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主人公でないとはいえ、源頼朝という人をメインの登場人物として描くことができる喜びは脚本家冥利(みょうり)に尽きます。あれだけドラマチックな人生を送った人はそうはいないと思いますし、なおかつ、決して聖人君子というわけでもありません。女好きなところも含めて、欠点の多い人物ですから、僕だけでなく、誰が書いても魅力的になる気がするんですよね。昔から、それぐらい面白い人物だと思っていました。
僕は脚本を書くとき、先々の展開はあまり計算していないんです。もちろん、物語としての全体的なプロットはあります。でも、その時その時の「登場人物たちの思い」は、その瞬間、瞬間に「見つけていく」というイメージなんです。義時の人生をたどって、あのとき、義時はどんな思いだったんだろうと、自分なりに義時になって振り返っていく。そうすると、やっぱり頼朝から教わったことはたくさんあるし、いいことも悪いことも含めて、人の上に立って政を担う上で大事なことは、当然大きな影響を受けている。そういうことに改めて気付き、その思いをせりふにしていきました。
だからあのとき、義時が頼朝に対して「鎌倉殿は私にだけ大事なことを打ち明けて」と思い出したのは、僕が思い出したからなんです。僕の中の義時があの瞬間、これまでの頼朝との主従関係を振り返りながら書いたせりふです。そういう意味では、あれを書いた瞬間、今後どうなっていくのか、僕にも分かっていません。それは、自分でも書いていて不思議だなと思っています。
(取材・文/井上健一/田中雄二)
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