【インタビュー】映画『ナポレオンと私』武田梨奈「明日の生き方が変わる小さなきっかけを与えてくれる作品」 濱正悟「すごくポジティブで元気になれる映画」

2021年6月28日 / 12:16

 恋に仕事に悩みながらも、一歩を踏み出せずにいる人生迷子の20代のOL、春子。その前に突然、ゲームアプリのイケメンキャラ“ナポレオン”が現れた! 完璧過ぎるナポレオンにサポートされた春子の人生の行方は…? 大人気恋愛ゲームアプリ『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑(通称:イケヴァン)』を基に、完全オリジナルストーリーで映画化したラブストーリー『ナポレオンと私』が7月2日から全国公開となる。本作で、主人公の春子を演じた武田梨奈と、ナポレオン役の濱正悟が、撮影の舞台裏を語ってくれた。

武田梨奈(ヘアメーク:寺下舞/スタイリスト:トリイクニコ)と濱正悟(ヘアメーク:佐々木麻里子/スタイリスト:徳永貴士)

-20代の頃を思い出し、人生に迷う春子に共感しました。お二人はいかがでしたか。

武田 私も春子に共感しました。「分かるな…」と思ったのは、好きな会社の先輩が「仕事をサポートしてくれる人を探している」と聞き、親友のイッチャン(伊原ゆか/綾乃彩)から「立候補しなよ」と勧められた場面。春子はそれを断って、「大丈夫」って言っちゃうんです。でも、その後、1人になったところで「ハー…」っと沈んでしまう。そんなふうに、つい強がってしまうところは、すごく共感できました。

 春子って、すごく人間的じゃないですか。だから共感する部分は多くて。恋愛に限らず、「うまくいかないときは、何もかもうまくいかない」というのは自分にもありますし。そういうとき、頑張ろうとは思うんだけど、踏み出す勇気を得るまで、やっぱり時間がかかる。でも、春子にはナポレオンだけではなく、イッチャンのような、支えてくれる仲間がいるから、前に進むことができる。「自分だけじゃない」というところがすごくいいな、と。コロナ禍の自粛を経験し、最近は、そんなふうに支えてくれる人の存在がすごく大切だと思うようになりました。

-どんな気持ちでそれぞれの役に取り組みましたか。

武田 この映画の基になった『イケヴァン』のアプリをやらせていただいたら、世界観が独特だったので、「どんな作品になるんだろう?」と思っていたんです。でも、台本を読んでみたら、日常の中にナポレオンが現れるという身近なストーリー。だから、どこにでもいる等身大の女の子として演じればいいんだな…と。

-1人の女性として、リアルに演じようと?

武田 そうですね。頃安(祐良)監督からは「できるだけかわいそうに見えないように」と言われていたので、恋や仕事に悩んではいても、みんなの前では明るくいよう、と。それは日常的にもあり得ることなので、自分の感じていることに、女友達から聞いた話も取り入れつつ、やらせていただきました。

 ナポレオンは、「最初はあまり人間味を出さず、途中から人間らしい温かさを出していけたら」という話は監督としていました。その上、基になるアプリのキャラクターもあるので、自分で『イケヴァン』をやってみて、みんながどう思っているのかもリサーチしながら役を作り上げていきました。さらに、現場で「こうだよ」と言われれば、修正して…。

武田 濱さんは大変だったと思います。監督はもちろん、プロデューサーの皆さんも、ずっとモニターの前で「ナポレオンはこういうことはやらないと思う」とか、すごく細かくチェックしていたので。その上で演じられていたので、すごいなぁ…と。

 衣装も、普通なら衣装合わせで着るだけですけど、今回は作るところから始めたので、他の作品よりも「みんなで作り上げた」という印象が強いです。ただ、劇中ではナポレオンがしっかりしていて春子の方がドタバタしている印象ですけど、現場では全く逆。武田さんがしっかり引っ張ってくれました。

武田 本当? よかった。

 撮影2日目ぐらいのメーク中、武田さんが突然、走る虫のおもちゃを出したんです。それを見たヘアメークさんや衣装部の皆さんが悲鳴を上げちゃって(笑)。

武田 それ、全然しっかりしていない(笑)。

 でも、そのおかげで一気に打ち解けて仲良くなれたんです。そういうきっかけを作ってくれたのは、すごくありがたかった。

武田 怒られそうな方にはそういうことはしないんですけど(笑)。濱さんはクールなイメージがあったので、最初は話し掛けていいのか分からなかったんです。でも、メーク部や衣装部の方たちと親しくお話しをされているのを見て、私もきっかけが作れたら、と。「クールに返されたらどうしよう?」と心配だったんですけど、「いい加減にしてくださいよー!(笑)」みたいな、おちゃめな感じだったので、安心しました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top