【インタビュー】ミュージカル「モーツァルト!」木下晴香 「一歩大人になった私で、改めてまっさらな状態で向き合いたい」

2021年3月18日 / 08:00

 「才能が宿るのは肉体なのか? 魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が4月8日から上演される。3年ぶりの公演となる今回は、タイトルロールのウォルフガング・モーツァルト役を2018年公演に続き山崎育三郎と古川雄大(Wキャスト)、モーツァルトの父・レオポルト役を市村正親が演じる。モーツァルトの妻・コンスタンツェ役を続投する木下晴香に、役作りについての思いや本作への意気込みを聞いた。

コンスタンツェ役の木下晴香

-2018年に続いての出演となりますが、再び出演が決まったときの心境を教えてください。

 もう一度、いつかこの役に挑戦したいと強く思っていたので、再度の出演が決まってすごくうれしかったです。

-前回はトリプルキャストでしたが、今回はシングルキャストでの出演になりますね。

 はい。コンスタンツェは、王道のヒロインではないということもあり、難しい役柄だと感じていました。なので、前回は、同じくコンスタンツェを演じた平野綾さんを見て、大人の女性としての魅力を学ばせていただきましたし、年が近い生田絵梨花ちゃんと一緒に役に向き合えて心強くもありました。あのときは、3人で演じることが自分にとってプラスになっていたと思います。今回は1人で演じさせていただくことになりますが、一度演じた役ということもあり、不安はなく、自分の演じたい方向をしっかり定めながら役を作っていけることに楽しみがあります。昨年末に、ミュージカル「プロデューサーズ」で初めてシングルキャストを務めるという経験をさせていただいて、全公演に参加することで今までにない達成感を感じられました。もちろん、疲れも今まで以上でしたが(笑)。今回は、そのときよりもさらに長い期間を1人で務めさせていただくので、自己管理も含めて、身の引き締まる思いでいます。

-役作りについては、トリプル、ダブルキャストのときとシングルキャストのときでは違いを感じましたか。

 私は他のキャストの演技を見ることで自分の意見が定まっていったり、学んだりすることが多かったので、初のシングルは心配ではありましたが、先輩方に相談したり、コミュニケーションを取ったりということが逆に増えたような気がしました。自分が演じる役のことを一番考えているのは自分なので、より、どう演じたいかを、これまで以上に考えるようにもなったと思います。

-前回公演では、どのような点を意識してコンスタンツェを演じましたか。

 彼女は、世間的には悪妻のイメージが強いですが、彼女なりに彼を思った行動が結果的に悪く言われてしまっているだけで、モーツァルトの一番の理解者であったと思いますし、彼を受け入れる存在でもあったと思います。晩年になってモーツァルトにとってプラスの存在ではいられなかったかもしれませんが、それも彼女なりに必死に生きた結果だったのかなと思いました。彼を思う気持ちがありながらも、それをうまく表現できない彼女のもどかしい思いを伝えられたらと思って演じました。

-前回公演から3年がたち、木下さん自身もさまざまな経験をしてきたと思います。ご自分では、どんな成長や変化を感じていますか。また、その成長がどのように役柄に反映されると思いますか。

 まず、私自身の芝居への向き合い方が変わったと思います。3年前よりも、台本を客観的に捉える力がついたんじゃないかな。今思えば、前回は、コンスタンツェのことしか見えていませんでしたが、今は作品全体を見渡して、その上でコンスタンツェの立場を考えられるようになったと思います。役柄で言えば、コンスタンツェは、人としても女性としても深みや経験が活きてくる役だと思うので、前回よりも一歩大人になった私で、改めてまっさらな状態で向き合いたいと思います。進化したコンスタンツェをお見せできるように、精いっぱい演じさせていただきます。

-モーツァルト役の山崎さんと古川さんの印象は?

 山崎さんは初対面のときからすごくフレンドリーで、気遣ってくださる方でした。お芝居をしているときも、身を委ねられる安心感があったので、今回も新たな私で思い切りぶつかっていけたらと思っています。古川さんは、刺激的なモーツァルトです。山崎さんのモーツァルトには陽のイメージが強いのですが、古川さんのモーツァルトには陰のイメージがあります。それはミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でご一緒したときから感じていて、一緒にお芝居をしていると、いい意味で、闇に連れていかれる感覚があるんです。その古川さんの放つ陰のオーラが私は大好きだったので、今回もその深い表現ができるように協力していけたらと思っています。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『DIGGER/ディガー』(10月9日公開)  石油採掘会社のCEOとして君臨するディガー・ロックウェル(トム・クルーズ)の、利益しか考えない強欲な行動によって氷河に亀裂が生じ、地球規模の環境災害が発生する。コンプソン大統領(ジョン・グッド … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

 堂本光一が構成・演出を務める舞台、EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP「百鬼夜鏡」が、11月3日からEXシアター有明で上演される。本作は、 “人ならざる力”を持ち、恐怖や災いを象徴する鬼と、室町時代にタイムスリ … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

 芦田愛菜が主演するドラマ「南田南弁護士は天才肌」(カンテレ・フジテレビ系)が、10月19日22時からスタートする。世界的にヒットした韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を日本版にリメイクした本作は、自閉スペクトラム症(ASD)の新人弁護 … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

 横浜流星が主演する金曜ドラマ「LOST10」が、16日22時からTBS系でスタートする。大河ドラマ以来の民放連続ドラマ出演となる横浜が、映画『国宝』の脚本家・奥寺佐渡子と再タッグ。「Nのために」「最愛」などを手掛けた塚原あゆ子監督、新井順 … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 かつて、花火遊びをきっかけにアパートを全焼させてしまった2人の少年、龍之介(磯村勇斗)と拓海(末澤誠也)が15年ぶりに再会。さらに、その火事で大火傷を負い、妻子を失った被害者・埜本(綾野剛)と交流する中で、2人は運命を狂わせていく…。   … 続きを読む

page top