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ホリプロが日本から世界に向けたオリジナルミュージカルの創作を目指して始動した「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」。数多くの応募の中から、脚本部門の作品が選出され、その脚本を使って新作ミュージカルのパイロット版「PARTY」が制作された。通常は公開されることのないリーディング・ワークショップを配信するという形で発表された本作は、ブロードウェーの作曲家、ジェイソン・ハラウンドの楽曲とともに、あるパーティーでのひとときが描かれる。ユリ役の鈴木瑛美子、ドクトル役の加藤和樹、オーランド役の伊礼彼方に、収録時のエピソードやコロナ禍での舞台業界について思いを聞いた。
加藤 日本ではこういった取り組みはなかなかないことですし、われわれもお客さんも新鮮だったんじゃないかと思います。僕たちも撮影前に何度も合わせたわけではないので、ワクワク感もありました。
伊礼 外国ではこういう企画はよくあるらしいのですが、日本では、僕たちは、台本をもらって、オファーをもらって、プレーヤーとして参加するだけなので、作品のベース作りの時点から参加させてもらえるのは貴重な経験でした。こうして一緒に作品を作っていく経験をすると作品への思いも強くなりますし、すごくすてきな試みだったなと思います。
鈴木 こういう時期に新しい企画を立ち上げ、新たに見てもらえる機会を作っていただけたことはすごくすてきなことだと思います。この企画に参加できて、うれしかったです。
加藤 最終的にはとても心が温まるストーリーで、誰にでも共感し得る親近感が湧く作品だと思います。それから、映像を見ていただければ分かると思いますが、とにかく楽曲が素晴らしい。自分も楽しく歌いながら撮影できました。楽曲と脚本がすごくマッチしていると思います。
伊礼 僕自身は新しいものを作ろう、新しいクリエイターを生み出そうというこの実験的な活動自体に心を打たれました。もちろん、本当に脚本も面白いですし、楽曲も素晴らしいです。それは、みんながノリノリで歌っている姿を見ていただければ伝わるんじゃないかと思います。そして、何といっても、鈴木さんの歌が最高でした。今回初めて共演させていただいたんですが、声の存在感が突出している。素晴らしい声の持ち主だと感動しました。
鈴木 ありがとうございます! 私は、この作品は現代に寄り添った作品だと感じました。さまざまな立場の人が出てくるので、いろいろな角度から見られる作品ですし、たくさんの方に共感したり、感動したりしていただけるんじゃないかと思います。初めて脚本を読んだとき、私自身も悩みを抱えていた時期だったので、感動してウルウルしてしまいました。
鈴木 私は今まで出演したミュージカルが、全て千秋楽を迎えられなかったんです。新型コロナの影響で、途中で公演中止になってしまったりして…。なので、すごく悔しい思いもありましたが、今回、こうした企画に呼んでいただいて、これから新しいことができるかもしれないとすごく将来性を感じました。新型コロナに対して、憎んでいたり恨んでいたりと負の感情も大きかったのですが、この作品に出演させていただいたことで、明るく前向きな気持ちになれました。
加藤 僕自身も出演予定の作品が公演中止になったり、自身のライブが延期になってしまったりといろいろありました。もちろん最初は、どう対処すればいいのか分からず、結果的に公演中止にするという判断しかできなかったと思います。ですが、今はいろいろなことが分かってきて、われわれの中でもどうしたらできるのかみんなで模索してこの1年をやってきました。もちろん、どんなに対策をしてもかかってしまうこともあると思います。ですが、全部を中止するのではなく、再開できるように対処法を十分に考えることができているので、確実に前に進んでいるとは思います。僕たち役者やクリエーター、スタッフが手を取り合えばこれだけのことができるんだということを、われわれの底力を見せられた時期になったのではないかと思います。
伊礼 新型コロナがあったからこそ明らかになった問題や、これまでずっとふたをしてきたことに目を向ける機会になったと思います。今回の企画も、ホリプロさんという大手企業がチャレンジしたことが素晴らしい。コロナがいつ終息するか分からない今、好き嫌いはあれど、配信などのさまざまな形で作品を伝える手段ができたことは業界としてもいいきっかけになったのではないでしょうか。そして、だからこそ、人々が集まれるようになり、生の声や熱量を届けたときに、心がより満たされていくと思います。そういう意味でも、舞台は今後も生き続けるのだろうと思います。
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