【インタビュー】ミュージカル「モーツァルト!」古川雄大「生み出すことへの欲求やエネルギーを爆発させることを意識したい」

2021年4月4日 / 08:00

 「才能が宿るのは肉体なのか? 魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が4月8日から上演される。3年ぶりの公演となる今回は、タイトルロールのウォルフガング・モーツァルト役を山崎育三郎と古川雄大(Wキャスト)、モーツァルトの妻・コンスタンツェ役を木下晴香が続投する。古川に、約3年ぶりに演じるモーツァルト役への思いや意気込みを聞いた。

ウォルフガング・モーツァルト役の古川雄大(ヘアメーク:平山直樹/スタイリスト:根岸豪)

-2018年の公演に続いての出演となりますが、再演が決まった心境を聞かせてください。

 再びこの役を演じられるチャンスを頂けてすごく幸せだなと思いましたし、この3年でさまざまな経験をさせていただいた自分がどこまでできるんだろうという期待も膨らみました。

-モーツァルトというキャラクターの魅力をどこに感じていますか。

 音楽家としての成功の裏では、才能=自分の影との戦いだったというモーツァルトの悲劇を描いていますが、素顔は天真らんまんでチャーミングな部分も多い人物だと思います。才能があることはもちろんですが、人を引き付ける魅力も持っています。天才と呼ばれ、音楽には真っすぐに向き合っていますが、それ以外のことには、逆にルーズだったり未熟な面があるところも僕には魅力的に映りました。

-前回の公演から約3年がたち、ご自身では、どのような成長や変化があると思いますか。また、演じ方を変えようと思っていますか。

 もちろん、成長したところもあると思います。特に、歌においては、成長している部分もあれば、課題を感じるところもあるので、足りていない部分をどう補うかを考えています。演じ方では、役作りを改めて考え直したときに、勢いをつけるということを意識するようになりました。前回2018年のときは、「天才」をどう演じるかが鍵だと思っていたので、その点をずっと悩んでいたんです。ですが、今回は、「天才」は演じようと思って演じるものではないのではないかと思っています。作品が説明してくれていますし、周りの共演者の方々とのお芝居で作り上げられるのではないかと考え、あえてそこに重きを置かずに演じようと思います。その分、彼が何かを生み出すことへの欲求やエネルギーを爆発させることを意識したいと思っています。

-歌においての成長は、どういった点で感じていますか。

 前回は出なかった音が出るようになったり、という音域の変化です。逆に、今まで意識せずとも出ていたところが工夫をしないと出なくなったということもありました。

-それは、この3年間で歌い方を変えるなど、何か理由があってのことですか。

 変わったという点でいえば、ミュージカルに出続けていなかったことです。前回公演のときは、ミュージカルへの出演が続いている中でのこの作品でした。今回は、2年ほど空いています。そういう意味で環境の違いはあると思います。ただ、その成長や課題は、それが原因でもない気がします。前回は、頭で考えて、構築して歌を歌っていたんです。そう歌うことが染みついていました。でも、今は、期間が空いたからこそ、それが自然となくなり、染みついていたものがなくなったということなのかもしれません。

-今回も山崎さんとのWキャストになりますが、古川さんらしさについてはどのように考えていますか。

 同じ役でもその人の持っている素質で、自然とその役も変わると思うので、あまり自分らしさという点は意識していません。ただ、この作品では、1幕で見せるモーツァルトの明るい空気感と、2幕での悲劇に向かっていく姿を、落差を持って見せた方が魅力的になると思うので、1幕をしっかりと構築しないといけないと感じています。(山崎)育三郎さんは、稽古場でもキラキラしていて明るく、カンパニーのムードメーカーな存在で、特に1幕での空気感は見習うべきものばかりです。僕は、「陰」の方が得意なので、明るさをどう出すかが課題でもあります。先ほども言った、有り余るエネルギーをどう放出するかが、明るさにもつながるのではないかと思って稽古に臨んでいます。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top