【インタビュー】映画『100日間生きたワニ』上田慎一郎監督「原作漫画が持つ、語らぬ美学、余白みたいなものに一番魅力を感じました」

2021年7月7日 / 07:15

-原作とは異なる映画のオリジナルの展開も含めて、監督がこの映画に込めた新たなメッセージとは?

 僕は、答えが分かっていない状態で、いつも作り始めます。ただ、今回は、コロナ禍になって、脚本を書き直しました。「ワニが死ぬまでの100日」だけではなく、ワニがいなくなってから、残された人たちのその後を見たいと思ったし、それを描かなければいけないと思って作りました。例えば、「コロナ禍だけど、前を向いて行こうぜ」という人もいれば、その言葉がちょっとしんどいなと感じる人もいると思います。僕はどちらかと言えば「前を向いて行こうぜ」というタイプですが、それを押し付けるような映画にはしたくなかったんです。どの人も否定しないようなものにしようと考えて、そこをすごく探りながら作っていた映画ではあります。

-大切なものを失い、変わってしまった日常、けれども日々は続いていくというテーマは、コロナ禍とも通じるものがあると思いますが…。

 そういうことは考えの中にはありました。ただ、テーマについては、いつもその答えを決め切らずに作っています。つまり、「どんな困難があっても前を向くべきだ」ということを強く伝えたいと思って作っていると、やはり押し付けがましくなると思います。監督がそう主張すると、それが正解みたいになってしまうので、今回は、映画を開いておくことを意識しました。

-では、最後に観客に向けて一言お願いします。

 一般的なアニメとは違った味わいのある、一風変わったアニメ映画になっていると思います。今回は、僕自身はなるべく語らないようにしたので、皆さんに見てもらって、余白を埋めるように、どんどんと語ってほしいと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2021「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会

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