【インタビュー】NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」上白石萌音「朝ドラに朝を変えてもらいました」

2021年5月1日 / 12:00

 2021年後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」は、昭和・平成・令和の時代を、ラジオ英語講座とともに歩んだ家族のストーリー。安子(上白石萌音)・るい(深津絵里)・ひなた(川栄李奈)の3人のヒロインがバトンリレーをしながら100年の物語をつむいでいく。1925年3月22日、日本でラジオ放送が始まった日に生まれた安子を演じる上白石が、初の朝ドラの現場で感じた思い、脚本やキャラクターの魅力などを語った。

橘安子役の上白石萌音

-クランクインから約3週間がたちましたが、手応えは感じていますか。

 毎日現場に行くのがうれしくて仕方のない日々を過ごしています。このチームは本当に明るくて、みんなが作品名の通り「おいで、おいで!」といった、太陽のような明るさを持ったチーム。撮影の初日から既にファミリー感があり、そんな中で、安子として、のびのびとお芝居をさせてもらっています。セットや美術、衣装も全部素晴らしくて、現場にいるだけで物語にスッと入っていける環境です。プレッシャーもありますが、安子らしく、自由に、生きることができたらなと思っています。

-安子はどんな女の子ですか。

 本当に愛情たっぷりに育てられた、すごく幸せな女の子。私は14歳から演じているのですが、とにかくピュアで、本当にかわいらしい人柄です。それをまた助長するのが岡山弁。岡山弁って、岡山の土地が持つ柔らかさや大きさが全部詰まったような言葉で、岡山弁を話しているだけで、安子に近づけるような気がします。それから、安子は和菓子が大好き。和菓子屋さんのお話なので、現場には常に和菓子があって、私も運が良ければ“おこぼれ”を頂けるので、それをご褒美にしながら頑張っています。

-ちなみに、上白石さんが好きな和菓子は?

 ケーキよりも和菓子が好きなのですが、私も安子と同じであんこが好きです。一番は決められないですが、クランクインして少したった頃に、和菓子指導の先生が「これが『たちばな』の味です」と言って、おはぎを持たせてくださった。それをいただいたら、本当においしかったので、今のところ、トップはおはぎです(笑)。

-ラジオ英語講座を学び始める安子ですが、上白石さん自身も英検2級を持っていますね。

 安子を演じながら、私も英語を学習したての頃を思い出しています。「よく分からないけど、このすてきな言葉をしゃべれるようになりたい」と思って、歌を覚えるみたいに、まねをしながらやっていたな…と、昔を思い出しながら演じているところです。そして、大正、昭和の頃から、ラジオ英語講座というのがあったことにも、私は驚きました。やはりどの時代にも、みんな学びたい、外とつながりたいという気持ちはずっとあるものなんだなと感じました。

-朝ドラ初出演です。朝ドラに抱いていたイメージを教えてください。

 もちろん憧れでした。多分お芝居をしている人は、一度は憧れる場所だと思います。でも、自分がヒロインをできるとは思っていなかったです。なので、いまだに我に返ると「すごいな」って思ったりもします。ご一緒してきたさまざまな俳優の先輩方に、「萌音ちゃんは絶対にいつか朝ドラ出るよ」とずっと言われ続けていたんです。しかも、「多分BK(大阪局)で、昭和だと思うよ」って。私も、おこがましいなと思いつつも、ひそかな夢として抱いてきたので、全てを言い当てられて、びっくりしています(笑)。

-朝ドラの現場を実際に体験して、自身の成長を実感していますか。

 いいえ、本当に日々必死で、大丈夫かなと思いながら、でも、監督のOKを信じながらワンシーン、ワンシーンを重ねているところです。今回、私は1年全てを演じるわけではありませんが、1人の女の子の10年、20年ぐらいの人生を生きられる経験というのは、なかなかないこと。(脚本の)藤本(有紀)先生がくださる言葉を信じながら、丁寧にやっていって、振り返ったときに「あっ、成長できたな」と思えたらと思います。必死に頑張ります。

-ヒロイン役に決定したとき、周りの人の反応はいかがでしたか。

 みんな本当に喜んでくれました。特に祖父母が(笑)。やはり、おじいちゃん、おばあちゃんが、朝ドラが大好きで、「いつか出てほしいな」と言われていたので、「また生きがいができた」と言ってもらえてすごくうれしかったです。周囲の反響はとても大きくて、発表された日は、誕生日ぐらいメールが来ました。誕生日より来たかもしれません(笑)。

-「BKでやるよ」と言っていた人から連絡はありましたか。

 はい。「ほらねっ!」って来ました。ちょっとブルっときました。怖って(笑)。「すごく楽しみにしている」と言ってくださいました。

-撮影は長丁場ですが、体調管理で心掛けていることがあれば教えてください。

 ストレスをためないことですかね。「眠い」とか「疲れた」とか言っていこうかなと思っています(笑)。あとは、京都においしいものがたくさんあるのに、こういうご時世なので、なかなか外食ができないもどかしさがあるのですが、いいお野菜を買って、いいお肉を買って、ちゃんと食べて、お風呂にしっかり漬かって、基本的な生活をちゃんとしようと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top