夏帆「やらないという選択肢はなかった」 苦手意識もあった舞台への挑戦【インタビュー】

2022年9月1日 / 08:00

 映画『天然コケッコー』(07)や『海街diary』(15)、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(19)など、数々の映画やドラマに出演し、存在感を発揮する夏帆。9月9日から上演される、モチロンプロデュース「阿修羅のごとく」では、6年ぶりに舞台作品に挑戦する。舞台に強い苦手意識を持っていたという夏帆が、「これはやらないといけないと思った」と、強い思いを持って挑む本作への意気込みや見どころを聞いた。

夏帆(ヘアメーク:石川奈緒記/スタイリスト:清水奈緒美) (C)エンタメOVO

-本作は、向田邦子さんの代表作でもある、1979年に放送されたドラマの舞台化です。久しぶりの舞台出演になりますが、どのような思いから出演を決めたのでしょうか。

 21歳のときに初めて舞台をやらせていただいて、それから4本連続で年に1本のペースで出演させていただいたのですが、正直に言うと、舞台に対しての苦手意識が強くなっていきました。もちろん学ぶことも多かったですし、貴重な体験をさせていただいたと思っていますが、どうしても尻込みしてしまうところがあって…。なので、「しばらくは映像のお仕事に専念しよう。もし、これだと思う舞台と出会えたときには舞台をやろう」と思っていたんです。

-本作は、「これだ」と思えたのですね。

 この作品の話を頂いたときに、理屈ではなく「これはやらないといけないでしょ」って(笑)。やらないという選択肢は自分の中にはありませんでした。今回、演出は木野花さんがされるのですが、木野さんとは初舞台のときに共演させていただいて、とてもお世話になりました。誰よりも本気で、誰よりもエネルギッシュで、すごく愛情深い方なんです。なので、今回、演出を受けられることが本当にうれしいです。それから、(主演の)小泉(今日子)さんとは、以前にドラマでご一緒させていただいていて、再び共演させていただけることもうれしいですし、小林(聡美)さん、安藤(玉恵)さんという、憧れてずっと作品を見てきた方たちとご一緒できるというのも楽しみで、これは絶対に出演したいと思いました。

-そもそも、舞台に苦手意識を持ったのは何かきっかけがあったんですか。

 言葉では表現しにくいのですが…、ずっと映像のお仕事をしていたということもあって、舞台でお芝居をすることに自分の中で違和感を感じたという感覚でした。ただ、今はこの作品に向けてスタートを切っていますし、舞台が苦手と言っている場合ではないので。(共演の)皆さんよりも何もかも足りていないことは分かっているので、必死にしがみつきながら、自分のできることを精いっぱいやりたいと思っています。

-では、本作の脚本を初めて読んだとき、どんなところに面白さを感じましたか。

 本当にすごい脚本だなと思いました。言葉が研ぎ澄まされていて、会話の中だけで四姉妹それぞれの個性がしっかりと出ていて、みんな魅力的に描かれています。初めて(原作の)ドラマを見たときには、自分とは生きてきた時代が違うと感じたのですが、脚本をしっかりと読み、せりふを追っていくと、共感できるところも多く、色あせない物語なんだと改めて感じました。

-今回、夏帆さんは四女の咲子を演じます。どんなところにポイントを置いて演じたいと考えていますか。

 まだこれから作っていくところですが、姉妹と一緒にいると、達観しているところがあって、突然本質を突いたことを言ったりするのに、奔放さや危なっかしさも持っている、すごく面白い人物だと思います。いろいろな面を持っている女性だと思うので、それを舞台上で表現できたらと今は思っています。

-先ほど、舞台に対する苦手意識の話もありましたが、舞台の魅力については、今はどう考えていますか。

 まだ分からないです。私にとっては、やっぱり舞台はいまだ未知の世界なんです。なので、この作品を通して、どういう体験をして、どういうことを感じるのか、(取材当時は)これから本格的に稽古が始まるので、まだ想像できないところが大きいです。ただ、本読みをしていく中で、全員で話し合いながら、丁寧に役を作り込んでいく作業ができるんだなということを感じました。最近の映像の現場では限られた時間の中で撮り進めていくことも多いので、ものづくりにおいてはすごく豊かな場所だなと思いました。

 
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