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主演の赤澤遼太郎を筆頭に、北川尚弥、立石俊樹ら若手俳優たちが、映画初出演を果たした『先生から』。「先生の愛人の子」「先生とホスト探偵」「先生の遺言」の三つのパートで構成される本作は、 “先生”の過去を振り返りながら青年たちの友情、恋愛、夢を描く。作家志望の青年・真北直史を演じた赤澤、青年時代の小宮久作役の北川、そしてホストの間宮康作役の立石に、撮影の舞台裏や映画の見どころを聞いた。
赤澤 純粋に映像作品でお芝居ができるというのがうれしかったです。僕たち世代の役者の多くは、映像作品への漠然とした憧れを持っているものだと思いますが、その憧れに一歩踏み込めたということがうれしかったですね。
北川 映像作品にはあまり出演したことがなかったので、不安な気持ちもありましたが、新たな自分をお客さんにお届けできるんじゃないかという期待と、楽しみがありました。
立石 僕も同じく、シンプルに映画初出演が決まってうれしかったです。ただ、北川くんが言うように、映像作品には不慣れなことも多いので、不安も大きかったです。
赤澤 スケジュールがタイトで、舞台では当たり前にある「稽古」がないということに不安を覚えました。自分がカメラにどう映るかもまだまだ分からなかったので、それも難しいと感じました。でも、これまであまり接したことのなかったセクションの方たちと同じ空間で物作りができるということは楽しかったです。
立石 お芝居自体に違いを感じました。例えば、表情一つとっても、映像では気が抜けない、と。それから、同じシーンを別の角度から何回も撮影していくので、同じことを何度もするのは難しかったですし、撮影順も台本の流れ通りではないので、つながりを考えて気持ちを切り替えるということにも苦労しました。
北川 撮る順番が、バラバラだったので大変でした。ワイワイしているシーンを撮影したと思ったら、次はシリアスなシーンだったり…。それから、撮影する環境という面でも、舞台との違いを感じました。舞台はステージの上なので気温が大きく変わることがないのですが、今回は12月に夏のシーンを撮影したので、服装的にもかなり寒かったです(笑)。
赤澤 僕が演じた真北はあまり外向的ではない人物という印象を持っていたので、内気な性格を意識して演じました。
立石 撮影前に監督とお話をしたときに、監督から「天然だね」と言われて(苦笑)、そこを出していこうということになりました。なので、僕の天然な部分は過剰に出させてもらいました。この映画はシリアスなお話ですが、その中で僕の存在が息抜きになればいいなと思います。
北川 僕は、那波隆史さんが演じた小宮久作の青年時代を演じたのですが、同年代の役だったので、特に何かを意識はせず、感じたままにやろうと思って演じました。
北川 自分が自分じゃないような気にはなりました(笑)。それが面白かった。自分がスクリーンの中にいることが不思議で、でもうれしくて、思わず笑っちゃいました。
立石 僕も、天然な部分だったり、自分らしいところを役に投影したつもりでしたが、できあがった映像を見たら、僕とはまったく違う人物になっていたので、不思議な感覚でした。いい意味で、映画の中の人物になれたのかもしれない。初めての経験でした。
赤澤 自分の演技を見て、まだまだ未熟な部分もたくさんあるなと感じました。ただあの頃の自分にできる全力は注いだ作品なので、そういった意味でもあのときしかできないお芝居だったと思います。映像のスタートを形としてしっかり残すという意味合いではとても心にくるものがありました。
赤澤 ヘリコプターの音が入ってしまって、手応えを少し感じたシーンをもう1回演じなくちゃいけなかったことです。「うぉ」ってなりました(笑)。
立石 僕は吐くシーンです。撮影前に、(本作で共演した)小早川(俊輔)くんや監督、スタッフさんと飲みに行く機会があったのですが、そのときに、あまりにも楽しくて、日本酒がすすんで酔ってしまって、家に着いてからトイレで吐いちゃったんですよ(笑)。これまでに酔って吐いた経験はほとんどなかったので、「これだ!」って思って(笑)。そのときの感覚を覚えておいて、思い出しながら演じました。
北川 僕は、家で(真北健司役の吉村駿作と、高田泉役の伊藤歌歩と)しりとりをしながらお酒を飲んでるシーンが一番楽しかったです。盛り上がって、ダンスをしだすというシーンなんですが、そのダンスを吉村くんを中心に練習して。そのシーンは、役を演じているというよりも、普段の北川尚弥と吉村駿作になっていたと思います(笑)。
立石 僕にとって初の映像作品で、楽しみでもあり、不安もありながら臨んだ撮影でした。現場ではいろいろなことを学びながら、監督をはじめ、撮影スタッフの皆さんと一緒に楽しく、自由に表現できました。売れないホストの間宮という役を愛を持って作ったので、皆さんにもぜひ見ていただきたいです。
北川 率直に楽しんで見ていただけたらいいなと思っています。劇中には、たくさんの伏線があり、さまざまなエピソードが組み合わさって一つの作品ができているので、そういったところにも注目して見ていただけたらうれしいです。
赤澤 僕のスタート地点の作品です。皆さまの心に何かを残せたら幸いです。ぜひ劇場でご覧ください!
(取材・文/嶋田真己)
映画『先生から』は10月4日より全国順次ロードショー。
公式サイト http://senseikara.uh-oh.jp/