月7日(水)よる11時からカンテレ・フジテレビ系全国ネット「水ドラ★イレブン」枠で、新ドラマ「小麦とバターと復讐と」がスタートする。  夫と助手に裏切られ、命を落としたパン職人の野崎ミチルが、2年前にタイムリープし、過去をやり直しなが … 続きを読む

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

page top