【インタビュー】ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」立石俊樹 挑戦尽くしの本作に「自分の殻を破るつもりで臨みます」

2021年5月17日 / 08:00

 ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」が5月21日から開幕する。本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で上演されてきた大ヒットミュージカル。日本では、小池修一郎の潤色・演出で、10年に宝塚歌劇団が初演。11年に日本オリジナルバージョンとして上演されて以降、再演を重ねてきた。今回は、19年以来2年ぶりに新キャストで上演される。ティボルト役を吉田広大と共にダブルキャストで演じる立石俊樹に、役作りや、公演への意気込みを聞いた。

ティボルト役の立石俊樹 (スタイリスト:MASAYA)

-本作への出演が決まった気持ちを教えてください。

 僕は4年前に人生で初めて「ミュージカル」というものに触れ、そのときに、この「ロミオ&ジュリエット」という作品も知って、いつか出演してみたいという憧れが生まれました。今回、オーディションでつかみ取った役ですので、決まったときにはとてもうれしかったです。

-オーディションだったんですね。最初からティボルト役をやりたいという思いがあったのですか。

 どの役をというよりも、この作品に出演したいという思いが強かったです。

-ティボルト役に決まって、どう感じましたか。

 ティボルトは激しい感情をもった役柄なので、自分とは正反対のキャラクターです。それを自分はどう表現すればいいのかという難しさもありましたが、出演が決まったことのうれしさが大きかったので、果敢に挑戦していこうと思いました。これは勝負だ、と。

-確かに、ティボルトは、立石さんの普段のイメージとはかけ離れた役柄だと思います。挑戦も多い作品になると思いますが、実際に稽古が始まり、どんなところに難しさを感じていますか。

 僕はこれまで、2.5次元作品に出演することが多かったので、役作りはまず、そのキャラクターの立ち方や声といったところから作ることが多かったんです。2.5次元は原作がありますので、それは、ある意味で正解があるということです。なので、原作のキャラクターに寄せていくところからのスタートでした。ですが、今回は、僕自身が演じて、舞台の上でティボルトとして生きなければならない。感情で動いて演じるというのが難しいなと思っています。

-今は、どんなところにポイントを置いて演じていますか。

 ティボルトの、誰よりも強くいる姿や激しい思いを突き動かすのは、彼のバックグラウンドも関係していると思ったので、シェークスピアの書いた戯曲『ロミオとジュリエット』を読んだり、世界史の流れを調べたりして、この作品の時代背景や当時の状況を勉強しました。そういった彼の環境というものは、大事にして演じたいと思っています。

-今回は吉田さんとダブルキャストになりますが、吉田さんの印象は?

 広大さんは、演出の小池先生から動きを付けてもらうと、すぐに感情を入れてお芝居をされているので、その対応力がとにかく素晴らしいなと思います。僕はまだ感情に任せて動けないので、見習わなければいけないと思っています。

-立石さんにとっては、ダブルキャストというのも今回が初めてですよね。ダブルキャストで演じることについてはどう感じていますか。

 小池先生の演出は、これまで僕が経験してきたものとは違うやり方だったこともあり、もし、シングルキャストだったら、お芝居に対して消極的になっていたところがあったと思います。でも、広大さんがいることで、お互いに影響し合えて早く成長できる。いい刺激をもらって、もっとこうすればいいと新しい表現を見つけられるのがダブルキャストの良さかなと思います。

-プレッシャーはあまり感じない?

 はい、普段から仲がいいので。広大さんがお芝居をされている姿を見て、心から「すごい」と拍手できますし、自分らしいティボルトを作り上げていかなければいけないなと思います。

-立石さん演じるティボルトのオンリーワンな部分は、ご自身ではどういったところだと思いますか。

 正直なところ、まだ自分では分かりません。今はまだ、見せ方やせりふなどに捉われているところがあるので、本番までにティボルトとして感情のままに動いて、話して、歌ってということができるようにと思っています。そうすることで、きっと自然と僕らしさが出るのだと思います。劇場でお客さまに、僕のティボルトの良さを見つけてもらえるようにしっかりと作り込んでいきたいと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top