【インタビュー】ミュージカル「ジェイミー」森崎ウィン&高橋颯がダブルキャストで贈る「今の時代に生きる僕たちでしか伝えられないもの」

2021年5月17日 / 08:00

 演劇の本場・イギリス発の大ヒットミュージカル「ジェイミー」が、8月8日から上演される。本作は、英BBCで放送されたドキュメンタリーに基づいた、16歳の高校生ジェイミー・ニューの物語。ドラァグクイーンになることを夢見た少年が、周囲の反対や、多くの困難を乗り越えながら自分らしさを貫く姿を描く。主人公ジェイミーをダブルキャストで演じる森崎ウィンと高橋颯に、役柄への思いや公演への意気込みを聞いた。

高橋颯(左)と森崎ウィン 

-イギリスでは異例の大ヒットを記録し、その後、映画化もされた作品ですが、まずは、出演が決まった気持ちを聞かせてください。

森崎 役者として、チャレンジすべき作品に出演できることがうれしかったです。この作品が持つメッセージは、今の時代に生きる僕たちでしか伝えられないものでもあると思うので、もちろん責任感も感じていますが、何はともあれミュージカルに出演できるというのは喜びが大きかったです。

高橋 僕はまだ、ミュージカルが二度目なので、(共演の)名だたる俳優さんの名前を拝見して、この中で主演をやるんだというプレッシャーもありましたが、同時にすごくうれしかったです。ウィンさんとダブルキャストということで、2人でジェイミーを作っていけることがすごく楽しみでもあります。

-森崎さんは「ウエスト・サイド・ストーリー」以来、約1年ぶりのミュージカルです。「ウエスト・サイド・ストーリー」は、新型コロナの影響で一部公演が中止になってしまいました。だからこそ、ミュージカルに出演したいという思いも強かったのでしょうか。

森崎 それもありますが、「ウエスト・サイド・ストーリー」に出演して、改めてミュージカルにもっと出演したい、もっと触れてみたいという気持ちが強くなったんだと思います。しかも、このご時世に生で何かを届けられるというのはすごくありがたいことです。僕はアーティスト活動もしていますが、ライブではその瞬間にしか生まれないものがあって、それを届けることが好きなんです。ミュージカルも同じように、生でその特別な瞬間を届けられるものだと思うので、それができることをすごくうれしく思っています。

-高橋さんは「デスノート THE MUSICAL」でミュージカルに初めて挑戦しましたね。今は、ミュージカルに対してどんな思いがありますか。

高橋 「デスノート THE MUSICAL」では、たくさんのことを学ばせていただきました。自分がどれだけ恵まれているかを実感しましたし、いろいろなことを経験させていただきました。その恩返しをするためにも、一つ一つ大事に積み上げて作り上げていきたいと思います。

-脚本を読んで、本作の魅力をどこに感じましたか。

森崎 ジェイミーの自分らしく生きる姿は憧れでもありますが、それは彼がいろいろなものを乗り越えてきたからこその姿だと思いました。僕自身もアーティストとして、一人のエンターテイナーとして、そして一人の人間として、自分らしく生きる勇気をもらいました。

高橋 「ありのままでいい」ということを伝えているすてきな作品だと感じました。僕からみると、ジェイミーも十分ありのままに生きているように見えますが、そのジェイミーも葛藤したり、悩んだりしている。僕は、自分の殻に閉じこもってしまうところがあるので、そんなことをしている場合じゃない、きちんと向き合っていくべきだと思いました。

-ドラァグクイーンに憧れる高校生という役柄についてはいかがですか。

森崎 もちろんこの作品は、ジェイミー自身のジェンダー観を描いている作品ではありますし、LGBTQがベーシックにはありますが、僕自身は、ゲイだから、ドラァグクイーンだからこうしようというわけではなく、一人の人間が葛藤していく姿を演じていけたらいいなと思っています。

高橋 僕はまだ芝居の経験が少ないこともあるので、前回出させていただいた「デスノートTHE MUSICAL」では、演出の栗山民也さんの言葉をそのまま受け止めることを大切にしていました。今回も、もちろん自分で準備していくことも必要だとは思いますが、演出のジェフリー・ペイジさんの言葉をしっかり受け止めていきたいと思います。その上で、ジェイミーが抱える悩みや思いが溶けて再生していく中でのドロドロとした感情や情念も大事に演じられたらいいなと思います。

-本作にちなんで、お二人の夢や目標を教えてください。

高橋 僕、夢を語ると泣いちゃうんですよ。だから、言えません(笑)。夢について語るのは、一番、自分に素直にならなくてはいけないし、それをうそなく伝えるのは怖いという思いもあって…なので、夢を語れるようになるのが僕の夢です。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』

映画2025年11月22日

『TOKYOタクシー』(11月21日公開)  タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。  すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む

中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月22日

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む

岩田剛典、白鳥玉季「全編を通してくすっと笑えるコメディー映画になっていますので、気楽な気持ちで映画館に来ていただきたいです」『金髪』【インタビュー】

映画2025年11月21日

 日本独特のおかしな校則、ブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道といった社会問題を背景に、大人になりきれない中学校教諭が、生徒たちの金髪デモに振り回されながら成長していく姿を、坂下雄一郎監督がシニカルな視点で描いた『金髪』が全国公開 … 続きを読む

加藤清史郎&渡邉蒼「僕たちも今、夜神月に巻き込まれている」 子役出身の二人が挑む「デスノート THE MUSICAL」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月21日

 映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」のミュージカル版「デスノート THE MUSICAL」が11月24日から上演される。2015年に日本で世界初演された本作は、原作のスリリングな物語を世界 … 続きを読む

なにわ男子・大西流星「“timeleszのお兄さん”な原くんは印象通り」 timelesz・原嘉孝「流星は優しくてしっかりしてる子」 1月期ドラマでW主演【インタビュー】

ドラマ2025年11月20日

 なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。  本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む

Willfriends

page top