【インタビュー】ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」明日海りお「絞りたての感情をそのままお届けしたい」

2021年9月9日 / 08:05

 「モーツァルトが実は女だった」という福山庸治の同名コミックスを原作とした、日本オリジナルミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」が10月10日から開幕する。1991年に初演された本作は、劇中でモーツァルトの楽曲が使用されているのはもとより、小室哲哉が音楽を担当していることでも話題を呼んだ。今回の公演では、音楽の才能に恵まれたことから男として育てられ、自分を偽って結婚した妻との関係や本来の自分の姿に悩むモーツァルトを、明日海りおが演じる。明日海に本作での役作りについてや、ヒロイン役の華優希との久しぶりの共演への思いを聞いた。

モーツァルト/エリーザ役の明日海りお(ヘアメーク:山下景子(コール) /スタイリング:大沼こずえ(eleven.))

-本作への出演が決まったときの心境を教えてください。

 宝塚歌劇団を卒業後に出演したミュージカルゴシック「ポーの一族」は、宝塚時代にも演じたことがある作品で、かつ昔からお世話になっている小池修一郎先生の演出の作品でしたので、今回の作品はこれまでとは違う新しい挑戦になるなと思いました。すごく楽しみです。

-「女性でありながら男性として育てられたモーツァルト」という複雑な役柄ですが、演じるに当たってどのようなところを意識したいと考えていますか。

 宝塚では男役として年を重ねていくと、どっしりとした役を演じることが多いので、私も退団前はそういう役柄が多かったように思いますが、今回演じるマドモアゼル・モーツァルトはとてもパワフルな役なので、私も舞台に向かう“ギア”を全開にしていきたいと思います。モーツァルトは、音楽家として生きるために、女であることを隠して生きてきました。そして、女であることを隠してコンスタンツェと結婚します。そんなとき、サリエリという1人の男性と出会って、初めて女性として扱われ、恋心を知ります。きっと、モーツァルトは初めての感情に驚いたと思います。設定は複雑ですし、劇中ではモーツァルトのさまざまな葛藤や、普通の女の子では経験しないような感情が入り乱れた様子が描かれていますが、そこはうそなく演じたいです。自分が戸惑いを感じるなら戸惑ったまま、整理がつかないならそのままの感情を出したいです。絞りたての感情をそのままお届けしたいと思います。

-宝塚での男役の経験が今回の役柄に生きてくるのでは?

 もちろん、生きてくると思います。モーツァルトは幼い頃から男として生きていて、男でいることがなじんでいるのではないかと思うので、そういう意味でも、私が長年、舞台で男役をしてきたことは生かせると思います。それから、モーツァルトがエリーザとしてドレスを着て出かけようとしたら、コンスタンツェに「その歩き方はやめて」と指摘されるというシーンがあるのですが、その女の子としての振る舞いに慣れていないところや、ドレスを着ることに不安とうれしさが入り混じるような気持ちはすごく理解できます。きっと男役をしていた私だからこそ、感覚が近いところがあるのかなと思います。ただ、今回の役は、男役をやることの延長ではないので、そこはしっかりと意識して、今、ここに生きるモーツァルトを、エリーザを演じて、お客さまに感じていただきたいといます。

-モーツァルトの妻であるコンスタンツェ役を、宝塚時代にコンビを組んでいた華さんが演じることも話題になっています。今回の共演についてどんな思いがありますか。

 まさかこんなにも早く共演できるなんてとびっくりしましたが、とてもうれしく思っています。ただ、短い間でしたが、かつて男役と娘役という間柄でコンビを組んでいたので、それが華ちゃんにとって足かせにならなければいいなとは思います。どうしても、宝塚の娘役さんは男役をすごく立ててくれるところがありますし、男役もどこかそれを普通に思ってしまい、そして娘役さんに対して「かわいい、かわいい」という意識が湧いてしまうんです。華ちゃんには、今までの関係性に縛られずに、伸び伸びと演じて、可能性を広げてもらいたいです。とはいえ、2人でこれまで一緒にお芝居をしてきたということには自信を持って、今回のモーツァルトとコンスタンツェの絆を表現できたらと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』

映画2025年11月22日

『TOKYOタクシー』(11月21日公開)  タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。  すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む

中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月22日

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む

岩田剛典、白鳥玉季「全編を通してくすっと笑えるコメディー映画になっていますので、気楽な気持ちで映画館に来ていただきたいです」『金髪』【インタビュー】

映画2025年11月21日

 日本独特のおかしな校則、ブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道といった社会問題を背景に、大人になりきれない中学校教諭が、生徒たちの金髪デモに振り回されながら成長していく姿を、坂下雄一郎監督がシニカルな視点で描いた『金髪』が全国公開 … 続きを読む

加藤清史郎&渡邉蒼「僕たちも今、夜神月に巻き込まれている」 子役出身の二人が挑む「デスノート THE MUSICAL」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月21日

 映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」のミュージカル版「デスノート THE MUSICAL」が11月24日から上演される。2015年に日本で世界初演された本作は、原作のスリリングな物語を世界 … 続きを読む

なにわ男子・大西流星「“timeleszのお兄さん”な原くんは印象通り」 timelesz・原嘉孝「流星は優しくてしっかりしてる子」 1月期ドラマでW主演【インタビュー】

ドラマ2025年11月20日

 なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。  本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む

Willfriends

page top