【インタビュー】NHK 夜ドラ「卒業タイムリミット」 主人公の高校生を演じる井上祐貴「芯の強さ、目の強さを意識しました」

2022年4月3日 / 08:00

 4月4日から放送開始となるNHK 夜ドラ(月~木放送)の第1弾作品となる「卒業タイムリミット」。本作は、作家・辻堂ゆめの小説を原作とした青春ミステリーで、卒業式を間近に控えた高校が舞台。生徒に人気がある英語教師の水口里紗子(滝沢カレン)が誘拐され、生徒の1人・黒川良樹を含む共通点のない4人の生徒に、犯人から”挑戦状”が届く。真相を追ううちに、徐々に水口の別の顔、そして集められた生徒たちが抱える問題も明らかになっていき…というストーリーが展開する。主人公の高校生・黒川を演じた井上祐貴に、本作の見どころ、撮影でのエピソードなどを聞いた。

夜ドラ「卒業タイムリミット」で主演を務める井上祐貴 (C)NHK

-「卒業タイムリミット」は、NHKの新ドラマ枠「夜ドラ」の第1作目です。そこで主演をするプレッシャーはありましたか。

 もちろんプレッシャーはありました。でも、気持ちを切り替えることができた一番のタイミングはクランクインの日です。台本でしか見たことなかったキャラクターの方たちと、一緒にお芝居をすることによって、現場の雰囲気をちょっとつかめたというか。その日から、プレッシャーよりも『よし、やってやる』というスイッチが入りました。

-第1週の放送分を見ましたが、とても面白かったです。脚本を読んだときの感想を教えてください。

 面白いのはもちろん、とにかくこの先どうなるのかが気になる内容だなと思いました。映像がつながって、そこに音楽が加わり、トントントンとテンポよく進んでいく。その中に大事な要素もたくさん散りばめられていて、あっという間の15分。完成したものを見て 「あっ、面白い、間違いない」と思いました。

-井上さんは現在25歳ですが、高校生役を演じるに当たって、工夫したことは?

 高校を卒業してから6年たちました。意識したことといえば、やっぱり見た目は髪形ですかね。前髪を上げたら年齢が上に見えて、前髪を下ろしたら、実際の年齢よりも少し若く見えるんです。なので、高校生役と聞いたときは、自分の中で前髪は下ろしていきたいな、というのは思いました。

-同じ挑戦状を受け取ったのは、サッカー部でスポーツ万能の荻生田隼平(西山潤)、校内ミスコングランプリの美少女・小松澪(紺野彩夏)、そして黒川の幼なじみで学年一の秀才・高畑あやね(桜田ひより)です。高校生役の皆さんとのコンビネーションは、いかがですか。

 荻生田役の西山潤くんが完全なるムードメーカーなので、僕も井上というより黒川として、いい意味で流れに身を任せている感じがあります(笑)。そこに女の子2人も付いていく感じ。荻生田はちょっとはっちゃけているけど、荻生田も潤くんもキャラクターがすごく似ていてあまり変わらない。そこに誰かが突っ込んで、ちょっと笑いが起きたり、そんな雰囲気の現場です。

-黒川は無口でおとなしめの役ですが、自身と似ている部分は?

 僕は無口でも、静かでもない方だと思うのですが、誰かが何かを言ったときの反応やそれに対しての発言には、黒川に共感できることが多いです。お母さん(仙道敦子)とのシーンでも、高校生って、素直に感謝の気持ちを伝えたり、日常会話をするのが難しい年頃ですが、その感覚は僕も共感できました。また黒川は、的の外れたことを自信満々に言う荻生田に対し、冷静に言葉を返します。井上と西山潤としても、そういうやり取りがあるので、そこは共通部分です(笑)。

-井上さん自身の卒業式の思い出を教えてください。

 卒業式の思い出は、高校も中学も似たようなものなのですが、泣いちゃった…という(笑)。多分そんな泣くような雰囲気でもなかったですし、予行演習でも本番が始まった当日も、いつも通りに過ごしていたのですが、校歌を歌っているときに、なぜか急に涙が出てきてしまって。「ああ、学校生活が楽しかったんだな」と改めて実感した思い出があります。

-女子から「第2ボタンをください」と言われた経験は?

 なかったです(笑)。周りもなかったです。僕が知らないだけかもしれないですけど。もちろん皆で写真を撮ったりはしてはしました。両親が来て一緒に撮ったりとか、そういう思い出はあります。

-黒川は「元不良」という人物設定ですが、1週目ではそのような描写があまり見当たりませんでした。今後、元不良と分かる過去のエピソードが出てくるのでしょうか。

 あります。1週目は、まず事件の重大さを伝えるためにポポポーンとテンポ感のある内容で作られていますが、2週目から、高校生4人だけでなく先生も含めて、キャラクターが徐々に深堀りされていきます。そこに黒川が元不良というのが分かる映像なども出てくるので、期待していてほしいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

Willfriends

page top