【インタビュー】映画『牛首村』清水崇監督×大谷凜香「ロケ中に、空気が張り詰める瞬間を何回か感じました」

2022年2月19日 / 18:00

 ホラー界の巨匠・清水崇が放つ“恐怖の村”シリーズ。その『犬鳴村』『樹海村』に続く第3弾『牛首村』が、全国公開中。今回は、北陸最恐の心霊スポットとして名高い「坪野鉱泉」を主な舞台に、「牛の首」の伝説やあることにまつわる因習が絡む。清水監督と、シリーズ3作にアキナ役で登場する大谷凜香による、映画とは真逆の和やかなトークを公開する。

清水崇監督(左)と大谷凜香

-大谷さんは、シリーズ全作に出演していますが、3作とも出演の仕方が強烈です。

大谷 年に1回の早いペースで作られているので、監督の中では次の案も進んでいると思いながら、次はどんな出演の仕方だろうかと。

清水 アッキーナに限らず死に方はほぼ僕が決めているかもしれない。例えば、『犬鳴村』だと、周りが見渡せる高所などなさそうな所で電話が掛かってきて、話している相手が目の前に落ちてくる…で、後から鉄塔が映るというアイデアを、脚本家に伝えた。だんだんと電話の声と実際の声が近づいてきて、しかも目が合いたいと(笑)。

大谷 そうなんですよ。落ちるときって、風とか強いし怖いし、目をつぶりがちなんですけど、頑張って目を開けていました。

清水 『樹海村』のときは、彼女が主役のオーディションに応募してきた。

大谷 そうなんです。

清水 そのときはまだ主役も決まっておらず、言っていなかったんで、プロデューサーに「大谷さんは、俺の中では決まっている。同じアッキーナの役があるから」と慌てて伝えました。

大谷 『犬鳴村』のときに真っ先に死んでいるから、「次回作があっても凜香は出ないよな」って皆から言われていたので。

-そうですよね。同じく3作ともに出演している遼太郎くん(笹本旭)は死んでないから分かるけど、アッキーナは毎回死んでいる。設定では別人?

清水 多分。「パラレルワールドなの」ってたまに聞かれるので、『樹海村』の舞台あいさつで、「3作目で謎が解けます」と僕が適当なことを言った。

大谷 おっしゃっていました。

清水 言ったんですけど、たぶん解けない。マルチユニバースって知ってます? 『スパイダーマン』の新作を見て、あっ説明するならこれだ…と。ドクター・ストレンジを連れてこようかと(笑)。

-大谷さんから見た清水作品の魅力は?

大谷 ジャパニーズ・ホラーをけん引されている存在で、小さい頃から『呪怨』は普通に知っていました。音が印象的過ぎて、目をつぶっていても思い出してしまう。だから小さい頃はお風呂のシャワーの音が嫌いで、無意識に恐怖心が浮かんでくるんです。

清水 僕は“お土産”と呼んでいるんですけど、ホラー映画を見た後に、家でシャワー浴びたりトイレに立ったり、一人になったときに思い出す、その頻度が多いものほど効果があるのかなと。自分が『E.T.』(82)で生涯の影響を受けたように、なるべくなら見てくれた方の生活や人生に爪痕を残したい。例えば…日本人の大半が泣ける=感動と思ってしまっていて、力技の押しつけがましい“お涙頂戴”でまんまと泣く…よかったあって。でも、そういった割に少し後には何で泣いたか覚えていなかったりする。“お土産”で引っ張りたいんですよね。その人の一生ずっと思い出させるくらいまで。

大谷 怨念ですか(笑)。

清水 でも、思春期や青春期に見たなら、ホラーじゃなくても、あるんですよね。僕もそうですし、どんなに優秀な映画がその後にできても、思春期や青春期に見たものが一番残っている。アクション映画でも恋愛映画でも。僕はずっと『E.T.』の感動は忘れないです。じゃぁ、何でホラー撮っているんだと(笑)。

-坪野鉱泉でのロケはいかがでしたか?

大谷 基本的に撮影が夜だったので、心霊スポットといわれる場所なのに景色がやたらきれいでした。山の中腹にあって、みんなで夕焼けを見たじゃないですか。ムチャクチャきれいでしたよね。街並みの先に海が続いていて、その奥に沈んでいく夕焼け。

清水 全部が融合していて。夕焼けとか花火を見ていつも思うんですけど、全く言葉を交わさないのに、今ここにいる人の気持ちが全部一緒になっている瞬間があると。そっちの方が感動しますね。誰かが死んだとか、うそくさいストーリーよりも(笑)。だから心霊スポットなのに、あの瞬間はすごかった。

大谷 不思議な感覚でしたね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

山下美月が“かつてなく最高の主人公”に 「自分も成瀬あかりのような人間に近づきたい」舞台「成瀬は天下を取りにいく」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月16日

 舞台「成瀬は天下を取りにいく」が7月4日(土)から上演される。本屋大賞をはじめ数多くの文学賞を受賞し、主人公・成瀬あかりが全力で我が道を突き進む姿が読者を魅了した、シリーズ累計発行部数210万部を突破する大人気小説『成瀬あかりシリーズ』。 … 続きを読む

片山友希、MEGUMI「間違えても失敗しても、とにかく前に進み続けるということはお伝えできたかなと思います」『FUJIKO』【インタビュー】

映画2026年6月15日

 1970~80年代の静岡を舞台に、激動の時代を生きるシングルマザーが自らの生き方を模索しながら力強く歩んでいく姿を描いた、木村太一監督の『FUJIKO』が全国公開中だ。本作で主人公の富士子を演じた片山友希と、企画・プロデュースを担当し、出 … 続きを読む

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

page top