“西の五代”が“東の渋沢”とついに出会う!「渋沢は、同じ未来に向かって進んでいく仲間」ディーン・フジオカ(五代才助(友厚))【「青天を衝け」インタビュー】

2021年9月26日 / 12:00

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」。時代は明治に移り、主人公・渋沢栄一(篤太夫/吉沢亮)は、パリ滞在で学んだ経験を生かし、新しい日本を作るために走り始めた。そんな栄一とこれから関わっていくのが、後に大実業家として「西の五代、東の渋沢」と並び称される五代才助(友厚)だ。連続テレビ小説「あさが来た」(15~16)に続く二度目の五代役となるディーン・フジオカが、2人の関係や役に込めた思いを語ってくれた。

五代才助(友厚)役のディーン・フジオカ

-これから五代は、栄一と関わる機会も増え、さらなる活躍を見せることになりますが、見どころを教えてください。

 「西の五代、東の渋沢」と比較されることが多いですが、五代としては渋沢のことを「同じ未来に向かって進んでいく仲間」と捉えています。ただ、五代の方がより経験や見識も豊かなので、渋沢をリードしていくような関係になるのかなと。

-幕末の時点では、幕臣の栄一と討幕を目指す薩摩藩士の五代ということで、相反する立場にありましたが、これから2人は、お互いの存在が支えになっていく部分も出てくると?

 そうですね。やっぱり、新しいことにチャレンジするのは、どれだけ確信を持っていたとしても、とても難しいことだと思うんです。その苦労を乗り越えていく上で、場所は違っても同じ時代に志を共にする仲間が頑張っている姿は、渋沢と五代、双方にとって大きな影響があったでしょうし、エールになっていたのではないでしょうか。

-そういう意味では、栄一役の吉沢さんとお芝居の差別化を意識している部分はありますか。

 競争相手と言えなくもありませんが、自分の中ではやっぱり、「よりよい未来を一緒に作っていく仲間」という意識の方が強いんです。だから仮に、劇中で渋沢からは五代が、「厄介で手強いライバル心を燃やす相手」に見えるのであれば、五代から見る渋沢との関係は、もっと大きく包み込むようなあり方でいるべきなのかな、と。渋沢の成長は、五代にとって頼もしい仲間が増えることを意味しますし、日本をよりよい未来へと一緒に導いていく上で、渋沢を頼りにしていたはずですから。そういう意味では、接点を持つときも、より包容力のある形で、ゆとりを持つようなイメージで演じています。

-以前お話を伺った際は、「今回は『あさが来た』の五代とは違う」とおっしゃっていましたが、物語が進んだ今はどんなふうに感じていますか。

 渋沢をはじめ、政府や民間にいろいろなキープレーヤーが登場し、新しい日本を作っていったのが明治という時代です。その中の一人である五代友厚という人物が、実際にどんな信念や哲学に基づいて行動し、現代の社会にどんな影響を与えたのか。今回の方が、そういうことを史実に基づき、より分かりやすく詳細に描いています。

-同じく初登場の際は「今回の五代は『あさが来た』よりもワイルド」というお話もされていましたが、ここまで演じてきた五代の魅力をどんなふうに考えていますか。

 どれほど先見の明があったのかが、より具体的になっています。これは、立場によっては、すごくしたたかに見えることもあれば、頼もしいという印象にもなる。だから、それを魅力というかどうかは表裏一体です。ただ、もし競争相手がいるとすれば、一筋縄ではいかない存在であることは間違いないでしょう。その根本にあるのは、五代が広い視野と行動力を兼ね備えた人物で、具体的に何をどんな順番でやっていくべきか、確信を持っていたということ。そういう部分からにじみ出る自信みたいなものが、五代の魅力ではないでしょうか。

-二度目となる五代役ですが、役とご自身との距離感をどんなふうに捉えていますか。

 自分にとって、五代友厚という人物との出会いは大きなもので、現在進行形で今も気付きを与えていただいている存在です。そういう意味では、とても影響を受けていることは間違いありません。ただ、自分ではそれほど客観視できていないのかな…と。一俳優として、五代友厚という人物との距離感をどう測るべきなのか、その尺度を持ち合わせていない、とでも言ったらいいでしょうか…。もちろん会ったことはなくても、すごく恩義を感じる存在ですし、こうしてもう一度演じる機会を頂けたことも、何か見えない力で導かれているとしか思えませんし…。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

目黒蓮が抱いた“継承への思い” 妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

Willfriends

page top