【インタビュー】ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」松下優也&堂珍嘉邦、歌とパフォーマンスで「0から100まで見せる」

2021年8月24日 / 18:00

 19世紀末に英国ロンドンで発生した、殺人犯・通称“ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)”による猟奇連続殺人事件をモチーフにした、ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」が9月9日から上演される。日本初上演となる本作は、チェコ共和国で創作され、それを原作に韓国独自のアレンジを施して大ヒットを記録した衝撃のミステリーミュージカル。アンダーソンを演じる松下優也とジャックを演じる堂珍嘉邦(ともに加藤和樹とWキャスト)に、本作の魅力や出演に当たっての心境を聞いた。

アンダーソン役の松下優也(左)とジャック役の堂珍嘉邦

-この作品のどんなところに魅力を感じて出演したいと思ったのですか。

堂珍 優也くんがいるから(笑)。

松下 ありがとうございます(笑)。まさに僕は、堂珍さんが出演されると聞いて、めちゃくちゃ気分が上がりました。

-アーティストとして活動しているお二人が、今回は、俳優として同じ作品に携わります。それについてはどんな思いがありますか。

堂珍 僕はこれまで、優也くんがどういうお芝居をされるのか全く知らなかったので、最初の本読みのときから、しっかりとアンダーソンというキャラクターを作ってきていて、役に向き合っていたことが印象に残っています。歌を歌っているときはもちろんですが、せりふを話す雰囲気もすてきなので、毎日(稽古場で)、アンダーソンの芝居を楽しみにしています。

松下 堂珍さんにそう言っていただけるのはすごくうれしいですが、それで調子に乗らないようにしないといけないなと思います(笑)。僕は、堂珍さんと同じ作品でお芝居ができることをすごくうれしく光栄に思っています。シンガーとしての自分と役者としての自分は、切り替えてやっているつもりではありますが、ミュージカルはその両方が並行する、ある種特殊な世界だと思うんです。ミュージカルならではのルールというようなものがありますし。僕自身はアーティストであるにもかかわらずミュージカルに出演させていただいているという立場ですので、同じくアーティストの大先輩で、どしっと構えていらっしゃる堂珍さんのような方がカンパニーにいらっしゃるのは心強いです。

-公式サイトでは、本作の歌唱動画も公開され、大きな反響を集めていますが、歌唱動画ではどんなことを意識して歌ったのでしょうか。

松下 僕は今回の歌唱動画に関しては、実際に劇場で歌うミュージカルとしての歌唱とは別に考えた方がいいと思ったので、半分は松下優也で、半分はアンダーソンというイメージで歌いました。感情を乗せることよりも、より丁寧に歌うことにフォーカスして歌いました。

堂珍 僕も歌唱動画に関しては、カメラが回っていることを意識もしていなかったので、曲に対してのアプローチをメインに考えていました。

-なるほど。では、アーティスト活動で歌っているときとミュージカルでの歌唱とでは、どんな違いを感じますか。

堂珍 全ての楽曲には、0から100までのストーリーがあると思います。それは、生まれたときから現在までなのですが、僕が普段歌っている「音楽の世界」では、そういう楽曲のうち、30から70ぐらいの範囲を歌として伝えることが多いんです。ですが、ミュージカルでは0から100まで見せなくてはいけないという感覚があります。それは、役として掘り下げるということとは、似たようで違ったりもするのですが…言葉では伝わりにくいかもしれませんが、僕はそれがミュージカルでの歌唱の面白さかなと思います。

松下 それ、めっちゃ分かります。ですが、それをどう説明したらいいのかは難しいですね(笑)。

堂珍 もちろん「音楽の世界」でも、ストーリーがあったり、内容があったりしますが、ミュージカルではより“表現”として、自分のライブでは行わないようなパフォーマンスを、お芝居しながらしなければならない。例えば、今回、ジャックはスティック(つえ)を持っていて、それを操りながら歌うシーンもあります。それも含めての0から100です。自分の領域でもある「音楽」というフィールドよりも幅の広さを感じ、そこに対応していく面白さがあります。

 
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