【インタビュー】映画『461個のおべんとう』森七菜 躍進に納得。あどけない表情に隠されたタフな本質

2020年11月2日 / 06:09

 実話をもとに、3年間=461個のお弁当を毎日欠かすことなく作り続けた人気ミュージシャンの父親・鈴本一樹(井ノ原快彦)と、息子・虹輝(道枝駿佑)の心温まる物語をつづった映画『461個のおべんとう』。本作に出演した、現在大ブレーク中の女優・森七菜は、2016年のデビュー以降、快進撃が止まらない。その理由は、19歳のあどけない表情に隠されたタフな本質にあるようだ。

森七菜(ヘアメイク:佐藤寛(KOHL)/スタイリスト:申谷弘美(Bipost))

 新海誠監督のアニメーション映画『天気の子』、岩井俊二監督の映画『ラストレター』、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」など、数々の話題作にオーディションによって抜てきされ、「オーディションにめっぽう強い女優」という異名を持つ森。

 本作への出演もオーディションを突破して決めており、映画の内容を知らないまま、お弁当を食べるシーンに挑戦した森は「最初は、どういう映画なんだろう?と疑問でしたが、兼重(淳)監督が面白い方だったので、撮影現場の雰囲気も穏やかで明るいだろうな…と想像でき、私も参加したいと思いました。選ばれたときはうれしかったです」と笑顔で話す。

 待望の現場は、「本当に楽しかったです。お弁当もおいしくて、テストのときからいっぱい食べちゃいました」と大満足の様子。ちなみに、学生時代の思い出のお弁当を聞いてみると、「クラスの女の子みんなでチョコフォンデュをしたこと!」とかわいらしい答えが返ってきた。

 演じたのは、お弁当を通じて虹輝と出会うクラスメートの仁科ヒロミ役。同役について、「悪く聞こえるかもしれないけど、自我が強めの女の子」と分析すると、「いつも一緒にいる虹輝と章雄(若林時英)が優しくて、押されがちな性格なので、その辺りでいいバランスが取れるように意識しました」と振り返る。

 自身は自我があまり強くないそうで、「ヒロミの言葉はストレート過ぎるかも…と思うこともありました」と話すが、「気は強いけど、愛されるべき女の子だから、どうしたら応援したくなるようなすてきな女の子になれるかを考えました」とも語った。

 自分にはない側面を持つキャラクターへ、どのようにアプローチしたのか? 森は「演じているうちに点と点が線になって、そのキャラクターになっていく気がします。ある程度の形は作りますが、基本的に台本のせりふやト書きに頼っています」と説明した。

 ヒロミは虹輝にひそかに思いを寄せる役柄でもある。プライベートでは好きな男性にどのようにアプローチするのか尋ねてみると、「アプローチしないです(笑)。好きになっても、好きじゃなくなるまで放置します。自我がないから、デートしたいとか、好きになってほしいとかも思わないです。付き合ってもどうしていいか分からない…」と胸中を吐露する。

 しかし、現在放送中の初主演ドラマ「この恋あたためますか」のように、今後はラブストーリーに出演する機会も増えていくはず。そんなときに自分の体験によって表現の幅は広がるのではないだろうか? 森は「困っています(笑)。好きな人のことを思って泣くってなに!?とか思うときもあります」と顔をしかめると、「誰かの体験談を聞くか、大人になるのを待つしかないのかな…(笑)」と思いをめぐらせた。

 これまでの経歴や、最近の活躍ぶりから、ポジティブでタフな女性を想像していたが、真逆な性格をさらけ出すとは意外だ。

 オーディションに関しても、「めちゃめちゃ戦いの気分で臨む」そうだが、それは「自分を強く持っていないと不安や恐怖を感じてしまう」からで、終わった途端に「あそこが駄目だった…と、すぐ泣いちゃったりします」と打ち明ける。

 とは言え、「寝たら全部忘れます」と翌日にはけろりとしていることも告白し、強いメンタルをのぞかせる。また、出身地の大分でスカウトされる以前から、「いつかお芝居をするだろうな…」と人生を予感していたという森。

 現在のブレークぶりを、「朝早かったり、夜遅かったりで大変ですが、毎日が本当に楽しくて充実しています」と喜ぶと、「この仕事は天職です。ずっとやり続けたいし、一生やり続けることに疑問も飽きもありません」と迷いなく明言した。

 加えて、「振り幅の広い、何でもできる女優になりたい」と言いつつも、「これまでは誰かに影響を及ぼす役が多かったけど、これからは誰かから影響を受ける役をやりたい」と具体的な目標も明かす。

 
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